見出し画像

よるは詩集が待っている

 地上に出ると、駅周辺の食べ物屋さんには長い行列。

 坂を少し上がると知らないギャラリーがある。
 
 躊躇っていると思われたくないので、すぐに中へ。

 昼下がりの雰囲気にはこれかな。

Ryoko Yoshinoさんの作品

  坂をさらに行くと子どもたちが通った小学校。

  日曜に中から歓声が聞こえる。

  坂の上の方には渋めの器があるお店。

マグは友だち

 道を右に折れる。

 お寺が多い。都会では珍しく修行僧が沢山いる寺院がある。

 ここは不思議と空間が広いので娘が小さい(頃、自転車の練習をした。

 その小さな背を見つめた記憶。胸がざわつく。

 細い路地をとおり、坂を下る。

 そこは小さな本屋や雑貨屋さんが増えたエリア。

 感じのいい雑貨屋へ。

 先に居た青年と女性店主が話している。

 「まるで映画のシーンを見ているみたいです。詩のことばから…」

 その青年は詩人のようだ。

 軽い嫉妬と羨望をおさえて、本を眺めはじめる。

 「あら、この表紙はもしかして!」


タダジュンさんの石版画の表紙 

  それは sunny boy books で見かけ手に入れるか迷った作品集と同じ絵。

 不穏でありながら親しみのある石版画。オールスターも気になる。

 おだやかな店主と他愛のない会話。

 休日、この町の住人は普段よりいっそう、ひっそりと暮らしている。

 子育てしながら暮らした町。 

 そしてちょっと気になる小さなお店たち。

 それでじゅうぶん心は休まる。

 ふたたび足は地下へ。

 よるは詩集が待っている…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?