山手線で読書の時間をともにした話
別に本気で期待しているんじゃない。
でも出会いがあったら・・・
仕事の帰りの山手線。帰宅ラッシュ前なので余裕で座れた。隣りに20代後半と思われる女性が座った(顔を見なかったので雰囲気だけど)。
私はいつものように柴崎友香さんの文庫本を読み出す。隣りの女性もおもむろに本を開く。文庫本サイズ?カバー付きのようだ。
いまどき、山手線内で本を読む人は珍しいはず。しかも二人並んで文庫本を読み始めた。もしかして、二人は何か関係が?と人からは見えるかも。
女性はビビッドな緑のふんわりとしたスカート。時々、足を動かしている。
文庫本とはいえ、手に持って読むから肘と肘が触れる。
気になってしまう。「何の本をお読みですか?」と聞かれたら、
「柴崎友香さんの本です。でも小説よりも彼女のエッセイが好きで・・・」
などと答えよう。
妄想だとはわかっているし、向こうは何も思っていないだろう。
日暮里駅に着いた。彼女も降りた。女性は後方の階段へと向かう。
私は前方へ。
梅雨どき、午後4時5分の出来事。
出会いはなかったけど、読書の時間をともにしたという経験。
柴崎友香さんの本の話はしたかったかも・・・。
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