小説 哲学的ゾンビになる病気
進行性の哲学的ゾンビになる病気にかかってしまった。
「なんとかならないんですか」
「まあむりですね、お諦めください」と医者も匙を投げる始末。
家に帰って恋人に嘆いた。
「どうしよっか」
「どうにもならないんだって。おれは近い内に意識を失ってしまうけど、でもきみはべつにおれを失うわけではないから、なんにも心配することはないんだ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんなんだ。哲学的ゾンビってやつは、言ってみればおれの魂だけがなくなってしまうんだけど、でも、おれは今までとお