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1ヶ月物語を分解し続けていたら、漫画の読み方が変わった

物語には型がある。
コルクラボマンガ専科の受講中、講師の佐渡島さんから何度も型の重要さを教わった。
どうやら型に沿っているだけで、読者に伝わる作品になるらしい。そんな便利なもの、使わない手はない。

8枚紙芝居とは


コルクの教えによると、物語は8枚の紙芝居にわけられるそうだ。

①情報…登場人物の主義や状況説明
②コレドナ…「これどうなっちゃうの?」と思わせる出来事が起こる
③したいこと…コレドナを受けて主人公が行動すること
④相手のしたいこと・壁…主人公に立ちはだかる壁
⑤対立・ドラマ…主人公の葛藤(悩みの時)
⑥キャラクター深部…回想やテーマの裏付け、クライマックスへの転換点
⑦クライマックス…物語の1番の見せ場
⑧余韻…読者が最後に受け取る感情を提示する

いわばプロットに入る前の、大まかな計画表のようなもので、私の卒業制作も8枚紙芝居をつくるところから始まった。

当初クライマックスだけイメージがある状態から、展開に分けて言語化する段階まで飛躍した。

この8枚紙芝居をつくるのが、まあ〜〜大変でね。。というのも「自分は物語の流れを知らなすぎる!」ということに気づいたんです。

例えば、クライマックスで読者を泣かせたいなら、コレドナで不幸な出来事がおこるとか。対立・ドラマの部分で笑わせたいなら、情報で正反対のキャラ2人を登場させるとか…。そういうおきまり展開。

どうやら人が面白感じる型には決まったパターンあるらしい。
パターンは、数学で言うなら公式。
公式をたくさん知っていれば、より幅広い物語を描けるようになるはず。
そんなんあるなら知りたいわ!


という話を同期のなべゆうさんとしていたところ、名作物語を8枚紙芝居に分解しまくってみるのはどうか?という話になりました。

物語を8枚紙芝居に分解しまくる



実験内容としては以下の流れ。

①お題の物語を読む。
②8枚紙芝居に展開を言語化する。
③要素をできる限り除いた「抽象化」をする。
④抽象化したものを元に「再構築」する。


目標は「型パターンをたくさん知る」。
ならば毎日続けられるよう、お題の物語は短い方がいいということで、「落語」「日本むかしばなし」をひとまず分解してみることにしました。

初めて分解した落語の「死神」
「死神」の再構築。ラブコメ風。


落語「道具屋」ベストセラーコードの型にも当てはめてみることにした。


日本昔ばなし「うさぎとかめ」ログラインも考えてみた。
あるときは最近のヒット漫画をお題に。

この物語分解会、マンガ専科同期たちと1ヶ月ほど続けており、Discordで分解した感想を話し合ったりしています。


分解を元に、落語を現代風にする漫画もかいてみました。

1ヶ月分解してみて感じた変化



毎日分解してみて変わったのは、「作品への観察力が格段にあがったこと」です。
思えば以前は作品をみるとき、演出を味わうだけで、「こういうお話だったな」とか「このシーンが好きだったのはなぜか」まで考えられなかったんです。

・出来事と感情を分けて考えられるようになった。
→出来事と感情は別物だけど、両者があって初めて物語は成立する。

・同じく演出と物語を分けて考えられるようになった。
→演出とは物語をより魅力的に伝えるもの。ヒット作は物語はシンプルな構造で、演出が新しい場合がほとんどである。

・作品が好みな理由も「コレドナが独創的だから」「クライマックスの演出が新しい」など言語化できる幅が広がった。

などの変化がありました。
また、観察力があがると、作品に対しての理解力もあがるわけで、あらためて創作の面白さを知ることもできました。
いずれは「少女漫画の型」「ホラー漫画の型」など、ジャンルごとのパターン化もしたいなと思っています。

そして観察だけでなく自分の創作活動にも活かしていきたい…!いますぐネームを切れ!物語を作れ!うおおお!

…ひとまずマンガ描きの同士に伝えたかったのは、物語分解面白いよ〜!ってことです。
みなさんぜひお試しあれ!

ではまた更新します〜。


















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