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組織内からの「ネガティブな声」を丁寧に扱うことが、組織力を高める鍵になる。~沖縄合宿での体験~

こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。

今日は1月に実施した合宿(roots合宿)について、合宿設計、そして実践・振り返りまでを書いてみたいと思います。

そもそもの説明をまずは少し。
RELATIONSでは、全社員が参加するオフラインの場を定期的に設けています。それは、ホラクラシーという自律分散型の組織運営、そしてフルリモートでの働き方を推進する環境においては、組織的な遠心力を高めやすい構造にあるためです。
毎月のオフライン全社ミーティング(CAMPFI:RE)、年3回の全社合宿(roots合宿)を開催することで、チーム間でのコミュニケーションを促進する場を作っています。リアルでのコミュニケーションや一宿一飯の場をつくることで、人や組織への求心力をカバーしながら組織開発を進めています。今回はその合宿について焦点を当てています。

今回の沖縄合宿では、「収穫祭」をテーマに実施しました。1月という年の節目に、過去1年で積み上げてきた成果に目を向け、相互に感謝をするワークから開始したのですが、1泊2日のなかで場が深まるにつれて、これまで組織内で扱われてこなかった”痛み”の声が場に出てきた印象的な会となりました。

▽詳しくはこちらをご覧ください。

そこから新たな組織としての気づきと、個人としての気づきも得られたように感じます。
合宿の設計から実施のフェーズまで、振り返りながら綴ってみます。

Phase1【準備】 合宿テーマを「収穫祭」にした理由

4ヶ月に1回行っている全社合宿。前回は軽井沢でしたが、今回は沖縄(本部町)で開催しました。面白いのは、軽井沢と沖縄で皆の雰囲気が変わることです。その土地が持つ特性も反映されることは毎回合宿をする中でも新鮮な気付きの一つです。
毎回の合宿で共通して大事にしていることは、ゆったりした時間を確保することです。日常とは違う環境で、普段目を向けない部分に目を向けることを大切にしています。空気が違うだけで、結構変わります。旅行に行くと少し心もオープンになって、語りたくなっちゃう感じってありますよね。

自律型組織であるRELATIONSでは普段、各メンバーが複数の業務を担いながら、とにかく忙しく動いています。日々の業務では、どうしても自分の業務や、納期や数字などの目に見えるものを追いがちになります。

コスト領域のコンサルタント、組織領域のコンサルタント、バックオフィスメンバーなど色々な役割が存在するなかで、お互いのことを分かっているようで分かっていないような、そんな感じがありました。

とくにこの1年は、「会社に生命力を」というパーパスへ刷新し、それを機にメンバーの自律性やコミットメントがグッと高まってきて、社内でも面白い取り組みが多く生まれていました。

そんな2022年がどんな年だったのかは、人によって意味づけも体感値も結構違うんですよね。だからこそ、各領域がどんな挑戦をしてきたのか、どんな想いを持って動いてきたのか、結果としてどんな変容が起こってきたのか、そんなことをみんなで深いところから理解し合って、収穫したい。そんな思いがありました。

・ この1年、各領域でそれぞれの個がどう変化してきたんだろう?
・ その総和として、組織が得た「果実」ってなんだったんだろう? 

と、一度立ち止まって見つめることに意義があると考えました。

Phase2【実行】場に出てきたのは、「感謝」と「痛み」

まず出てきたのは感謝・称賛

合宿の初日のワークでは、2022年行ってきたことを、サークルごとに”事実と感情”に分けて時系列でまとめ、それぞれの発表を聞く場を設けました。

その中で、コンサル領域のメンバーから出た言葉はとても印象的でした。
「PRって、実はこんなに頑張っていたんだ」
「People&Cultureや文化づくりのロールは、こんなにも多くの施策に打ち込んでいたんだ」
そんな純粋な驚きが場から出ていたというのは、まさに収穫祭そのものを体現しているような感じがありました。

また、今回の合宿には、5年前にRELATIONSが事業譲渡した企業先のメンバーにも参加してもらっていたので、1年間だけではなく、創業からの長いルーツをあらためて認知し直す機会にもなり、非常に良い場となりました。

ここまで一筋縄で来たわけではないですし、紆余曲折ありましたが、起きた出来事すべてが地層のように積み重なって今の土壌があるし、どれもが必要なものだった。この14年間、関わってくれたすべての人たちに感謝したい。そんな満たされた気持ちにもなり、次に向かうエネルギーにもなった気がします。

終盤に出てきた、組織としての「痛み」の声

今回の合宿で一番印象深いシーンは、2日目に行ったワークで組織としての「痛み」がちゃんと声として場に出てきたことだと思います。感謝・称賛とは正反対のもののように捉えられるので不思議な感じがするかもしれませんが。

具体的に出てきた声の一部は、このような内容です。
「なんとなく社内でネガティブなことを話しづらい雰囲気がある」
「いつも誰かが体調を崩しているのが気になる」
「出張が多くなると、家族との関係性がうまくいかないことがある」

これまでも、個別にちらほら耳にすることはあったのですが、全社の場で声として大々的に出されたのは初めてでした。

なぜそういう声がこれまで出しづらかったのか。それは、良くも悪くも、ものごとをポジティブ転換するエネルギーが強い人がRELATIONSには多い傾向にあるからなのかもしれません。痛みに遭遇したときにそのまま受け取ることが得意ではないのかなと。
例えば、右手に擦り傷を負っているのに、あとでなんとかなるだろうということで、他のことへ集中し、処置をしないイメージです。傷が膿むかもしれないし、跡に残るかもしれない。そして、いつの間にか傷があったという感覚すらも分からなくなってしまった、という感じです。

実際、そこにある事実なんだけど、ポジティブ転換されて、無いように扱われている。

今回出しにくい声を挙げてくれたのは、そういうネガティブな事実も、そのまま捉えられる特性をもったメンバーからの声であるのだと思っています。情報の受け取り方の特性はそれぞれなので、ポジティブだけ・ネガティブだけ、そのどちらに偏ることもなく、両方のバランスをとることが組織にとっては大切だと感じます。

そうして痛みを認知の外側に置かず、痛みとしてちゃんと受け止めて、認知できるようになると、RELATIONSの土壌の質感や価値観がまた新しく変化するような気がしています。今後はそういったところにも時間をかけていこうという思いが一層深まりました。

正直、4〜5年前までのRELATIONSであれば「数字や結果が最優先だし、氷山の下側にある目に見えない部分(ルーツ、価値観など)は、ぶっちゃけ扱っている暇ないよね。それより事業を進めようぜ!」という議論が主流でした。それが今では、「もっとゆったりとルーツを見て、味わっていこうよ」という風土になっています。
こういったところでも組織の大きな変化を感じますね。

Phase3【振り返り】組織の変容とともに、都度新しい課題に向き合っていく

「痛み」の声は、さらなる進化のために必要なもの

今回の合宿で、描いていた設計と一番異なったのは、合宿の終わり方かもしれません。設計の段階では、「これまでに組織として得られた成果を収穫して、2023年はこういうところを頑張っていこう!」という、未来に向けてポジティブな感じで終わることをイメージしていました。

しかし実際には、組織としての「痛み」の声が全体の場に共有され、それらを各メンバーが個人で味わって終わるという、これまでにない流れとなりました。

そこについて、私自身は「起こるべくして起こっていることだな」と素直に受け止めています。スッとポジティブな終わり方に行けなかったのは、そこに何か根詰まりしているものがあるんだなと感じています。これも、ガチンコでぶつかるからこそ出てきたものです。

その現実に対して、もちろん私にも痛みはあるのですが、RELATIONSにとっては必要なところを通過しているから、そういう声が出てきているのだと思いますし、そいういう声が場に出ていたことも素晴らしいことだなと思っています。きちんと痛みそのものに向き合っていきたいと思います。

社員、そしてその家族にも思いを馳せていきたい

挙がっていた声のなかで、特に聞こえてきたのは、勤務時間の長さや出張の負担、家族との関係性で抱えている問題など。

Less is Plus(コスト最適化コンサルティング)は地方のお客様も多い事業ですので、出張が多い業種でもあります。家族に負担をかけていたり、多忙な時期に自身の体調を崩したりといった課題は慢性的に発生しやすいビジネスモデルなのかもしれません。

しかし、家族との関係性がうまくできているからこそ仕事に没頭できるという事実は確実にありますし、そういったところまで思いを馳せていくというのが今後大切になってくるのかなと感じています。

具体的な施策はこれからですが、家族のことで困っているメンバー向けたサポートを用意するなど、そういった活動を推進することで、結果的にはそれがRELATIONSの活力にもつながると考えています。


今回の合宿でもあらためて感じましたが、組織は生き物のように常に変わりつづけており、それぞれの時々で、組織に必要な課題が立ち現れてきます。

このように日常の中では扱いにくいテーマでも、合宿という場ではしっかり時間をかけて扱う。それを継続することで、RELATIONSという土壌が耕され、より良いものになっていく気がしています。

今日はこんなところで。

ええ一日にしていきましょう!


▽関連ラジオもぜひご視聴ください。


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