行きつけのバーとの思い出

#ほろ酔い文学

 就職してすぐに直属の上司などと飲みに行く機会はあると思う。
 自分は最初に就職した会社がいい人ばかりで一緒に飲みに行ったり、飲み屋であったりしたら全部払ってくれる上司ばかりだった。
 上司の中でもカラオケが玄人のM氏の行きつけのスナックでよく飲むようになっていた。

 半年程度たった時にM氏に彼女ができ彼女が働いているバーによく行くようになっていた。
 年末のクリスマスシーズンにドンペリの白とピンクの飲み比べを2杯+おつまみで一人1万程度で出してくれるような店だった。
 自分は嫁さんと付き合いはじめだったのもありその店に通うようになっていった。
 その店のバーテンダーさんはもう結構なお年で70を超えていたように思う。春や秋に行くと山菜のしょうゆ漬けをあてに出してくれるような店だった。
 また、カクテルも年季が入っていてモスコミュールはいまだにその店よりおいしい店にあったことはない。

 カクテルやハイボールもおいしく、9時過ぎごろに入って注文して飲んでいるとバーテンダーのおじいちゃんが居眠りしていたりするゆっくりとした時間が流れるいい店だった。

 就職してから8年たち嫁さんとも結婚をして暮らしてはいたが、転職を考えるようになっていた。
 その年の11月末に会社を辞め就職活動をして翌年の2月にだいぶ離れた土地に就職で引っ越すことになった。
 お世話になったお店にはいっていたがバーは閉まっておりお別れを告げることができなかった。

 引っ越した年のゴールデンウイークに元の街に戻ってきて観光がてら良く行ってた店に行ってみた。
 繁華街を歩いてバーの前を歩いていると看板が外れていたので、いったお店であそこのバーどうしたの?と聞いてみるとバーテンダーのおじいちゃんがなくなっていたそうだ。


 最後に挨拶もできずに引っ越したのが心残りだったが寂し思いがその時から胸の奥に引っかかっている。
 そういう時にはいつも頼んでいたモスコミュールが飲みたくなる。
  

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