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延命の水の知られざる守り神

三段式スイッチバックで有名な、奥出雲町にあるJR出雲坂根駅

ここのもう一つの見どころが、こんこんと湧き出る「延命水」
島根の名水百選にも選定されています。

この延命水の説明板には、「この水は、冬暖かく夏に冷たい湧水です。鉄道開通までは、この延命水付近は清水堀と呼ばれた湿田でありました。古老の伝えによれば、昔、狐や狸が多く、しかも寿命100年をこえたと思われる古狸が好み飲用したことから、里人も長寿の霊水と称して飲用をはじめ、そのうち延命の水と名付けられたと伝えられています。」と書かれている。

そして、その説明板の隣には「延命神社」がひっそりと佇んでいる。

この「延命神社」については、説明板などがなく、由来がわからないようになっているが、実は、かつて設置されていた延命水の説明板(現在は撤去されている)を見ると、その由来がわかる。その古い写真がこちら。

かつての説明板には「ここからわき出る水は、清水堀と呼ばれ、寿命百年の古狸がいたのは延命の水がもたらしたものだと村人たちは言い伝え、村人たちもまた長寿の霊水と称して飲用したという。又、横田町のたたら製鉄を岡山・広島方面に運ぶ途中、馬子達はここに足を止めて水でのどをうるおしたと今に伝えられる。駅のホームに夏は冷たく冬は温かい水がわき出ている。三井野原の稚児神社(水の神様)から分霊を受けて延命神社を建立し延命水祭を行っている。」との記載があり、延命神社は三井野原にある稚児神社から分霊してもらったものであることがわかる。

延命水のある坂根集落から、さらにあがったところにある。「三井野原の稚児神社」がこちら。

その説明板を読むと、長くなるので全部は書かないが、「三井野」の地名は「御井」に由来するということがわかる。つまり、この池が地名の由来なわけだ。そして、いかなる日照りでも水が枯れることがなく、人や馬の喉を潤したことから、水の神様として信仰されているという趣旨のことが書いてある。

稚児ヶ池神社(稚児神社)の祠は小さな池の上に、木をわたして設置されている。

延命水の近くにひっそりと佇む延命神社にも、しっかりと由来があり、その本社である稚児ヶ池神社は、延命水を求めて訪れる方を今でもひっそりと見守っている。