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改行なしぎちぎち日記 2023年12月20日(水)

午前7時半に目覚める。朝の電車はしっかりと満員で厚手のコートやもこもこのダウンジャケットで「かさ増し」された人間たちでぎゅうぎゅう詰めになった車内には殺伐が漂う。広くて狭い同じ場所にいながら違うどこかに存在するためにイヤホンをして、本を開く。芸術は逃げるためにではなく生きるためにここに在る。音楽は音楽として飽くなき果てしなき終わりなき深淵をちらちら湛えながら希望を響かせるから、聴くのには覚悟がいるのだ今。(仕事中につき9時間後にワープ)すべての人は愛嬌と恥じらいとよそ行きを装ってキラキラ輝いている。僕は昨日も今日もいや記憶を遡る限りずっと見えない庭を掘り続けているので全身が泥まみれで、懐かしくて新しい匂いがしている。窓から東京タワーが「ライオンキング25周年」を記念してライトアップされてドローンが美しい絵や文字を描いていたのを思い出す。帰り道で川上未映子『水瓶』を読み終えた。知っているはずの言葉が見たことのないイメージを連れてくるまでの営みの崇高。そこにきっと極限の推敲。紡がれた言葉の永遠と、物語以前。もしくはFuture。妹夫婦が来て晩飯の支度をしてくれていた。賑やかな食卓になりホットプレートで焼く餃子も手作りスンドゥブも絶品だった。「何点?何点?」と妹はいつものように料理の採点を迫るので、スンドゥブには140点・餃子は170点を進呈したら嬉しそうだった。ふたりのウェディング・フォトを全員でげらげら笑いながら見た。楽しくなって石垣の泡盛「宮之鶴」をロックで飲んだらこれがなんと美味。平日に突如出現したヨロコビの時間は一瞬で過ぎていく。ひとり部屋に戻っても、こんな夜はなかなか寝付けないものだ。音楽は、明日かならず。午前2時就寝。

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