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免税事業者等からの課税仕入に係る会計仕訳の変更(簡易課税・2割特例)

消費税のインボイス制度が昨年10月に導入されました。個人事業主の方は今まさに令和5年分の決算をされている方が多いと思います。
昨年末に、新たな扱いが発表されました。
「税込11,000円、税率10%の外注費をインボイスなしで現金で払った」という取引例を元に以下記載します。

税抜経理をしていて、免税事業者等からのインボイスを得られない課税仕入については令和5年10月以降は以下の仕訳とされています(経過措置の80%税額控除を前提)。

外注費 10,200(税込額 11,000-消費税 800)/現金 11,000
仮払消費税 800(消費税1,000の80%)

外注費が本体価格10,000から変わっているのがポイントです。差の200は、消費税額のうち経過措置80%で認められない部分なのですが、それを「仮払消費税だけど仕入税額控除で使えない額」と考えるのでなく「仮払消費税でない」と税務上扱うためです。

「え、仮払消費税1,000で200は控除対象外消費税ではないの?」「本体価格が10,000から変わってしまうのはおかしい」等、非常に評判が悪い処理です。

これに対し、簡易課税制度及び2割特例制度を適用する場合のみ、従来どおり

外注費 10,000 / 現金 11,000
仮払消費税 1,000

とすることが認められました。
「せっかく上記の変な仕訳を覚えて入力したのに」という方がおられるかもしれません。
「もっと早くからこうしてくれたら」とも思いますが、まずはよかったです。昨年末ぎりぎりの12月27日に発表された事項のため、ご使用の会計ソフトの対応についてご確認ください。

「令和5年分の取引で既に入力したものを修正する必要があるか」ということが気になると思います。
変更の対象が簡易課税又は2割特例の場合のみであることから、令和5年分の消費税額自体には影響のない話です。
10月以降にインボイスなしで固定資産を取得していた場合は、減価償却費や償却資産税の計算基礎となる取得価額が変わることから、それがあったら修正したほうがよいでしょう。
ただしその場合、インボイスなしの課税仕入の仕訳全てを修正する必要があります。

この件について、関東信越税理士会ウェブサイトの該当ページを紹介します。私が所属する税理士会でないのですが、特にパスワード等要求されず見ることができましたので。
https://www.kzei.or.jp/news/zeirishi/2023/12/27-162632.html

なお国税庁からの資料の中には「税込経理方式で経理を行うことにより、事務負担の軽減を図ることも考えられます」との記述もあります。
「本体価格に消費税がかかるのだから、税抜経理が本来だろう、ややこしくしているのは当局ではないか」ごもっとも、でも税込経理方式が本来ではないかと最近思うようになりました。それは後日別の記事で書きます。

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