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空き家特例(3000万?2000万?)

空き家特例についての昨日の記事で「空き家特例とは、相続又は遺贈によって相続した空き家を売却した場合には、最高で3000万円まで(令和5年の譲渡まで)の特別控除を受けられるという所得税の制度です」と書きました。

令和5年の譲渡までというカッコ書きの意味は?というと、令和6年の譲渡から
・相続した相続人の数が3人以上の場合は2000万円
という改正があったのです。

この改正の趣旨ですが、この特別控除は各相続人ごとの上限で、全体の合計ではありません。空き家を相続した方が1人でも3人でも、もっと多くても同じです。
令和5年までの最高3000万だった時に、空き家が9000万で売れたとして、それを相続人3人が1/3ずつ相続していたら、課税譲渡所得金額は0となるということです。
この手の特例措置には合計額の条件があることが多いのですが、珍しいです。相続財産に関連しますが、所得税のほうの特例なので、そのためかもしれません。

元々は空き家問題対策なので、耐震基準を満たしてから譲渡したり、更地にしたりといったことへのインセンティブとしては多すぎるという判断なのでしょう。令和5年度税制改正での改正事項で、適用は令和6年の譲渡からです。
なお3人というのは、相続人の人数でなく、空き家の不動産を相続した相続人の数なのでご注意ください。

ちなみに、試しにGoogleで「空き家 2000万」で検索すると、全然別の「空き家2000万問題」というのがヒットしました。
これはどうも、実家を放置していると固定資産税等の管理費用が累計で2000万円くらいになりますよ、ということのようで、和田貴充さんという方が
「今すぐ、実家を売りなさい 空き家2000万問題の衝撃」という書籍を光文社から出されています。
この件は私も他人事でないので、とりあえず注文しました。

令和5年度税制改正ではこのほか、耐震工事や取壊工事について
・従来は譲渡前に売主(相続人)が工事を実施
・令和6年からは譲渡後に工事を行ってもよい(譲渡の翌年2月15日まで)
と変更がありました。所得税の申告期間の前までですね。
こちらのほうが大きな改正です。

なお、相続実務において「不動産の共有は避ける」のが鉄則ではあります。譲渡や改修工事等の判断で意見が分かれると困るためです。
私の経験した業務では、2人の相続人が空き家を2分の1ずつ相続して、申告期限までに更地にして売却まで行っていました。事前に検討されていたものと思います。
上記のとおり空き家を相続した相続人が3人で6000万、5人で1億と、金額は人数に比例して増加しますが、3年以内という期限もありますし、相続人間の争いの原因にならないようにご留意ください。

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