見出し画像

車いすユーザーの彼女が私にはいました。しかし少し前に彼女との関係が疎遠となってしまい、実家に帰る口実が無くなってしまいました。

私が住むエリアは駐車場代が高いため、実家の駐車場に愛車を置いているのです。

車は私の生活にはほとんど必要なくて、車いすを乗せるために必要だったので購入したまででした。なので、彼女と疎遠になったいま実家に帰る機会が無くなってしまったのです。

だからこそ意識的に実家に顔を出すようになりました。その理由は両親と会話をするためです。


愛憎

父と会話を昔よりかはできるようになりました。なぜなら父がウエルカムの姿勢を持っているからです。父のお陰で我々の関係性は成り立っているのです。

昔はそうではありませんでした。思春期の頃はほとんど会話もありませんでしたし、はっきり言うと父が憎かったのです。

父は私に物事を教えようとします。それが苛立つ。

また人の話をあまり聞いていません。話が噛み合わないこともしばしば。それも腹が立つ。

この前は喋っている父の唾が私の太ももにビシャッと垂れてきました。無言でティッシュで唾を拭き取ったのですが、腹が立つというより汚ね〜と思いました。

でも、コミュニケーションは取ろうと思います。このままだと後に後悔すると思うからです。

ひきこもっていた頃

ひきこもりから脱するうえで家族の力は本当に大きかったと思います。

ある日、父はこのようなことを私に言ってきました。

「もう、お前は肉体労働しか無いで・・」

どう見ても働けるような状態ではなかったので、何を言ってんだ・・と思ったものです。父は家庭のことに無関心のように見えました。だから、私の現状から大きく外れたことを言ってくるのです。

大晦日。家族が大掃除をしていたので私も何かに貢献したいと思い、浴室の掃除を買って出ました。

浴室の壁や天井、排水溝や換気扇をひたすら掃除していきました。終わる頃には夕方になっていました。

父は真っ白になった浴室を見てとても喜んでいました。

労働することに何より価値を置いている人なので、お金にはならなくても体を動かして私が何かをやったことがきっと嬉しかったのだと思います。

それまでの私は意識が「死」に向いていました。生きる意欲に乏しかったのですが、父に褒められてからはっきりと「生きる」方向にベクトルが向いたのでした。

だから夜な夜な死の衝動に悩まされることも無くなったのです。

家族が歯止めになる

毎日私は頭からフードをすっぽりと被って、自分の部屋で本を読んだり、書き物をしていました。

夜になると父が帰ってくるのですが、ある日から父が私の部屋に顔を出すようになったのです。

「帰ってきたで・・そろそろご飯で・・降りてこいよ・・」

これだけ。特にこれと言って何かがあるわけではないのですが、毎日これを続けてくるのです。

すると何が起きたかというと私の意識が変わってくるのです。ああ・・気にかけてもらってるな・・と気付くのです。

気にかけてもらっているという愛情がジワジワと効いてくるのです。

父・母・姉から愛情を受けてきました。すると道を外れそうになったときに家族が頭を過ぎるのです。

ずっと独りだと恨みなどの「邪」の心が大きくなっていくのですが、何とかここまで生きることができました。それは家族のお陰なのです。

家族はいったいどんな気分だったのでしょう。

母は(母に)仕事があって良かったと言っていました。もし仕事もしていなくてずっと家にいたら私と共倒れになっていたとのこと。

父も母も一向に社会に出ていかない情緒不安定な息子の存在に焦りを感じていたと思います。私が親なら将来を案じて焦って部屋から引きずり出していると思います。しかし、それをやってしまうとますます家族関係は悪化してしまい、ひきこもり当事者は荒れるような気がします。

車いすユーザーの彼女

元彼女という言い方が適切だと思います。

彼女は家族に大切にされているようには見えませんでした。小さな頃にお母さんが亡くなってしまい、学生時代に難病に罹り現在は車いす生活。私の感覚なら家族で守っていかないといけないと思うのですが、大切にされているように見えませんでした。

そのことを彼女に告げると、このように言われました。

「世の中には色々な家族がおるんよ・・」

恥ずかしながら、他人の家族を見て私は自分がどれだけ恵まれているかに気付いたのです。

家族って何でしょう・・。愛情もあるし、苛立ちもあります。
もし子供に問題が発生したときの心労は凄まじいものがありますし、障害を持った子を持つ親などを見ていると、そのような覚悟は私には持てません(子供にトラブルがあるという前提が良くないな・・)。

私は年齢のこともありますし、いまさらという思いがあって、家庭はいらないと思いつつあります。

それよりも、この記事を書いていて父に聞きたいことが思い付きました。なぜある日から私に対して今のようにウエルカムの姿勢になったのか?

そして、私がひきこもっていた時代に、なぜ毎日部屋に顔を出すようになったのか?

そして感謝していることも伝えてみようと思いました。とても勇気がいるけど・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?