見出し画像

ダンサー・イン・ザ・ダークというミュージカル映画

最近『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観ました。大いにこの映画に感動したので、ネタバレありで感想を書きます。


ストーリーは以下を参照してください
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Dancer_in_the_Dark
(情報量が多いので英語版)


最初観たときは主人公に襲いかかる不幸の連続で思わず笑ってしまい、世間一般で言われる映画史上トップクラスの鬱映画と言われるだけあるなと思ったのですが、自然と現実からミュージカルシーンに移るときの巧みさ、手持ちカメラによるリアリティ感ある演出、そして音楽の素晴らしさ(特に107 Stepsのオーケストレーション。美しく絶望的な印象の楽曲。オブリガートもいい感じ)が相まって、ただの鬱映画ではない、新奇なミュージカル映画だなと感じました。以下思ったことや気づいたことを羅列します。


・"I've seen it all"の歌詞は結構この映画に関するヒントが隠されているなと思います。"I've seen a man killed by his best friend(ある男が彼の親友によって殺された)"は、このあとセルマがビルを撃って顔面強打でとどめを刺すシーンを表していると思えるし、エンパイアステート、エッフェル塔、ナイアガラの滝など、世界の名所が出てきますが、これらは世界の名所と同時に自殺の名所でもあります。結構「死」を連想させますね。
あと、「王様」「ペルー」という単語は、人を処刑して裁判にかけられ絞首刑っていう部分でインカ帝国末期のアタワルパ王とかけているのかな?と思った次第。「万里の長城」「天井が落ちてこなければ」はよくわからんかった。


・最後から二番目の歌を歌っているときに心臓の鼓動音が鳴っているのを最近知りました。てかイヤホンして大音量で聴かないと分からないレベルに音が小さい。


・死刑執行後、幕をしめる際に床に落ちたジーンのメガネをよくみてると、刑務官が気づかずにメガネを蹴っています。何度も観るとじわじわきます。

・そしてこの映画において結構重要な技術だなと思ったのが、冒頭にも書いたとおり現実のシーンからミュージカルを空想するシーンの切り替わりの巧みさ。これは本当に感心しました。自分はミュージカル映画は好きではないのですが、その理由の一つが「突然歌い出す」です。しかしこのミュージカル映画はそれを感じさせません。ミュージカル場面が主人公の空想上にあり、さらに現実から空想へは自然と変わるので、観客は違和感なしにミュージカルシーンを楽しむことができます。


ざっとこんな感じです。定期的に観たくなる映画なのでした。自分みたいにミュージカル映画が好きではない人にもオススメです。また新たな発見があれば追記しておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?