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ポストカード文通①

 北海道に住む肉親から住所の確認の連絡が来たのは11月も終わりの頃だった。

 唐突な連絡だったので「蟹でも送ってくれるのか」と下心を出したのだが、黒い猫の配達員が来る気配はない。私はというと、相も変わらず日本全国を飛び回る毎日を送っていた。

 住所の確認からちょうど一週間ほど経った頃、郵便受けにポストカードが届いた。くだんの肉親からである。彼女らしい整った大き目の文字、これは何歳になっても変わらないらしい。そして書かれた内容から感じられる明るさ。みっちり文字の詰め込まれたポストカードには、彼女の住所を書くスペースがなかったらしい。私はメールで本人に住所を確認するとすぐに返事を書いた。ポストカードを集めることが趣味である私は、無数にあるコレクションの中からファイリングされていない束を手に取る。彼女からは北海道の馬の写真のポストカードが届いたので、私は出張や旅で訪れた場所のものにしようと考えた。いくつか束を眺めていると、2017年にサンフランシスコのシュルツミュージアムに行った時に購入したスヌーピーのポストカードを見つけた。ポストカードをコレクションする中で、特に問題なのが「使う用」と「コレクション用」。ここ何年も文通などとは縁がなかったせいで、「使う用」を殆ど購入していなかったのだ。幸いミュージアムの横にあるスケートリンクの写真にスヌーピーのイラストがプリントされた大判のポストカードは仕事用として使う機会があるかもしれないと思ったのか、同じ絵柄を複数枚購入している模様。サンフランシスコに行ったのは今のところその一回きりなので、ちょうど良いこれにしようと決めた。

 かれこれそれから一ヶ月になる。肉親からその間に届いたポストカードは昨日鹿児島からの帰りに郵便受けをのぞいて見つけたもので4枚目を数える。北海道から横浜までは、到着までに投函からおよそ一週間ほどかかるようだった。私は先々週の長崎出張の際に2枚目を現地から送ったのだが、可愛らしいカステラのイラストが描かれたポストカードよりも、もしかしたら世界新三大夜景に選ばれたという稲佐山のブルーなんとかという夜景写真のカードの方が良かったかもしれない。先日の鹿児島からもポストカードを出そうと思ったのに旅に夢中ですっかり失念したので失態だ。これは後悔がある。予定も立てずに桜島まで乗った時点で頭から抜けてしまったのだ。

 今月も残すところ約一週間。明後日には肉親に会う約束を取り付けているのだが、その前にクリスマスカードを購入して投函する予定だ。

 ところで、クリスマスカードの配達日時指定はできるのだろうか…?


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