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熊本の原風景

熊本の天草に住んで2年。

今日も深呼吸をすると、春の草花と海の匂いで晴れやかな心持ちになる。景色は綺麗だし、食べ物はうまいし、そのせいか日々の充実度も高い。

ところで、SNS時代の今は、キラキラした写真や動画たちであふれかえっている。でも、それらを見るたびにこの頃思う。

「え、熊本って、地球上でかなり綺麗なところなのでは!?」

そこで、美しい熊本をしっかり推しておきたいと思い立ち、noteを開いてみた。

最初に言っておくべきことがあるとするならば、春夏秋冬2周の中での最高な場面を取り出している、という点だろうか。

2年も住むと、せっかくの大自然の景色も、荒れた天気で全く見えないことがある。
湿度が高すぎてうんざりする日もある。
行きつけのお店も、たまにおいしくないこともある。

それでも、やっぱり最高だと胸を張って言えるのは、たぶん熊本が好きになったからということだろう。ただ、その好感を差し引いて客観的に見たとしても、かなりいいところなのではないだろうか。

そんな熊本を、アピールしたい。

1. 山の概念が変わる、阿蘇

やっぱり熊本といったらベタに阿蘇だろうということで、まずは阿蘇の推し活だ。写真ではリアルの迫力の10パーセントくらいしか表せないのが悔やまれるが、山の概念が変わるところである。

「レストラン北山」の裏から見る景色がイチ推し

なんというか、本当にでかい。

いわゆるカルデラと呼ばれる地形が見られ、真ん中に大きな凹地がある。

写真のように、その凹地に町があり、回りを1000メートル級の山が囲んでいる構造だ。とてつもない規模に、畏怖してしまう。

まるで「進撃の巨人」に出てくる壁のようだ。(実際はそれより圧倒的に大きいから、阿蘇の方がすごい!)

この山々が尾根道となっていて、車で走るととても気分がいい。まるで日本にいるとは信じられないような光景だ。

そして、それらの山々の中に草千里ヶ浜と呼ばれるところがある。

馬が小さく見える
草千里ヶ浜の天気は変わりやすい

一面の緑に、距離感が麻痺してしまう。

頭ではこの草たちをミニチュアの様に感じつつ、歩いていくとその感覚が裏切られる、といったことが繰り返される。

「もう少しであの草のところまで行ける!」と思ったら、
「え、まだまだ距離がある…!?」といった感じだ。

草のひとこぶひとこぶは写真で見るよりも大きいし、それらが無限に続いているように感じる。幻想的すぎてゲームの中にいるようだ。(むしろ、こういった場所からインスピレーションを得てゲームを作ったのかなと思った。)

そして、秋になると少し違う顔をみせる。一面、黄金色になるのだ。

秋は一面、黄金色

広く高く青い空に、金色と緑が映える。おすすめの季節。

(ちなみに冬は道が凍ったり、枯れ草が多かったりと、推しにくい季節かもしれない…)

2. 海とともに生活する、天草

やっぱり住んだからには、激推ししないとならないのが、天草である。
何気ない日常の中に、海がいつも居る。

私の住んでいる町

水はとても透き通っていて、浅い部分は底が見える。内海ということもあり、穏やかな表情の海に、いつも癒されてきた。土日の朝は、この海岸でコーヒーを飲むところから1日を始めるという贅沢をしている。波の音が心地よい。

夕焼けは何度見ても美しい

この地域は、基本的にすべて小規模から中規模の島でできている。
島がたくさんあり、橋をつたって移動していく。場合によっては、船を使うこともある。その島の多さから、日本三大松島にも数えられるほどだ。

ツツジと桜の向こうに島々が見える

ところで、天草の奥の方に行くと、世界遺産があるのをご存じだろうか。﨑津(さきつ)と呼ばれる町がある。ここは昔、隠れキリシタンが潜伏していたと言われている場所で、街並みがそのまま世界遺産となっている。

﨑津の海は、エメラルドグリーン

とにかく海の色が深く、吸い込まれそうだ。綺麗だなと歩いていると、よく猫に遭遇する。かわいい。

﨑津はぼーっとするにはうってつけの場所

﨑津から少し北に行くと、アコウとツバキで有名な公園がある。天草のラピュタと言われているらしいが、賛成してくれるのは半々くらいだろうか(筆者統計)。見出しの写真もこの公園内のものだ。

約20mのアコウの木と岩たち

そして、この公園の入り口にあるベンチからみる海は、私が天草で一番好きな海だ。高台になっており、広い広い海を見渡せる。水平線の向こうは中国があるはずだ。そう、ここは東シナ海である。

ここの海が定期的に恋しくなる

この地域には、名前に「海」が入っている人が多いと感じるが、これだけ綺麗な海があれば、それもそうだろうとうなずける。

3. 日本の田園風景が残る、高千穂

熊本空港から1時間20分くらいでいけるところに高千穂(たかちほ)という場所がある。ここもすこぶる推せる地域だ。正確に言うと、熊本県内ではないのだが…
(県境からすぐの宮崎県内にある)

まず高千穂峡には驚かされる。阿蘇山の大噴火で噴出した後固まった溶岩が、川によって浸食されてできた谷らしい。もはや深すぎて、谷というより崖である。

このボートの予約争いには、敗れ続けてきた…

この谷を見下ろしながら歩くときの感覚は、ここでしか味わえないものではないだろうか。

夏の高千穂峡
秋の高千穂峡

次に、天岩戸神社である。アマテラスが、弟のスサノオのことで怒り、お隠れになった場所とされている。

写真にはおさめられないが、そのとき姿を隠れたとされる洞窟も見られる。そして、そのアマテラスをどうやって洞窟から連れ出したのかのエピソードを、神職の方が語ってくださる。古事記で伝えられている内容である。そのありがたいお話を聴いたら、なんだか教養が深まったような気になってしまう。

この先にアマテラスがお隠れになった洞窟がある

さらに奥には、石積みの祈願で有名な場所もあった。

天安河原(あまのやすかわら)で石を積む

このように高千穂は自然・文化どちらも豊かなのだが、私が一番好きなのは、実は村の風景である。「日本の田園風景ってこのことでは」と思わされ、沁みた。

日本昔ばなしに出てくるような風景

近くに温泉があり、その湯に入りながらこんな景色を見るのは至福ではなかろうか。

ちなみに、さらに付け加えるとするならば、高千穂へ訪れるおすすめの季節は断然秋だ。紅葉の季節である。

赤、黄、緑が織りなす景色

紅葉で、高千穂峡の美しさに拍車がかかっているのはもちろんのこと、熊本からここに来るまでの道のりがとてもよい。

紅葉した木々の中をずっと抜けていくようで、綺麗すぎて言葉をなくしてしまう。

楽しむために大切なこと

以上の3つが熊本(付近)の推し推しの場所である。果たして推し切れただろうか。訪ねるなら、3月~11月がおすすめなので、これからの季節にぜひ楽しんでもらいたい。

ただし、楽しむには必ず確認したいことが一つある。天気だ。

天気が良くないと、上記の写真たちのようには見えないだろう…。
それどころか、雨が強かったり、霧が濃かったりすると、ほぼ何も見えない事態になってしまう。

でも天気は運次第。せっかく来たのにお天気最悪…ということもあるだろう。それでも楽しむためにはどうすればよいか。そんなときは、食べ物で楽しみまくるのが吉である。

そこで、最後にそのあたりも推していきたい。

1つ目は馬刺しだ。
熊本に来たからには食べてほしい食べ物No.1かもしれない。

馬にぎり

おすすめのお店は、「むつ五郎」と「けんぞう」である。ここで馬を存分に堪能してほしい。

2つ目はお寿司だ。
まだまだお寿司は開拓しきれていないが、﨑津にいったときに寄ってほしい、「海月」というお店がある。お任せコースを頼むと、旬の新鮮なお魚を味わえる場所だ。

しめさば+千枚漬けのお気に入りの一貫

実は夜に行くとお得に食べられることがある。お腹いっぱいになる。

3つ目は赤牛だ。赤牛というのは、聞き慣れない人もいるのではないだろうか。脂身の少なく、けれどやわらかい、健康的で最高のお肉だ。

レストラン北山の定食

おすすめは、阿蘇の大観峰の近く、「レストラン北山」である。上でも書いた通り絶景なのだ。または、空港近くの「まつおか」の赤牛丼も美味しい。

4つ目はピザだ。え、熊本でピザ?となるだろうが、絶景(晴れていたら)の場所でうまい石窯ピザを食べたときの気持ちを考えてほしい。

そんな気持ちになれるのは「Tres.03」である。

ローストビーフのピザ

非日常感を味わいたい人や、現実逃避したい人には最強におすすめできる場所だ。

晴れていたら、海の景色でもおなかがふくれそう

他にも…

他にも熊本で推したいところは、両手でも数えきれない。

一方で、実は水俣病やハンセン病などいろんな課題がまだまだ残っている。

TSMCの工場が来て、産業面でもアツいと語られる熊本。

いろんな面がある中で、今回は私の原風景的な存在となったものを綴ってみた。

ぜひ足を運んで、五感で感じることをおすすめしたい。

ワンピースのキャラが熊本全土に

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