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バイアスを克服し、投資で成功する方法とは

投資で成功するための最大の敵は
市場でもなく、
政府でもなく、
相場を操作する勢力でもありません。

最大の敵とは、私たちの脳なのです。

脳に投資を任せるとなぜ失敗するのか、
なぜ口座の残高が空っぽになってしまうのか
についてはこの連載ですでにお話ししました。

投資を成功を邪魔する、
この悪魔のような存在について
もっと詳しく知りたいなら、
ダニエル・カーネマン博士の著書
『Thinking Fast and Slow
(邦題:ファスト&スロー
あなたの意思はどのように決まるか?)』

を読むことをおすすめします。

さて、いよいよこれからは、
私たちの最大の敵である
脳を制圧するための方法を公開します。

この方法を学べば、
脳のバイアス、感情に振り回されずに
投資ができるようになります。

それでは本題です。

**

①買う前に売るタイミングを決める**

株式であれ不動産であれ、
暗号資産であれ、
投資の際には最も重要な
「ゴールデン・ルール」
というものがあります。

これだけは絶対に忘れてはいけません。

そのゴールデン・ルールとは、
まさに
売り時を決めてから買いに挑む
ということです。

投資において最も重要なルールなので、
しっかり覚えておきましょう。

以前の記事で
私たちはお金を実際に投資する前であれば、
ある程度、
論理的思考をすることができますが、
一旦、お金を入れて投資を行えば
論理的思考ができなくなり、
バイアスのせいで
失敗してしまうと述べました。

そのため、人間らしく考えられる最後の瞬間、
つまり、買いの前に
いつ売却するのかを決めなければなりません。

相場は上がることもあり、下がることもあり、
全く動かない可能性もあります。

「売るタイミングは
どうやって判断するんですか?」

と、疑問に思う方も
いらっしゃるかもしれませんが、
相場のシナリオは大きく3つしかありません。

価格は上がるか下がる、
もしくは全く動かず一定になることです。

この3つのシナリオに対応する
売却のルールを作り、
その状況になれば、ルールに従うだけです。

例えば1日1回、
ビットコインの相場を確認するとします。
ビットコインの価格が
5日移動平均
(過去5日の終値の平均)以上であれば、
資産の20%でビットコインを購入します。

売りはどうするかというと、
同じく1日1回、
ビットコインの相場を確認して
価格が5日移動平均以下に下がると、
売ります。

これがまさに買いの前の
売りタイミングを決める一つの方法です。

購入後、
5日移動平均より
価格が高ければ保有しますが、

5日移動平均より
価格が低くなれば、
その日に売ります。

非常にシンプルですが、
実際に投資をしたら
どんな結果が出るんでしょうか。

グラフで確認してみましょう。

5日移動平均の買い戦略の収益グラフ(2013.11~2019.12)

2013年11月から2019年12月までの6年間で
計266.8%、複利で21.1%の収益が出ました。

さらに、MDD(用語が分からない方こちら)は
18.55%に制限することができました。

つまり、この戦略を使って
投資していれば「最悪の状況」でも
損失を資産の18.55%に抑えることができたのです。

ビットコインの価格が
90%以上下落した期間が
あったことにもかかわらず、です

他の方法もあります。
特定の戦略に従って
ETH(イーサリアム)を購入したと仮定します。

イーサリアムも
先ほどの3つのシナリオ
「価格は上がるか下がる、
もしくは全く動かず一定になる」
にだけを準備すれば良いのです。

例えば、値動きによって
以下のように計画を立てられます。

値下がりしたら:20%下落すれば、損切りする。
値上がりしたら:最高値に比べて20%下落すれば、売る。
価格一定の状態が続くと:一ヵ月後に売る。

あらゆる状況に適用できる
売りの戦略は存在しません。

しかし、脳がバイアスに左右される前に
どんな状況で売るかを先に決めて置いて、
コインを購入した後は
先に決めたルールに従うだけで、
他の投資家よりも、
数歩先を歩むことができます。

**

②一度決めた戦略は最後まで推し進める**

この記事を読んで、
リターンは高く、
リスクは低い戦略を開発したし、
どんな条件が満たされたら買うか、
値動きにかかわらず、
いつ売るかもちゃんと決めました。

という方、
もう少しお付き合いください。

いくら準備万端でも
実戦に入れば、
あらゆる状況に出会います。

戦略によって
コインを購入したら、
その瞬間、
急に価格が下がる場合もあるでしょう。

午前10時には20%上昇して喜んだけど、
売りたい衝動を抑えて、
戦略通り、
売りのタイミングである
午後12時になって見てみたら
-5%になっていた・・・。
悔しいけど-5%で損切り。
みたいな状況に
たくさん遭遇します。

どんなハードルが出てきても、一度決めた計画に従うのが大事!(Source: https://www.75th.tokai.ac.jp/hakone/spot/index.html))

上記の場合、
多くの人は
戦略を最後まで貫かず、
途中で、
勝手に戦略を変えたい誘惑に
負けてしまいます。

しかし、それは絶対にダメです。

それはバイアスによって、
正常な判断が出来ない状況なのに
論理的に考えて作った
優れたルールを
破壊してしまうということです。

どうしても戦略を修正したければ、
ひとまず、
保有資産をすべて現金化してください。

そうすれば中立性と客観性が確保され、
再び冷静に考えることができます。

もう少しストレートに言うと、
いくら優れた戦略を作っても
従わなかったら何の意味もありません。

作った戦略を
実戦で使ってみたら、
効果がない事という声を
よく耳にします。

その理由は私たちが作る戦略の勝率は50%、
高くても、60%を越えられないからです。

つまり、10回投資すれば
大体4、5回は損するということです。
勝率が60%の戦略に
10回投資して
10回儲かることを
期待するの方が、むしろおかしいのです。

そのような戦略は
世界のどこにも存在しません。

50点の戦略を
純粋にただひたすら実行する方が、
90点の戦略に従わなかったり、
主観的に判断して
台無しにするより遥かにましです。

前述の移動平均戦略は
実は100点満点中30点の戦略です。

あまりいい戦略ではなく、
ただの事例として提示したものです。

それでも複利36%、
MDD 15%程度の成果が出ました。

もちろん、これから次々ともっと楽しい内容と
戦略がたくさん出てきますので、お楽しみに。

**

③プライドを捨てる**

投資は自分の意見が正しいことを証明するのは
重要ではありません。

あくまでも、
お金を稼ぐことが大事なのです。

投資する際のバイアスに関して、
述べた文章を改めて、
分析してみてください。

よくよく考えると、
ほとんど全てのバイアスは
「プライド」と関係があります。

プライドは捨てましょう。

私が間違ってるはずがない。
(自信過剰、確証バイアス、少数の法則)

私が間違っていることを絶対認められない。
元本割れのまま売ったら
自分が間違っている事を
認めることになるんじゃないか。
 (損失回避、気質効果)

もちろんプライドそのものが
悪いと言っている訳ではありません。

しかし、投資には邪魔なものです。

高いプライドのせいで
口座残高がすぐに0になったり、
財政が破綻する可能性があるのです。

偉大なトレーダーたちの勝率が
どの程度なのかご存じでしょうか?

100%の人は誰一人おらず、
意外と30~40%程度の場合が多いのです。

彼らも10回取引すれば、
6、7回はお金を失うということです。

ただ、自分のミスを
早く認めて損失を最小化し、
正しい決定を下した時に、
たくさん利益を出すことができるので
損益の割合がいいのです。

優れた損益の割合で、
低い勝率を挽回するのです。

先ほどのなめらかに見えた
移動平均戦略の勝率は
たった39.9%です。
178回取引して、利益を出したのは71回のみ。

しかし、勝つ時は14.98%利益を出し、
負ける時は、たった3.0%の損失なのです。
損益の割合(収益/損失)がほぼ5です。

私たちは資産の20%だけを投入したので、
勝つ時は平均3.0%儲けて、
負ける時は、0.6%だけ損しました。
それで4年以上の間に、
あのように立派な収益が出たのです。

④損失は当たり前、利益はただの運

前の文章でも言及した
ソープ教授や中の人の知人の事例を
思い浮かべながら
謙虚に事実を受け止めた方が
良いかもしれません。

私たちはお金を投入した瞬間から、
正常な判断ができなくなります。

お金を投じる前に
「今回の取引ではきっと損するだろう」
と覚悟しときましょう。

そういうスタンスでいれば
損失を被って、売る時が近づけば
「そうだよな。
自分が投資で稼げるなんてありえない。」
と軽く見過ごすこともできるでしょう。

一方、投資で利益が出たら、
どうすればいいのでしょうか?

「投資で儲けるなんて、 ラッキー!
 でもそんなうまい話ある訳ないから、
次にはきっと損するだろうな。」
と思っていた方が良いかもしれません。

運は人生でも投資でも大事です。運が良かったことに素直に感謝しよう!

損したことを当たり前に考え、
得したことを運のおかげと考える。

この姿勢、非常に重要です。

とても気持ちが楽になりますよ。

残念ながら、ほとんどの人は
正反対に考えてしまいます。

「自分が投資したから勝つのは当然で、
負けるのは、彼ら(政府や相場を操作する勢力、
他の投資家ら)のせいだ!」

と思う人がほとんどです。

精神的に疲弊し、
利益を出すのに何の役にも立ちません。

優秀なトレーダーの大半は50%以上
失敗していることを
心に留めておきましょう。

**

⑤ MDDは必ず20%以下に維持する**

損失が出るのは誰でも嫌ですよね。

では、どれくらいまでの損が平気で、
どれくらい損したら、
平気だった人が
理性を失うことになるでしょうか。

多くの投資家に聞いたところ、
意外と「20%」と言う人が多いです。

これよりも、もっと損すると
元本を取り戻そうと無理に投資し、
資産が半分になって
自暴自棄の状態で投資そのものを
諦めるケースがほとんどです。

MDD(最大ドローダウン)は安定的な投資にとても大事な指標 (Source: https://sherry-toushi.com/money-management/))

暗号資産への戦略のうち、
複利で3桁の収益率を
達成できる戦略も少なくありません。

しかし、
その場合MDD 50%を越える方が多いです。

このようなMDDを経験すると、
ショックが大きすぎて、
計画していた戦略を進められない可能性が
非常に高いです。

また、暗号資産の市場は
MDDを20%にまで抑えることは
非常に困難です。

なぜならば、
暗号資産は
1日に20~30%下落する事が多いからです。

しかし、暗号資産の市場でも
MDDを20%に抑える方法はあります。

今後はMDD 20%以上の
悲劇を避けられる方法を紹介しますね。

暗号資産への投資も
結局、確率ゲームです。

勝つ確率が半々だと、
10回取引して、10回全部負ける可能性も0.098%です。

そして、金融市場では
不思議なことに確率が非常に低いこと
(ブラック・スワン Black Swan)が
しばしば起きます。

ブラック・スワン理論とはめったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象のこと

ダウ・ジョーンズが
1日に27%下落するといったい、
誰が想像できたんでしょうか?

しかし、1987年に実際に起きました。

つまり、確率50%の戦略を用いて、
10回全部負けるのは、
確率では0.098%でも、
「十分ありえます。」

そのようなブラックスワンが起きたとき、
つまり、10回連続負けてしまったとき
総資産に比べ、
20%以上は絶対に損をしないように
防ぐことは可能でしょうか?

答えは
「可能です。」

リスク・マネジメントを学びながら、
自然に会得していきましょう。



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