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【知らないと危険?】暗号資産投資の基礎知識

具体的な戦略をお話しする前に、
まずは投資の基礎について、
解説していきます。

投資を始めるならば、
基礎を知らなければいけません。

投資の基礎といっても
覚えることはたくさんあるのですが、
まずは知っておいて損はない
投資用語から始めてみましょう。

また、あなたの暗号資産投資の実力が
どのくらいなのか知る方法も
記事後半に書いていますので
ぜひ、チェックしてみてください。

今回の記事の内容は、
株など暗号資産以外の投資でも
役に立つと思います。

それでは本題です。

まずは投資の用語をしっかり覚えておきましょう!

▼トータルリターン(Total Return)
戦略で稼いだ総合収益です。
パーセント(%)で表記します。

戦略を通じて資産が1万円から
8万円に増えたら、
トータルリターンは
((8/1)-1)x 100=700%になります。

▼複利リターン(CAGR)
総合収益を年平均収益率に換算したものです。
4年間総合収益が200%であれば、
 複利リターンは50% ではありません。

複利リターン=(1+総合収益)^(1/年数)-1

上のケースの場合、
複利リターン=(1+2)^0.25–1=31.6%
になります。

言い換えれば、
31.6%を4年連続稼いだら、
元本が200%増え、
すなわち3倍になることです。

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複利の魔法(Source: https://ameblo.jp/fwna1503/entry-12546666650.html))

▼MDD(Maximum DrawDown)
MDD(最大ドローダウン)とは、
通算利益率グラフの山から谷までの
損失幅のうち、
最大の数値を言います。

このポートフォリオには
現金資産も含まれます。

例えば、太郎が1億円分を
ビットコインに投資したが、
いきなりビットコインが70%暴落し、
財産が3,000万円になり、
再び上がって1億円になったとしましょう。
この場合MDDは70%です。

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最大ドローダウンとは簡単に言えば「投資期間中の最大損失率」のこと (Source: https://fx-mono.com/importance-of-drawdown/))

もし1億円の10%、すなわち1,000万円だけ
ビットコインに投資したとしましょう。

それでは1,000万円は300万円になり、
再び回復して1千万円になったのです。
この場合、MDDは7%になります。
ポートフォリオ全体は
1億円から9,300万円に下落した後、
再び1億円に上昇したからです。

太郎が投資したビットコインは
確かに70%に割れましたが、
太郎の資産のMDDは
これよりはるかに小さいです。

暗号資産市場のMDDはどれくらいでしょうか?

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、
2017年に急騰した暗号資産は
2018年1月から大幅に下落しました。

下記に示した2018~2019年
メジャーな暗号資産の下落幅を
見てみましょう。

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非常に恐ろしいMDDですね。

ビットコインは87.7%も下落し、
他の暗号資産はすべて90%以上下落した上に、
下落幅が99%以上の暗号資産もあったのです。

この全ての下落が2年間で発生しました。
しかし、この2年間の下げ相場が
最も深刻だったのかというと、
実はそうでもありません。

ビットコインは2009年以降、
深刻な下落が数回ありました。

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ビットコインの主な下げ相場の区間と下落率、新高値達成までの期間

2018年の下げ相場は非常に強力で、
ビットコインは87.7%も暴落しましたが、
ビットコインはその前にも
大暴落したケースが多く、
最高値に比べて90%以上下落した場合が
2回もありました。

また、2013年11月30日から410日間、
つまり年を超えて85%以上
下落した場合もあります。
この時、新しい高値を回復するまで、
3年もかかったのです。

暗号資産の市場は
株式市場とは比べられないほど、
価格変動が激しいです。

特に、個人投資家は
全ての財産を非常に短時間で失いやすい
というリスクの高い市場なのです。

しかし、この連載を最後まで読んで、
内容を十分に熟知した上で投資をすれば、
資産比20%以上、失うことはないでしょう。

▼バックテスト
バックテスト(backtest)とは、
特定した投資戦略を適用した場合、
過去の収益率がどの程度だったかを
シミュレーションするプロセスです。

この連載でさまざまな戦略を提案しますが、
その戦略をそのまま真似していたら
実際にお金を稼ぐことができたのか
検証が必要です。

このため、この連載で
紹介するすべての戦略は、
バックテストの結果を提供しています。
バックテストを正しく行うために
過去のデータが必要です。

ここでのビットコインのデータは
① www.bitcoincharts.comからとっており、
② イーサリアムなど、
その他の暗号資産の場合は
www.coinmarketcap.comにあるデータを使用しました。
③ 同時に複数の暗号資産に
投資する複数通貨の投資戦略の場合、
www.coinmarketcap.comに表記された
ビットコインのデータを使用しました。

もちろん、バックテストの結果は
過去の結果です。
そして、過去の収益が
将来の収益を保証するわけではありません。

バックテストというプロセスを
「過去のデータを持って
過去の収益を推定する手段にすぎず、
バックテストで作った
右肩上がりのリターン戦略は
既存のデータに組み合わせたものに過ぎない」
と非難する人もいます。

そのため、過去のリターンカーブが
未来にもそのまま維持されるとは
いえないことから、
こんな試みは無用だと主張します。

バックテストの結果が
未来に同様に再現される
という保証はもちろんできませんが、
だからといって、
このようなロジックは
妥当なものとも言えません。

 バックテストの主な目的の一つは、
過去のデータに基づいた値動きから
規則的に現れるパターンを見つけることです。

この過程を経て、
見つけた意味のあるパターンが
常識的で明快なロジックで説明できれば、
これは単に過去のデータに
組み合わせたものではなく、
市場の規則的な属性と見なすことができ、
私たちは紛らわしい値動きの中、
これを磁針として
トレードの原則を守っていけるでしょう。

バックテストが過去のデータで
行われて無用だとすれば、
それでは代案はあるのでしょうか?

不完全だといって
検証もせずに勝手に投資するよりは、
過去のデータで検証して投資することの方が
安心だと思います。

もちろん、この連載で紹介する投資戦略は
過去の特定期間に限って
有効だったのかもしれません。

したがって、
 ① 特定した投資戦略が暗号資産市場以外に
他の市場、特に株式市場でも有効かどうか
分析しなければいけません。

できるかぎり多くの市場で
テストする方法が良いでしょう。

特定の戦略が暗号資産の市場、
日本、米国の株式市場など
複数の株式市場で効けば、
この戦略の結果は偶然の結果ではなく、
優秀な戦略である可能性が高いでしょう。

 ② 戦略が上げ相場、下げ相場、横ばい相場で
どのようなトレンドを見せるのかをチェックすることが必要です

2017年暗号資産の市場に
飛び込んだ投資家らは
上げ相場だけを経験したはずですが、
2013年11月、ビットコインが
16万円台まで上がって
2015年9月に1万円台に落ち込んだことも
ご存じでしょうか?

バックテストは上げ相場だけで
検証しては絶対にいけません。

上げ相場の後には、いつか下げ相場も来るし、
投資家らが右往左往する横ばい相場も
来るのです。

皆さんが選択した投資戦略が
上記の二つの条件を満たしたのであれば、
すなわち他の資産クラスでも効果があり、
上げ・下げ・横ばいいずれの相場でも
成果が良ければ
戦略に対する確信が
さらに生まれるのではないでしょうか。

選択しようとする投資戦略が
過去には良い結果を出したのか、
未来にも良い結果を出す可能性が高いのか
を判断するために、
バックテストは投資戦略を決める前に
必須的にクリアしなければならない
ステージです。

皆さんも直接上記のソースから
データをダウンロードして
バックテストをしてみたらいかがでしょう。

このブログでいくら特定の戦略を
オススメしても、
100%信頼することは難しいでしょう。

自分が直接データを
ダウンロードして戦略を検証してこそ、
その戦略に対する信頼が強まるのです。

▼勝率
勝率=0%以上の収益を上げた取引/全取引の数。
10回取引して4回収益を出したら勝率は40/100=40%です。

▼損益比率
収益が出た場合の収益金額を
損失が出た場合の損失金額で割った指標です。

10回取引をして4回収益を出しましたが、
収益がそれぞれ3%、7%、5%、3%で、
-1%、-2%、-1%、-2%、-1% 、-2%の
6回の損失を出した場合は、
コスト比率はいくらでしょうか。

収益がある時稼いだ平均収益、
こうした(3 + 7 + 5 + 3)/4=4.5%を
損害が出る場合の平均損失
(-1–2–1–2–1–2)/6=-1.5%で割れば
それが損益比率で4.5 / 1.5 = 3です。

このケースでは勝率が40%に過ぎないですが、
勝つ時が負ける時より
3倍以上の儲けを取って収益を出す戦略です。

逆に勝率は75%を誇るが、
勝つ時は平均2%をとって
負ける時は、8%を失うのであれば?
損益比率は2/8 = 0.25です。

勝率は高いのに損失が出るのです。
単純に計算してみればわかります。

2%を3回とると6%ですが、
一度負けた時に8%を失ったら、
トータルリターン(総合収益)は
6–8 = -2%なのです。

次の表は、
それぞれの勝率で収益を出すためには、
どれくらいの損益比率を
達成しなければならないかを示しています。

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75%の勝率だと損益比率が0.33以上であれば損はしないという意味です。

ここで留意しなければならない点があります。
多くの投資家は「勝率」に
こだわる傾向があります。

しかし、勝率が高くても、
勝つ時に儲けが少なくて、
負ける時に大きく損をしてしまったら
何の意味もありません。

トータルリターンに及ぼす影響は、
勝率より損益比率のほうがはるかに大きいのです。

有名な株式トレーダーたちも、
勝率が30–40%の場合が非常に多いということをご存じでしょうか?
「たかが30–40%の勝率で
どうやってお金を稼ぐんだ?」
と疑問に思う人もいるでしょう。

答えは簡単です。

優れたトレーダーは損切り区間を短く取り、
損失はできる限り少なく、
勝つ時にたくさん利益を得るのです。

このため、損益比率も非常に高いです。
これで低い勝率を十分にカバーしても、
おつりがくるのです。

あなたの投資の実力をチェックしてみよう

みなさんはご自分の暗号資産の投資の実力を
知りたくないですか?

その方法はとても簡単です。

このブログを読んでくださっている
多くの方は、
暗号資産への投資経験が
あるということでしょうか?

もしそうであれば、
最近の取引50件以上を分析して
損益比率を計算してみてください。

それぞれの取引で勝った場合には
平均何%の利益を得たのか、
負けた場合には平均何%を損したかを
計算した後、
前者を後者で割ればいいだけです。

もし推定損失が大きすぎて
売れなかった暗号資産があれば、
今日売ったと仮定して損益比率を計算します。

このように測定した損益比率で
ご自分の投資実力を
冷静に評価できるでしょう。

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あなたはどれに当てはまりますか?

あなたの実力はどうでしたか?

ガッカリした方もいらっしゃると思いますが、大丈夫です。

長期的に損益比率が1を超える投資家は
投資家全体のわずか3–5%程度と推定されます。

このブログを読み終えて、
その投資戦略を実現しても
「投資の神」になるのは難しいでしょう。

しかし、プロまたはトッププロレベルは
無難に達することができます。

そうなるためには、
まずこの連載の内容を理解して
実行に移さなければいけません。

▼手数料+スリッページ
経済学者たちは金融取引を
「ゼロサムゲーム」と揶揄してきました。
残念ながら、彼らは間違っています。

私たちは無料で暗号資産を
取引できないのです。

なぜなら、取引所に手数料を
払わなければならないからです。

bitflyerの場合、
10万円未満だと手数料は0.15%で
取引量が多くなればなるほど
手数料が下がります。

スリッページとは
成行注文(Market Order)を入れた場合、
流動性(Liquidity)不足で
自分が希望する価格より
少し高く買い注文し、
希望する価格より
少し安く売り注文することにより
生じる費用です。

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板状況サンプル (Source: 2020.02.04 11:00、リキッド取引所 BTC/JPY)

例えば、2020年2月4日11:00分の時点で
ビットコイン(BTC)の最終締結価格が1,008,074円でした。

自分がビットコインを
1BTC買いたいとすれば、
すぐ0.101BTCだけ1,008,074円で
購入できます。

それなら、今すぐ0.3BTCを購入したいなら、
ひとまずその0.101BTCを買い、
残りの0.199個はもっと高い価格を支払って
買わなければいけません。

具体的には1,008,184円に0.04BTC、
1,008,287円に0.0871BTC、
1,008,288円に0.03BTC、
1,008,289円に0.018BTC、
そして1,008,299円に0.0239BTCを
買う必要があります。

この場合、
買い注文の平均価格は1,008,203円で、
もともとは買い注文しようとした
価格である1,008,074円より
0.013%高いです。

これがまさにスリッページコストです。

このコストを支払うことがいやなら、
1,008,074円で
指値注文を入れて待っている方法もあります。

しかし、その場合価格が急激に上昇したら、
その価格で買い注文ができるという保証も
できないのです。

上記のケースでは
スリッページコストはあまり高くないですが、

① 大規模な買い注文をする場合
② 市場の流動性が急激に減った場合

スリッページが急増する可能性があります。
このような理由で
正確なスリッページコストを
測定することは不可能です。

この連載ではほとんどの戦略に一括的に
手数料+スリッページコスト0.2%
適用しようと思います

主観的ではあるものの、この程度なら
スリッページコストを
保守的に測定していると思います。

今は上記の内容が
全く理解できないかもしれません。

この連載を最後まで読んで
理解できるようになっていただければ
幸いです。

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