【04】人生期待値論

 「人生とは選択の連続」です。いきなり使いまわされた常套句で冒頭に入ろうとしていますが、今回は選択についての話をしたいと思います。
 私の人生で一番高校数学が役に立っているのが、期待値という存在です。高校数学をきちんと将来に応用できる自分の素晴らしさに感動がつきませんが、迷った時の判断としては非常に便利です。
 サイコロを一度投げた場合の期待値はいくらか。それは3.5です。ただし、サイコロの目が出る確率が同様に確からしいという懐かしい文句が付きまとう限りですが。

数式にすると 
事象発生確率×発生時の値 ←これの総和=「期待値」
となります。
この3.5が意味するところは、サイコロを投げ、出た目が4~6の場合はラッキーであり、反対に1~3の場合はアンラッキーであるということです。何をいまさらという感じではありますが。私はこの3.5という数字を念頭に日々を過ごしています。なんかかっこよくないですか?
 この前、サマージャンボを求め、列をなす人々がたくさんいました。宝くじって皆さん買われますか?1億、2億円。ネガティブな私はどうせあたるわけないと思うタイプの人間です。宝くじ買う人をなんとも間抜けだと思う人もたくさんいるでしょう。けれども、人生の期待値的に観ると決して間違った行動だとは思えないのも事実だと思います。先ほども述べたとおり、期待値とは「事象発生確率×発生時の値」であります。つまり宝くじを買う場合、事象発生確率が低く、どうせ当たらないのにと嘆いても、発生時の値が1億円、2億円という壮大なものであるゆえに、期待値がサイコロ的にいう「3.5」を超えているのだと思います。
 この人生期待値は様々な場面での説明が出来てしまいます。例えば、もう付き合えるのぞみがほぼない異性に好意をよせている場合に、「もう可能性なんて薄いから早く諦めなさい」というアドバイスを人はするでしょう。それでも諦めきれないのは、宝くじを買うことと同様で、「発生時の値」がはかりしれない分、期待値的に直すと非常に合理的な行動だと言えてしまうからであります。仮に好意を寄せている異性が死んでしまった場合、つまりは事象発生確率が0になり、期待値も0になります。そこで初めて諦めるという合理的選択が行われるのです。
 飲み会の参加に迷っている場合を期待値で考えてみます。先ほど期待値とは「事象発生確率×発生時の値」と申し上げましたが、この数式は様々に応用できます。飽くまでも例ですが、飲み会での参加費が8000円です。中々いい金額なため、気軽に参加するべきかの判断ができません。
「飲み会の面子×飲み会の場所」≧8000円
この数式が成り立つと思える場合に私は参加を決意します。もちろん、「飲み会の面子×飲み会の場所」からはじきだされる数字は過去の経験を基にした実に恣意的主観的数字ではあります。しかしここで言いたいのは、数式を応用することではありません。重要なのは、もしその飲み会がとてもつまらなくても後悔しないと納得させることにあります。
   サイコロの話に戻りますが、勝負事としてサイコロを一度振る場合、3以上の目が出ればあなたの勝ちであり、2以下がでればあなたの負けというゲームが用意されました。このゲームに参加するべきか、しないべきかの選択をする場合、さいころの目の期待値が3.5であるために参加すると選択することが合理的であります。仮に、そのゲームで1や2が出たとしてもゲームに参加したことを後悔することはなく、運が悪かったと済ませるべきなのです。
 つまりその飲み会も仮に、8000円の価値を感じることができなかったとしても、期待値的に観れば参加するでき案件であり、運が悪かったと開き直ればよいのです。
 
   しかし、こんなことばかり考えると弊害もあります。ネガティブな私の物差しで期待値をはじきだすと、常にサイコロでいう3.5を下回るので、だんだんと世の中のことに対して消極的になってしまいます。

ゴルフにいかない?という誘いの期待値は2.8。
仲の良いクラス会での再会は3.4。
今ここで高いお金をだしてまで食べるアイスの満足感は3.1。

   そしてだんだんと確実に3.5を上回ることにしか手を出さなくなってしまうのです。飽くまでも期待値なので、やってみれば4.5くらいの幸福感が得られるかもしれないと思えるポジティブな人間になってもいいのになぁたまに改めようとしたことがあります。特に人間関係については。でもいつも挫折してしまうんです。
   だって私、毎回5か6しか出ない愉快なサイコロ友達がそこそこ揃っているんですよね。そしてそれなら毎回6を出せるようにそこでがんばればええやんってなってしまいます。なんなら期待値の基準4.0にしてもええんとちゃうか?ってこれ書いて思いました。全然改める気ないな、ほんまに。

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