【10】花言葉

 Super flyの「愛をこめて花束を」という歌が好きです。丁度、私が珍しくも、はまったドラマの主題歌だったので知るきっかけとなりました。あまりに有名な曲なので、ご存じだとは思いますが、その歌のサビに
「愛をこめて花束を大げさだけど受け止めて、理由なんて聞かないでよね。」
という一節があります。なんで理由はきかないでなのかを考えたところ、馬鹿な私でもわかりました。愛しているからだ。だいたい現代において個人的に花をあげる間柄なんで、なかなかありません。恋人もしくはそれに近しい関係、唯一無二の親友、親類等、とりあえずそこには愛があるんだということです。もちろん、業務上の付き合いでの造花の提供もありますが、「愛をこめて花束を」の状況下が、新店舗の開店記念だったら、感動をいますぐにでも返してほしいです。
 しかし、考えてみると花束をあげる理由は愛であれど、その愛の理由は様々だと改めて認識するところでございます。と言う風に思考していると、あぁそういえば花言葉ってものがあって、それぞれで理由がわけられているものだなぁと、改めてSuper flyの歌の深さを知ることができるのでした。「理由なんて聞かなくても、花言葉で察してよね!」
 そうか、ここでも察するが来るのですね。「月が綺麗ですね」という題で以前にも書かせてもらいましたが、どうにも日本人っていうのは直接的ではなく、間接的に「ねぇ、わかるでしょ?」というねっとりしたやりとりが好きなようです。しっとり、ねっとり梅雨文化です。冷静に考えて、花言葉ってなんやねん。まだるっこしさ極まりないではありませんか。でもそういうのが、私は好きです。察する文化。こういうところで空気を読むという日本的文化にも繋がるのですね。
 調べてみると、花言葉の起源は、どうにも海外、ウィキペディアさんによると特にトルコ発祥説が有力らしいです。全然日本文化云々の話ではなかったという現実。結局、海外の人も察する文化、直接的ではない言語手段での伝達方法というものに美しさを感じるのでしょう。
 考えてみれば、花言葉や月が綺麗ですね以外にもたくさんの間接的伝達方法がこの世の中にはあります。例えば、老夫婦同士の会話でみられる「あれ、とってくれ。」あれといって二人の間できちんと通じるというエピソードトークを世の中の至る所で聴かれてきたと思います。察する文化の代表例です。
 他にも恋愛漫画のありがちなシーンですが、きまずい関係の二人がなんとなく、二人の思いでの地に赴いて、偶然の再会。「君ならここに来ると思ったよ。」ありえないにきまっていても、そうしたシーンに焦がれてしまうのです。きっとここから熱い抱擁と接吻がはじまります。きてくれるという二人にしか通じない空気を人は感じたいものであります。「耳をすませば」なんて本当にその最たるものですよね。
 ところで、この花言葉。改めて一つ一つ調べてみると実に面白いものでございますので、いくつかご紹介しようと思います。

 薔薇。漢字で書けますか?基本中の基本、花言葉は「愛」ですが、なんと色ごとによっても多少の差異があります。
赤・・・熱烈な恋。あなたを愛しています。
白・・・純潔。深い尊敬。
ピンク・・・しとやか。上品。
青・・・夢叶う。不可能。奇跡。神の祝福。
黄・・・愛情の薄らぎ。嫉妬。
青いバラってあるんですね。知りませんでした。

 イヌサフラン・・・私の最良の日々は過ぎ去った。
今の私にぴったりの花言葉です。今度、コーナンにタネを買いにいこうと思います。

 ごぼう・・・私にさわらないで。いじめないで。
世のいじめられっこは、みんなごぼうを贈るべきだと思うんですよね。毎日毎日、しつこくおくればいつかは相手側が参ってします。いじめないでという花言葉を盾に相手をいじめることができるという一種の不可逆性をもつものなので中毒になりそうです。

 ドクダミ・・・白い追憶。
追憶はわかります。過去に思いを馳せること。しかし、白いってなんなんですかね?ドクダミ自体が白いので、そこでの因果関係はわかりますが、白い色をした追憶って一体どのようなものなのか。何もない思い出に思いを馳せているような感じがして、こちらもいじめられっこの匂いがする気がしてなりません。いじめられっこが大人になってから、いじめていたやつに送るのがドクダミなのかもしれません。残念ながら、私は追憶するものがありません、あなたのせいで。うーん、怖い。

 パイナップル・・・あなたは完全です。
パンチのあるものが来ました。まず、パイナップルに花言葉があるのかよという現実と、お前は完璧であるというまさかの全肯定文です。実際にあなたがパイナップルの花を贈られたら、どう思いますか?よほどの人間でないかぎり、自分が完璧だと思える人なんていないでしょう。私が受け取ったら、何の嫌がらせだ?という疑心暗鬼に繋がることは間違いありません。しかし、ある一部分においてならば「完璧です。」というならば、言われて悪い気がしません。例えば、小学校のテストで満点を取った子に対しては、点数を書いてあげるのでなく、解答用紙にそっとパイナップルの花を添えて返却してあげるのです。その時、その小学生は人生で初めて、日本文化の神髄である察するという文化を覚えるのであります。お洒落じゃありませんかね?
 
 いくつか書き連ねてきましたが、最後に私が花言葉的に一番好きな花は「ベラドンナリリー」です。すごく気になるでしょう?自分で調べてください笑。女性の方は贈呈待っています。

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