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“葬儀の簡素化”をポジティブに捉えるべき

早いもので、葬祭業界に入りもうすぐ4年が終わろうとしています。
今回は、この4年という短い間であるにもかかわらず、明らかにものすごいスピードで進んでいる“葬儀の簡素化”なる現象について、考えたことを書いてみました。
「この4年間」と書きましたが、明らかに4年前とは様相が変化しているのです。
当社が運営する斎場利用においても、“通夜なし”葬儀が明らかに増えてきているし、会葬規模も親族プラスアルファの少人数がスタンダードになりつつあるなという印象を受けています。
まずはこのような葬儀の簡素化について、読売新聞オンライン(2019/03/22)に良記事がありましたのでシェアさせていただきます。

以下、記事中から引用させていただきますと、

「簡素化葬儀が増えている背景には、四つの理由があります。一つは高齢化、二つめは葬儀費用やお布施といったお金の問題、三つめは儀式やしきたりといったものに対する考え方の変化、四つめが明確なポリシーを持って葬儀に臨む人が増えてきていることです。」

と、非常に重要なポイントが書かれています。
特に僕が注目したいのは、四つめとして挙げている『明確なポリシーを持って葬儀に臨む人が増えてきている』という部分です。

「終活」の一般化

最近TVで多く目にする葬儀関連CMのナンバーワンはやはり関根さん出演の『終活ねっと』のCMでしょうか。

この数年で、自治体を含めて終活に関する取り組みがかなり進んでいる印象を受けますし、こうして巨額を投じてCMを流すことができるくらい市場として盛り上がってきているのだなと実感します。
(まぁこうした人間の“死”に関わる一切をビジネスとして捉えるべきか否かみたいな議論は尽きないのですが、もう世の中の流れ的にビジネスとすることを是とする方向で進んでいくことは明らかだし、抗えない流れであると思いますので、ここではあまり考えないようにします。またの機会に。)

マーケティング用語でいうところのコモディティ化に近い状態ですよね。今までは先見の明のある葬儀社が先んじてサービスとして終活をお手伝いしてきたようなものが、いよいよ一般大衆化し、多くの人の関心事となった。
ではなぜ多くの人の関心事となったのか。
その答えがこの記事の冒頭で取り上げた葬儀の簡素化が進んでいる理由のとして挙げられていた『明確なポリシーを持って葬儀に臨む人が増えてきている』からだと、私は思うのです。

葬儀の簡素化改め“葬儀の多様化”である

いうまでもなくスマートフォンの普及が個々人のあらゆる場面での選択肢を広げており、葬儀に関しても例外なく「カスタマイズ」「オーダーメイド」の感覚で行われることが既にスタンダードになりつつあります。
故人の意志を尊重し、家族だけで葬儀を行うことは決して変なことではないし、いわゆる宗教色を廃し、宗教者(お坊さんなど)を呼ばずに「お別れの会」のような形で故人を送るスタイルも多く見受けられます。

このような傾向は変化というよりもむしろ“進化”として捉えるべきであり、葬儀の簡素化は(流行り言葉で恐縮ながら…)“葬儀の多様化”として、決してネガティブに捉えるべきではないと考えます。

葬儀の簡素化をポジティブに捉えていくことで、より多くの方が葬儀に対するマインドセットを変えるきっかけになり、葬儀という文化・慣習の当たり前が見直されるのではないかと思います。
そして結果、葬祭業界とこれまで関わることのなかった新しい人たちが入ってくるようになり、業界が活性化され、葬送文化自体を考え直す良い機会となればと思うのです。

以上。
ということで今年は色々な他業界の方と葬送文化の進化についてお話ができるよう活動したいと思います。(年頭所感)

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