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86に乗った日

(このエッセイは、3つ目の投稿 頭文字Dの魔力 をお読みいただいた後にご覧いただくことをお勧めします)

「86のレンタカーあるよ」
そんな神の啓示のようなことを、A君が言った。
待って嘘だろ、86に?乗れる?まさかな、そんなワケな


そんなワケあったわ。

ということで話はとんとん拍子に進み、ついに人生初スポーツカー乗車日がやってきたのである。
もちろん頭文字Dファンとしては、スプリンタートレノ(以下ハチロク)に乗ってみたい気持ちは山々なのだが、なんせ烏の地元は田舎なので、人気の旧車に乗るには関東圏や首都圏に出向かなければならないのである。
でも、そんなハチロクのスピリットを受け継ぐ86でも、私は全然満足なのである。第一、車についてにわかファンである私にとって、ハチロクなんぞ借りてしまって途中でトラブルが起きたら手も足も出なくなってしまう。それに、当時はAT限定解除からそんなに日にちが経っていなかったので、いきなりハチロクなんて乗りこなせない。A君が運転しているのを、ハンカチを齧りながら助手席で一日中見ている羽目になるなんて、想像しただけで辛すぎる。
こういったことを考えれば、今回のレンタカーでATの86しか選べない点は、私にとっては逆にありがたかったのである。

さて、どんな色が来るのか、個人的には赤か白がいいなぁ、、なんて思っていたら

やっべ、めちゃくちゃ目立つ色来ちゃった🤪
でも、なんて美しい車なんだろう。初めて近くで86を見て、その姿に惚れ惚れしてしまう。
いいなぁ、こんなのに乗ったら毎日が楽しくて仕方ないだろうなぁ、、そんなことを考えながら、滲み出るニヤけ顔を我慢して乗り込む。

深っっっっっか。

シート深っっっか。これがスポーツカーの視点なのか。すげぇ。普段箱型の可愛い軽に乗っているので、全てが新鮮で驚きなのである。
しかし運転してみると、外から見た低さはそれほど感じず、普通に快適な乗用車に乗っているという感覚だった。私の中のスポーツカーのイメージといえば、ガリガリした乗り心地で、揺れて、うるさくて、運転しにくい、(褒めてる)なのだが、それは微塵も感じなかった。今考えれば、ノーマルの状態からこのイメージ通りの車があったとしたら、そもそもまず売れないだろう。
また、昨今割とレアになってきてしまったFRであるため、とにかくヌルっと滑るような走り心地でとにかく気持ちがいいのである。
実は限定解除した際の教習車がトヨタのコンフォートだった(これもFRです)のだが、その時の乗り心地が忘れられず、いつかまたFRに乗りたいと思っていたので、今回86を借りたのはその点においても一石二鳥であった。
パワーがありすぎて、信号が青になった時普通に発進したつもりなのに、ふとバックミラーを見ると後続車がめちゃくちゃ遠かったりして面白い。

さて、この日の行き先は碓氷峠→赤城山という、ベタすぎて一部のアンチが倒れてしまいそうなコースである。いくらATとはいえ、普段から私は山道が壊滅的に下手くそで煽られてしまうので、一番の美味しいコースはA君に運転してもらったのだが、助手席に乗っていても分かる。とにかくキュイキュイとものすごく曲がる。びっくりするくらいコーナーに強い。これがFRってやつか、と感心する。こりゃみんな飛ばしたくなるわけだな。烏はまたひとつ賢くなった。車の色もあるが、とにかく目立ってしまうので、A君の運転であっても煽ってくる車はいた。目立つ車に乗るということは、それなりの運転技術が求められる、ということも学んだ。
帰りは時間が無くて高速を使ったのだが、意外と直進安定性は悪い感覚がした。たまたま横風が強かったのかもしれないが、やっぱり山道の方が得意な子なんだなと感じた。

満足する気持ちとともに、スポーツカーってこんなにも疲れるものなんだと知った。足を少し伸ばした状態で運転しているため、ふくらはぎに疲労感が溜まる。自分の愛車も含め、今主流の箱型の軽がなぜ幅広い層から人気なのか、非常によく分かった。天井が高く部屋のような広い車内に、椅子に座るような感覚で、腰をあまり曲げずに乗り降りできるため、体への負担が少ない。高齢者、子育て中の方、買い物をたくさんした方、様々な状況の方に対応できる。
こういったことを学べるいい機会にもなった。愛車についても、今後より一層溺愛できそうだ。
しかしこの疲労感は、大変心地の良いものであった。

またいつか、もう一度借りたいと思っている。
それか…買っちゃおうかな、なんて🤣(お金無い)

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