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新玉ねぎと塩昆布。

今や大抵のモノは金さえ有れば手に入る。
金の無いオレは、せいぜい季節を味わう工夫で小さなしあわせを楽しむ。
今、新玉ねぎが盛りのようだ。
そのままおかか醤油で旨いのだけど、納豆と卵黄をのせたり、これから出てくる初鰹に合わせたり、いかにもフレッシュな香りは生で食いたいと思う、季節を感じる数少ない野菜のひとつだ。
思いついて塩昆布をかけてみた。

混ぜてしばらくすると塩昆布が馴染んできて、新玉ねぎがしんなりしてきた。混ぜて、一箸、パクリ。
シャリっとした歯応えとヌルっとしたところが混ざりあって、葱独特の香りがぬける。
酒が進む。
ちょっと、梅酢をかけてみたらこれが又いい仕事をする。飽きずに食える。
冷凍の茶豆があったので、季節外れだけれどもお湯で解凍して入れてみた。
なんというバランスの良さ、誰かやっているかしらこの組み合わせ、絶妙だ。
歯応えと香り、いい組み合わせだと思う。
別の日、今度はここにミニトマトを入れてみた。赤、白、緑のイタリアンな組み合わせになった。そうして塩昆布の旨味とそれぞれの旨味が殺し会うことなく混ざりあって、見た目もきれいでオレらしくない。
レモンや好みの香辛料や油でまだまだ色んな組み合わせがありそうだ。
ただただ、新玉ねぎをたっぷり刻んで夜中に歯の抜けたオヤジが、アレやらコレやら、かけたりふったり、たらしたり、酒を呑みつつ、春を待っているのだ。まあ、春が来たからといって何か特別いいことがあるわけでもないけれど、待ってしまうんだな、春は。

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