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埋込消耗品の基礎知識①~熱間樹脂~

熱間樹脂は粉末や顆粒状の樹脂で、熱と圧力を掛けることで硬化し固まるものを言います。熱間樹脂で埋込を行う場合は「埋込機」を使用します。試料埋込はモールドと呼ばれる型に熱間樹脂と試料を入れ、プレス成型のように埋込試料を作成します。熱間樹脂で作成した埋込試料は、硬度が高く、上面と底面の平行性も良いので、個別荷重での研磨でも片研磨が起き難いのが特長です。

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            埋込機 ECOPRESS-52

熱間樹脂の種類

弊社では熱硬化性のフェノール、エポキシ、ジアリルフタレートと熱可塑性のアクリルをご用意しております。

熱硬化性:加熱すると軟化し固まる樹脂
熱可塑性:加熱すると軟化し、冷却すると固まる樹脂

熱硬化性は冷却無しでも埋込み自体は完了していますが、熱可塑性は冷却時に固まるので冷却がポイントとなります。
樹脂を選定する際は、埋込む試料の硬度に合わせる事が大切です。アルミ、銅、一般鋼材等はアクリル、フェノールを、焼入鋼、超鋼材等の硬度の高い試料はエポキシ、ジアリルフタレートをお勧めします。
この他に電解研磨、電子顕微鏡で使用する導電性樹脂として、銅粉入りのアクリル樹脂とカーボン入りのフェノールがあります。

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この表は、弊社で販売している樹脂を指標としています。フェノールでも基材に木粉を使用する場合とガラス繊維を使用する場合では硬度は大きく異なります。弊社ではガラス繊維は、ジアリルフタレートにのみ採用しています。ガラス繊維は、試料に傷を付けたり、刺さったりする場合がありますので、硬度が高い試料以外には向きません。

保管方法

樹脂は劣化が早い為、保管状態には気を付ける必要があります。高温多湿を避け、直射日光の当たらない24時間空調が入った部屋で保管して下さい。樹脂は水分を吸い劣化していきますので、特に湿度には気を付けてください。必ず密封容器に入れ使い終わったら蓋をするようにしましょう。樹脂の購入当初は上手く埋込が出来ていたが、使用していくうちに段々と埋込不良が出るようになったという場合は、樹脂が水分を吸って加熱しても溶け難くなっています。硬化しても研磨中に欠けが出たり、硬度不足になっている可能性があります。

トラブルシューティング

熱間の埋込で不具合が起きた時は、まず機械によるものか、樹脂によるものかを確認します。新しい別の樹脂で埋込を行い、不具合が無くなるかを見ましょう。

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