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試料研磨機を購入する前に、押さえておきたいポイント(後編)

装置の仕様と価格帯で希望するモノが見つかったので購入へ、と行く前に装置のデモを行ってもらいましょう。装置が納品されてから、イメージと違った、ここがちょっと気に要らないなどがあると、メーカーとしても悲しいので、購入前に確認が出来れば、修正や手直しも可能な限り行ってくれるはずです。
また、試料研磨機は「研磨条件」が無ければ、希望している研磨は出来ません。研磨条件が出来ていなければ、納品後すぐに使える装置ではないのです。研磨条件を作るには、経験が無いと1か月以上掛かることもあります。通常業務だけで忙しいのに、そんな時間は取れないということもあると思います。そんなことにならないように、納品前に研磨条件をある程度作っておく必要があります。さらに、消耗品のランニングコストを下げられないかといった所まで考えられるとベストでしょう。これを解決するために、メーカーには、研磨条件出しまでをお願いしましょう。

装置デモ

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可能であれば、絶対に行った方が良いのが装置デモです。車でもそうですが、カタログや動画で見たものとイメージ通りというものは少ないものです。
デモの時は、ちゃんと研磨が出来るかといったところに目が行きがちですが、一旦そこは後回しにしましょう。研磨が問題なく出来るかどうかは、次に説明する「研磨条件出し」を依頼し確認します。
デモでは、装置に触ってみて試料のセッティングや研磨紙、バフの交換はスムーズに出来るか、手研磨を行う場合はフィット感はどうか、操作性、メンテナンス性といった使用する上で問題が無いかというところを大事にして下さい。実際に使用するオペレーターの意見も大切です。装置の更新の場合は、オペレータが今使っていて不便と思うところを事前に洗い出しておき、その点が改善されるかどうかといった所も確認しましょう。
コロナ過で対面のデモが難しくなりましたが、オンラインデモであっても気付くところは色々あると思いますので、デモの実施が可能であればお勧めします。

研磨条件出し

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試料研磨機については、研磨条件を出すという作業に多くの時間を必要とします。新たに条件出しが必要であれば、遠慮なくメーカーにお願いしてみましょう。どのメーカーも無償で行ってくれるはずです。すでに今まで行っている研磨条件があるという場合も、研磨工程や消耗品コストの削減になるかもしれません。これはアイミツを取っているメーカー全てにお願いすることをお勧めします。これにより自社にあった条件出しの叩き台を選択出来るので、条件出しに掛かる時間を大幅に削減出来ます。さらには、装置選考の最終確認としても重要な要素になります。

3社から条件出しをお願いした例を紹介します。

A社:研磨面に傷一つなく非常に満足出来る仕上がりだが、
    工程が多くランニングコストが高い。
B社:一部研磨が出来ていないところはあるが、
    工程が少なく管理しやすい。
C社:エッジがダレれて見え難いが、それ以外は問題なく
    工程も少なく、ランニングコストも安い。

求める研磨面のレベルとしては、B社程度で十分ということであれば、研磨条件にはB社のものを採用しましょう。
仮に、研磨機の価格はA社の方が安いという場合には、研磨機はA社から、消耗品はB社からという組み合わせで購入するというのも手でしょう。逆の組み合わせでも問題ありません。
たまに、勘違いをされている方がいるので説明しておくと、研磨機と消耗品は同一メーカーでないと使用出来ないということはありません。研磨盤のサイズさえ合っていれば、どこのメーカーの消耗品も使えます。"歯ブラシ"と"歯磨き粉"と同じと考えて下さい。
それから、ここで注意すべきはC社です。試料研磨でエッジがダレることで解析不良の原因になる事が多くあります。この場合、研磨条件のミスか、C社の消耗品が良くないということである確率が高く、研磨機自体が良くないという場合は少ないですが、違う条件で確認する必要があります。

忘れてはいけないアフターサービスの確認

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装置選定時にはスペック、価格ばかりに目が行ってしまいがちですが、
もう一つ大事なポイントがアフターサービスです。修理対応が悪い。部品納期に何か月も掛かる。装置を送り返さないと修理が出来ない。多額の費用が請求されるといったケース。この業界でもそうゆう話を少なからず耳にします。特に生産ラインの検査用として導入する場合などは、即日対応が求められますので注意しましょう。
確認事項としては、故障時の修理体制は?サービスマンの人数は?修理費用は?在庫部品は?部品納期は?修理拠点は?休日対応は?納入後の改造は?などなど。
装置が壊れないことが、一番ですが「全ての機械はいつか壊れる」ということを忘れずに、運用方法を考えましょう。この装置は1日でも止まると困る、1週間程度で復旧出来るならそれほど影響は無い、複数台あるので、1か月止まっていても大丈夫など使用する環境に応じて緊急度は変わります。この辺りを加味して、各社のアフターサービスの体制を確認しましょう。

最後に

試料研磨機を例に、購入時の選定ポイントをご紹介しましたが、他の装置でも大まかな流れは同じです。装置購入の大前提となる目的を仕様書で明確化し、譲れない点、妥協できる点などをすり合わせます。実機を見て問題点を確認し、スムーズな運用が出来るように条件やプログラムといったソフト面も合わせてメーカーと交渉します。修理、メンテナンスのアフターサービス体制も大切な項目ですので忘れないように確認しましょう。
そして、装置選定で同じような条件で迷ったら、最後は会社の顔である「営業マン」で決めましょう。提案力がある、動きが早い、人柄が信頼できるなどであなたの好みで構いません。納品後に問題が起きても、しっかり対応してくれる人かどうかというところも選定段階で見ておき事が大切です。

1メーカーとして自社、他社関係なく試料研磨機の選定で知っておいてもらいたいことを書かせて頂きました。装置選定で迷われている方の一助となれば幸いです。

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