ダック

ダック・レボリューション

「カモ川カモ之輔くん」
名前を呼ばれたカルガモが壇上に上がる。

ここは森の中のほんわか動物会議ではない。
東京都千代田区永田町にある国会議事堂の本会議場である。
議席の1/3はカルガモが座っている。

「本法案の趣旨は、より良い鳥類社会実現のため…」

「グァー!」「グワァー!」「グッグァー!!」

カモ川の言葉に野次だか歓声だかもわからない鳴き声が飛び交う。

「静粛に願います」

「グッグヮー!!」「ググワーッ!」「ウルセーハゲ!」

議長の注意もどこ吹く風だ。

―――――――――

カルガモ達は気づいてしまったのだ。
親子で道路を横断するたびに人間どもが足を止め道を空ける。
排水溝に子が落下しようものなら人間どもがやってきて救助する。

彼らが人間に対し積極的に要求をするようになるまで時間はかからなかった。
・公園を拡げろ
・天敵を排除しろ
・仮設住宅を建てろ
・参政権を寄こせ

10日後の衆院選。政権交代は確実と報道されていた。

【次回「本当に出口調査ってやってるの?私会ったことない」に続く】

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