降る降る詐欺

結局、雪は積もることなく、ただただ寒い朝になった。冷たい雨が降り、手がかじかんだ。
雪と冷たい雨だとこうも気分が違うのかと思う。
雪はエンターテイメントの要素を含んでいる。特に子どもや子ども心を持った大人にとっては、ワクワクする。朝起きてカーテンを開けたときに見る普段とは全く違うその景色は、雪に慣れていない私たちにとっては、楽しみの一つにもなる。

一方で、ビジネスの視点ではこの「降る降る詐欺」は勘弁して欲しい。
特に飲食店などサービス業にとっては、この詐欺は大きな打撃だ。
数日前からニュースや天気予報では「大雪になる可能性があります」「交通機関の乱れが予測されます」「早めの帰宅をお勧めします」と警告を鳴らす。
そうアナウンスすることが仕事なので致し方ない。
しかしそのアナウンスによって、飲食店などにはキャンセルが相次ぐ。のんびりとお酒を飲んでる場合ではない、帰宅できなくなる可能性があるから食事はやめておこう、ということだ。
店としても、天候が理由だったら受け入れるしかない。ここ最近ニュースでも賑わせている不正予約、無断キャンセルとは違う。

そして大雪予報の当日を迎える。
雪積もらないじゃん。。交通機関乱れてないじゃん。。
普段と同じように食事できるのに、一旦キャンセルしたお客さんは戻って来ず、その日の店内はガラガラ。。
「降る降る詐欺だ!」というわけだ。

天候にはあがなえないし、天気予報の精度も確実に上がってきていると思う。天気予報もその時点で間違った情報を提供しているわけでもない。人々の防衛意識も理解できる。

がしかし、雪というエンターテイメントが、ひとたび飲食店側になったとき、「降る降る詐欺」という、どうしようもない犯罪に振り回されてしまうことにジレンマを感じ続けるのであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?