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独立戦争Liberty or Death 速攻&解説 あとがき

動画を上げ始めてからは半年程度だった本シリーズだが、このゲームとの付き合いは地味に長い。最初の出会いは中学で手も足も出ずクソゲー認定、次のリベンジは大学だったがイギリス上級はクリアできず、2年ほど前、ふと存在を思い出してやってみたところハマったという具合で、元々はさほど仲も良くなく、たまにしか再会しないが何となく関係が続いている同級生みたいな感じだ。
オッさんになってから良さが分かるとはまるで湯豆腐のような味わいだが、「『強キャラで力押し』をやると必ず詰むので仕方なく仕様に沿って工夫するとどんどんリアルな戦い方に誘導されていくのが醍醐味なのに肝心の仕様がさっぱり分からん」という代物なので無理もない。こないだの記事を「やたら詳しい取説」というコンセプトで作ったのもそのためだ。ただ、その縛りの関係でもうちょい突っ込んだ使い勝手の話や史実の独立戦争の話など、割愛したネタも結構残っている。宇露戦争を追っかけててだいぶ間が空いたが、今回は奇特な読者の皆さんにその辺をちょっと付き合っていただきたい。人力取扱説明書本体はこちら

イギリスはハードモード?


本作は難易度設定の他に米英どちらかの陣営を選んでプレイすることができ、難易度はイギリスの方が高い。実際アメリカはカネもモノも海軍力もないが人材は質量ともに圧倒的で、戦闘ではイギリス軍を圧倒できる。しかも鹵獲物資と海外の支援で後半になるにつれ金にもあまり困らなくなる。これに関してはアメリカは勝った方なんだしまあ順当だろうと昔は思っていたが、史実ではアメリカこそ超ハードモードだったらしい。
勝てたのは本来のイギリス側主人公にあたるウィリアム・ハウが、アメリカを打ち倒すこと以上に「再び王冠の下に引き戻す」ことを目的として穏便に鎮圧できるよう手心を加えている間にバーゴインがサラトガの戦いで大敗したことが大きい。
それもこの戦いで在米英軍の戦力が壊滅したとかではなく、これを見た宿敵のフランスが、独立派を有力な獅子身中の虫とみて公然と援助したことを切っ掛けに変わり種の内戦から国際戦争に変化したのが決定的だった。なので「まずは史実通り」というゲーム的都合からかなりアメリカ有利にカスタマイズされている。

①兵士の仕上がりがまとも
ゲーム開始時、武装度80で可能な部隊は援護射撃ができるレベルの練度を誇るイギリス軍に対し、アメリカ軍は武装度は一律60で訓練度もイギリス軍より低いが悪くはないという設定になっているが、史実だと戦中を通じて銃剣がろくに装備されてないのは勿論のこと揃いの軍服すらなく、靴も不足していて冬に行軍すれば凍傷にやられた兵士の血の足跡が雪原を赤く染めるという悲惨な状態だった。最初にワシントンが閲兵した時の部隊なんてろくに銃もなく家から鉈やら斧やら持ってきただけのもいたそうで、ワシントンも内心うんざり、ゲーム中で言えば武装度も訓練度も赤い状態だったと思われる。実際、その問題と弾薬不足でボストン包囲戦は手詰まりになっていた。

②将校のスペックが高い
史実のアメリカ軍(大陸軍)には名だたる英雄が名を連ねており、そうした将校は確かにイギリス将校より有能だったかもしれないが、元々多くはアマチュアなので能力のばらつきも大きく、特に専門知識を要する砲兵の不足には苦労していた。また部隊の訓練もシュトイベン男爵が教範を整備するまでは体系だったものがなく、兵士の質の差にはずっと苦労していたのが実情。
作中ではアメリカ将校は平均的にイギリス将校より指導力が高く設定されており援護射撃による連携した戦闘ができる部隊も多いが、実際はまるきり逆だったと思われる。わざわざメイソンなんぞ買収しなくても砲兵将校はいたし、プロの軍隊だったイギリス軍の方が戦術力や指導力の平均は高かっただろう。

③ドイツ傭兵(ヘシアン)が弱い
作中のドイツ傭兵は「傭兵」のイメージ通り将校もいまいちパッとせず兵士の訓練度も低いが、実際は主にヘッセン=カッセル方伯領という当時欧州有数だった陸軍国の君主に仕える軍事貴族が率いた極めて軍規の厳しい軍隊で、中でも最も有名だったクニプハウゼン将軍(作中ではニファオセン)はあのフリードリヒ大王の下で戦ったこともある大ベテラン。レンタル正規軍とでも呼んだ方が実情に近いだろう。ちなみに何でドイツの傭兵がイギリス側で参加してたかと言うと、当時のイギリスはドイツ系のハノーヴァー朝でジョージ3世自身も神聖ローマ帝国のハノーファー選帝候を兼ねており、ドイツの領邦国家を治める諸侯と関係が深かったため。なお現地人の間での評判は最悪だったのでアメ人が作ったらああなるだろうなという部分はある。

といった感じで、実際の状況に忠実に作るとクリア後の裏面的存在である英国シナリオの方が簡単という微妙な展開になるため、あのくらいのバランスになっていると思われる。調べてみると本当によく勝てたなという印象で、ゲーム的にはあれでよかったんだと思う次第である。
なお、ゲームでも「確実に最速クリアする」という点ではイギリスの方が簡単。アメリカは戦闘は格段に楽な一方、味方援軍の着任時期や敵援軍の上陸地域によって、どう足掻いても次の会議までに攻略できない展開になる可能性が付きまとう上に機動力の問題もあり、最速記録は案外イギリスより半月遅い。

アメリカの場合必ずフロリダ軍団を殲滅しなければならないが、南部は①新部隊が南部のサウスカロライナのどこかに着任して②ムルトリーを登用し③それからフロリダを包囲――という手順を踏む必要があるので恐らく9月15日が限界。


印象に残った将校

【かわいそうな売国奴】
ベネディクト・アーノルド
動画前編のMVP。指導力以外の全ての能力が高く、初期位置も最高なため寝返りの末に逆包囲作戦の要になったが史実でもイギリスに寝返っており、アメリカではユダやブルータスに並ぶ裏切り者として蛇蝎の如く嫌われている。そのためか三国志で呂布がいくら忠誠が高くても裏切る可能性があるのと似て、買収時に誰が話しかけても忠誠が4下がるという特殊仕様持ち。
しかし本人の癖のある性格もあるとは言え、フランスの参戦を招いたサラトガの戦いでの大活躍をはじめ数々の武勲を上げながら大陸会議には冷遇されるわ、ヘタレな上官(ゲイツ)には手柄を横取りされるわ、予算不足と給料未払いの中、兵士の給料や戦費を自腹で調達する羽目になり(王党派のお嬢だった妻との派手な生活もあってだが)借金が積み上がるわで遂にキレたという経緯で、まあ寝返りたくなる気持ちも分からんでもない。
しかも裏切りが露見する過程でアメリカ側に捕縛され縛り首になったジョン・アンドレが立派な態度を貫いて死んでいったのとも対比されてイギリス将校には散々に蔑まれ、名誉を守るためにあちこちで決闘をする羽目になるなど、英雄になり損ねた末に悲惨な転落人生を歩んだ。
しかし、そこまでアメリカ人に憎まれたのも本来英雄になるべき人物だったからだろう。卒業した士官学校の卒業生のプレートからもサラトガの戦いの記念碑からもその名前は削られているが、彼の名前が入るべき空白は残されている。正直、ゲイツを戦術力90に設定するくらいならアーノルドを90オーバーにでもすれば良かった気がする。

【サラトガの英雄(笑)】
ホレイショ・ゲイツ
アメリカ軍プレイでは本隊最強の男として誰もが世話になるものの、微妙に忠誠が低く油断していると寝返る危険人物。動画でも寝返って本隊の主軸の一人として活躍した。つくづく裏切り者が幅を利かせる動画である。
開戦当初の身分はワシントンの副官だった。実はワシントンの追い落としを執拗に画策していた政敵の一人で、微妙に忠誠が低いのはこのため。後にサラトガの戦いに総指揮官として臨んで勝利し、サラトガの英雄の名をほしいままにする。
しかし、実際には決闘を挑まれた際に泣いて謝って見逃してもらうなど臆病な性格で、事務方としては優秀ながら野戦指揮官としての能力は微妙だった模様。サラトガでも自分の消極的な命令をブッチして突撃し勝利に大きく貢献したアーノルドの手柄を横取りして英雄になった。割とクソ野郎なのである。
後にその名声を引っ提げて南部方面軍の司令官に着任しカムデンでイギリス軍との決戦に臨んだ時はその化けの皮が剥がれ、最初の一撃でコーンウォリスに陣形を崩されるや軍を置き去りに超スピードでトンズラした結果、南部方面軍が壊滅するなど本当にいいところがなく、作中での活躍とのギャップがひどい。

【謎の暴れん坊将軍】
オーガスチン・プレヴォスト
歴代の在米英軍総司令官が捕縛された後に総司令官になりがちな謎の男にして本作最強の騎兵。動画前編では出番がなかったが後編では最南端2州に降臨する再編成組を単独で片っ端から斬り伏せたMVP。個人的に一番使ってて楽しかった。
史実でも南部のイギリス軍を率いてジョージア州の支配権を盤石にしたが、直接指揮官として戦ったのはアメリカ側を大敗させアメリカ騎兵の父と讃えられたポーランドの英雄、プラスキを戦死させたサバンナ(作中ではサヴァナ)包囲戦くらいか。その関係でなのかプラスキを抑えて最強の騎兵になっているものの、史実の彼が騎兵指揮官だったのかはよく分からない。なお、マーク・プレヴォストという弟がおり史実では共に戦っているが本作では援軍要員になっている。
ゲーム開始時の階級は大佐だが潜在的な序列は高く、早々と昇進して最高司令官に躍り出ることが多い。戦えば暴れん坊将軍の如く敵を斬りまくることもしばしばだが前述の通り優秀ながら地味なせいか、どんな猛将かと調べてもあまりエピソードが出てこない。なお、動画でもちょっと触れているがどうも南部の将校に関しては査定がいい加減な場合が多い気がする。

【地味で偉大】
ジョージ・ワシントン
ご存知初代大統領だが、初代大統領にして独立戦争の最高司令官だった割に彼の武勇伝を聞いたことがない人が殆どなんじゃないだろうか。それもそのはず、彼は野戦指揮官としてはイマイチで、まともな会戦では本来のイギリス側主人公にあたるイギリス軍総司令官ウィリアム・ハウ(ゲージはワシントン着任時にたまたま総司令官だっただけで史実ではそれから程なくしてクビになっている)に何度も似たような手でボコボコにされている。だったら何であんな関羽みたいなステータスなんだと言いたくもなるが、北米版だと戦術力は60台でパッとしない査定だったりする。まあボストンが包囲される原因を作ったダメ野郎のゲージはさらに悲惨な査定を食らっているので相対的にはだいぶマシではあるが。
しかし戦術家としては微妙でも謹厳実直・勇猛果敢で将兵の信頼は厚く、また政治的なセンスにも優れていたため各州の間で反目し合うバラバラの集団だった当時のアメリカ軍(大陸軍)をまとめ上げるには適任だった。何しろ大陸軍は①宗派も文化も利害も異なる13植民地の民兵の寄せ集め②とにかく金がなく揃いの軍服はおろか冬でも靴すら不足し、給料も未払いが常態化③各州代表が州益を追求し、州の自治権を圧する中央政府の誕生も恐れているので大陸会議はグダグダ④大陸会議がグダグダで徴税権もないので給与などで使用される大陸紙幣はほぼ紙クズ⑤海外から売り込んでくる義勇兵は殆ど厄介者の山師ばっかり⑥軍にも議会にも政敵がウヨウヨ⑦本隊は大規模会戦では連敗続き――などなど悲惨な状態で、爆発四散する理由なら挙げればキリがない。これをチャンスが来るまでまとめ上げたのだから、そのリーダーシップは偉大と言ってもいい。
その方法も溢れるカリスマと名演説で士気を盛り上げるとかではなく(むしろ演説はあまり得意ではない)、誰よりも勤勉に働き、しばしば危険を顧みず最前線の兵士を叱咤激励し、優秀な幕僚陣を育て、グダグダな大陸会議に粘り強く兵站の改善と正規軍の強化を訴え、膨大な指示書や書簡から家族へ宛てた仕事の愚痴までとんでもない手紙魔で、戦術家の才能はいまいちだが撤退戦と政治的に重要な戦いの見極めには定評がある――などなど、重要だが地味な部分にパラメータが全振りされており、おばあちゃんの手作り弁当のような味わいを放っている。これでは確かに有名なのに誰も詳しい話を知らないのも頷ける。しかしさすがブリカスと言うべきか、今でもイギリスの将校たちは彼を英国史上最も厄介な敵だったと評価しているらしい。
なお、当時のワシントンのエピソードは建国神話然とした宗教的神秘的なものも多く、アメリカが神の祝福により建国され、使命を帯びた正義の国だと信じる限界WASPがいる理由が垣間見えて微笑ましい。恐らく後世に伝わる謹厳実直ぶりも盛られてはいるんだろうが、いつ爆散してもおかしくない軍隊の統制を保ち続け、戦中戦後通して文民統制の原則を守り抜くことで内乱や独裁化を防いだ偉人なのは事実である。動画作成の際に参考にした「アメリカ人の物語」著者の西川秀和先生によると「最高司令官より大統領に向いている」。指揮官としての実力より各州の力関係に配慮した政治的な理由で抜擢されたようだが、それが結果的にベストな人選だったらしい。

あれこれ使い勝手レビュー

●歩兵
練度(訓練度+指導力)の限界値次第で扱いが別物になる。これが援護射撃のできる150以上なら基幹部隊として資金をつぎ込み、それ以外は基本的に使い切りになる。130で習得する白兵は使いどころがないと思われがちな割に案外便利な技(後述)だが価値を変える程ではなく、160〜170で到達する移動力6は確かに迅速な包囲などで便利ではあるが、維持は難しいし体力を40も消費して維持する程のものではない。
援護射撃は本当に優秀で戦術力90台で連携すれば石の砦もバターのように溶ける。弱い将校だと援護射撃しても無双されて被害が増えるとも言われるが、基幹部隊に組み込まれる戦術力80前後以上のクラスの将校だとその心配はなくちゃんと黒字になる。複数部隊で相互支援し、塹壕も活用すれば攻防ともに凄まじい強さを発揮するので、まさに攻略の鍵と言っていい。
弾薬に余裕があるなら主力部隊にはボートよりも大砲を持たせたい。これがあれば戦闘中の砲撃訓練で安全に訓練度を稼げるので相互支援を維持しながら侵攻できるし、砦や塹壕が恐ろしく堅くなる。
歩兵を見ていると本作での訓練度の意味が見て取れて面白い。低すぎると大崩れするが高くても然程攻撃力が上がる訳でもない。それよりも技の引き出しが増えて機動力が上がる。要するに個々の兵士の射撃や銃剣格闘の腕が上がって戦闘力が増すみたいな話ではなく、そっちはある程度まともに使えれば後は装備次第で、集団戦闘の訓練を積むことで整然と素早く行動できるようになるというのが訓練度の意味になるんだろう。

●騎兵
システムを理解する前は馬補正と潜伏攻撃のお陰で少ない投資でも戦力になり、突撃で大逆転も狙えるエース兵科という印象だったが、同格の歩兵と殴り合うと相手より早く兵力200を割って戦力補正が落ちるため最初は強力だが力負けする、補正も夜のゲリラには及ばない、市街戦攻城戦では馬補正が消えてゲロ弱など半端さが目立つ。石砦にいるよりも野外の方が防御力が高いのはなかなかの罠。
ただゲリラと違って昼夜に縛られず、機動力や突撃で敵の進路を塞ぐのが得意なことから複数部隊の連携の中では使いやすく、また突撃で将校を殺傷できれば一気に勝負を決めることも可能など、単独でのゲリラ戦もできるが集団戦にも向くバランスタイプ。海軍との共同作戦や大規模な野戦部隊との連携で光る。特に海軍は敵を街や砦から追い出してくれるので騎兵にはありがたい。

●砲兵
砲兵のくせに基本的に大砲を持っていない豆腐のない豆腐屋のような存在。そのため砲兵のくせに砲撃ができず、兵科特有の強烈なマイナス補正で戦術力によらず通常戦闘はゲロ弱という、初心者を惑わす完璧な罠。そのままでは架橋しか能のないお荷物でしかない。
しかしひとたび大砲を持てば車輪は金色に輝き、籠城する敵を一方的に削り殺す戦場の神と化す。
人数の関係で歩兵の砲撃より消費は少なく威力は上なので、序盤戦は特に重要。野戦で敵が最も強力な最初の一撃を加えてくる前に先制攻撃で人数MAX補正を消せるのもありがたい。ただ、終盤にさしかかるにつれ野戦の機会が減り弾薬の備蓄が増えると、主力歩兵が動かない敵を相手に砲撃訓練すれば良いので出番は減る。
基本的に単独行動には最も向かないが、塹壕なしでいつでも砲撃できるため、地形によっては一方的に攻撃しながら逃げ回ることも可能。基本的に損耗せず簡単に訓練度が100になるためイメージに反して機動力が高くなりやすい。

●ゲリラ兵
史実で猟兵、レンジャー、インディアン部隊を率いた将校がこれになる場合が多い。しかしイギリス側で恐らく最も有名で、グリーンコートの異名で恐れられた猟兵将校のヨハン・エウォルド(エーヴァルト)がパッとしない歩兵指揮官になってたりとよく分からないケースもある。ともかく、個としては最強の存在。
昼間の戦闘力はただの軽装歩兵といった感じだが、夜になると発生する補正が強烈で、凶悪な威力を誇る潜伏攻撃がさらに凶悪化、しかも強力な地形効果のある岩山にも侵入できるので、これを利用しての潜伏攻撃はえげつないの一言。騎兵と違い街や砦での戦闘でマイナス補正がかからないので、その点でも使いやすい。
ただ、夜間戦闘と潜伏攻撃が売りで昼間に普通に戦っても劣化歩兵でしかないため会戦で他部隊と連携させるのにはやや難がある単独行動向き兵科。ダニエル・モーガンをはじめ狙撃兵のイメージが強いためか将校殺傷率が高いという話も聞くが体感では然程でもなく、少なくとも騎兵の突撃のような確率ではない。夜間の攻撃が特殊攻撃扱いになっているなら多少殺傷率は高いのかもしれないが。

●大砲
街や砦を棺桶に変える砲兵の命にして主力歩兵の練度維持装置なので主力部隊に優先配備したいが色んな意味で高価なので充足することはまずない。
歩兵の損耗を抑えるためには撃ちまくるのが良いが、ダメージ量が標的の兵力に比例するので廃墟になるまで撃ち込んでも最後の方は効率が悪く、歩兵が突っ込まないと制圧できないあたりなかなかリアル。

●ボート
あれば便利だが、そんな金があったら大砲や装備に回したほうがいい。ただアメリカ序盤のノックスだけは例外で、タイコンデローガの大砲に加えボートを彼に持たせてガンシップ化させると英領カナダを速攻で制圧できるようになる。
所詮ボートなので沿岸しか動けないが、それに気づかず大河の真ん中を突っ切ろうとしたことがあるのは俺だけではないはず。なお、ボートがあって味方艦隊が生きていれば安全に敵艦隊を削りにいけるが、味方艦隊が沈んだ後にうっかり逃げ遅れて艦砲射撃を食らうとボートを木端微塵にされることがあるので注意。これで粉砕されると本当にボートがなくなる。

●塹壕
めちゃくちゃ使える。PC版では全方位に効果があるらしいが、一方向にだけ効果を発揮するというのはいい調整だと思う。浅瀬の出口に塹壕線を築いてキルゾーンを作るとめっちゃ楽しい。一応全ての兵科で使えるが実質歩兵専用。敵AIはちゃんと分かってるのでこっちが塹壕を掘っていると白兵で解除しにくる。壕を制圧されて追い出されるのとは違うということなのか、突撃で突っ切られても解除はされない。自分から白兵を使うと勿論解除されるが、これは前進できなかった時も同じである。

●白兵
PC版では大砲を鹵獲できるがSFCでは無理なため使いどころがない、あっても弾薬の節約くらいという印象もあるが地味に便利な上に上手く使えると気分がいい(当社比)。
チャンスがあれば味方の騎兵やゲリラが潜む場所や軍艦の前に追いやってハメることもできるし、狙って使うなら防衛ルーチンで巡回する敵(待機で移動力が溜まってるのは動かないが、デコイを投げれば解除可)を掻っ攫ってキルゾーンに叩き込むのがお勧め。
防衛ルーチンで動く敵はこちらを深追いしないので誘導しづらい反面、軽く距離をとればあまり攻撃してこない。3マス歩いて背後に回れるポイントが巡回ルートにあれば、そこから押し出せる位置に塹壕を掘ってキルゾーンを形成し、通りがかりに白兵で拉致って包囲殲滅することができる。

なお、動画本編ではもっとグダグダな戦闘だったが、それは当時まだこれを編み出していなかったため。これがあると本当にヤバい戦闘は動画のパターンの時のタイコンデローガ戦くらいになる。
ちなみにあのパターンは3回ほどぶち当たったことがあり、動画のパターンだとモーガンが負傷しなくても何とか勝てるが、あの面子で奴に東からコーンウォリスを狙われるとモーガンの削りとノックスの追い出しを両立できず決壊するので本当にヤバい。

●海軍
動きに関しては本編で散々書いたけど、移動や防衛に使いたいなら艦隊輸送、海岸線で頻繁に攻勢をかける予定なら共同攻撃、追い込んだ敵の出港を確実に阻止したいなら制海権獲得という感じに使い分けると良い。
艦隊は基本的に直接指示できる艦隊(イギリスなら援軍を連れてくる艦隊も)以外はアテにならず、むしろ艦隊輸送で運用している艦隊がいる海域にランダム行動の艦隊が駐留して次のターンになったらメインで使ってた艦隊がどっかに消えたりという事故も発生するので、艦隊数は増やさず既存の艦隊を強化した方がいい。敵の海上封鎖をブッチできる戦力は維持しておきたい。

●官報とパレード
どちらも支持率を上げて収入を増やすためのコマンドだが、前者は筆者次第で効果抜群だが大金を使うため黒字化に時間がかかり、後者は金こそ使わないが体力を40も消費して耳かき一杯分程度の効果しかない(特にイギリス)。このように両極端かつどっちもクソなのが本作の住民対策である。
そのため官報を刷るのはそれでも黒字が出る地域に絞り、その価値がない地域はひたすらパレードということになるが、ぶっちゃけ収入を増やしたいならコストをかけて住民にこまごまと気を遣うより州単位(太枠の範囲ごと)でガンガン正規軍支配地を増やす方が効率的(理由は人力取説の「州」の項目参照)で安全確保にもなるのでパレード将軍隊みたいなものも必要ない。放置や赤字よりマシだから塵を積もらせるという程度のものである。

●休暇
与えたその瞬間から休暇に入るが休暇にカウントされるのは次ターンからという地味な罠コマンド。普通に体力を使い尽くし次ターンで何もできないし援軍で呼ばれる予定もない将校に与えると士気や忠誠も上がって良い。重傷を負った将校もこれで回復するし、裏切りそうな将校に敵が接触するのも防げる優れもの。前項の話と重なるが、アメリカなら専任の人事将軍を巡回させ、忠誠の低い民兵を休暇で懐柔して登用を進めるのもいいかもしれない。ただしその場合2ターン以上(ここから士気と忠誠がぐっと上がる)の休暇が必要になる。

●買収
スパイを送り敵将校の情報を得てからそのターンのみ使えるという現実的ながらも面倒くさい仕様のコマンド。初見では使い方が分からない人も多かっただろう。手ぶらで行って買収に失敗しても忠誠は下げられるので、人員が多い地区なら案外忠誠が微妙なラインの将校も狙っていける。
ただ、1回につき体力40を消費することもあり、真価を発揮するには人員にも体力にも余裕が必要なのでやはりゲーム開始時に集中してやるのが一番。あとは再編成ラッシュが発狂してる敵の最終拠点との決戦で狙い目の将校が現れた時か。いずれにしても優秀な将校を寝返らせればそいつを倒すために被る損害もゼロになるので大枚はたいてもお釣りが来る。ケチらず札束の角で殴り倒すべし。

以上、あとがきのくせに本編並の文字数になってしまったが、これで持ちネタは全部成仏したので本当におしまい。ここまで付き合ってくれた奇特な皆さんに感謝。

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