2019年6月27日(木)

 10時過ぎに起床。昨日レポートをして2時ごろ寝たのでさほど過眠ではないはず。一限にはもう行けなくなってしまった。家族がリビングにいないのを見計らってアイスコーヒーを飲み、納豆ご飯と味噌汁を食べて犬と遊ぶ。遅刻は決定だったが服装に満足したからかまずまずの爽やかな気分で大学へ。

 常に、休みたい気持ちはあるのだが、出られる時に出席しておかないと自己嫌悪と大人を巻き込むことになるので、とりあえず3限に出席。相変わらず授業に興味がなさそうな他の生徒を見下す。しかし偉そうに後ろの机にドカンと座り、本当に興奮しているにせよ誇示するようにウンウンと頷く自分も、中身が空なことはよく知っているので彼らとそう変わりはない。授業内容は高校の頃から好きな分野なので座学を聞くのはとてもたのしい。

 空きコマは食堂で何か食べたかったが、植本一子の「かなわない」を読みたかったので、中庭のベーグル屋に行って図書室の外にある静かなベンチに座ろうとする。が、予想よりもベーグルの値段が高く、食堂へ買いに。京都造形のカフェの方が飲み物も含め値段が安かった事を思い出して苛立つ。食堂ピザコーナーにある150円のトーストが売り切れていて、その他のメニューはベーグル屋よりも高くつくので結局またベーグル屋に。一番安いプレーンのトーストを買う。ベーグル屋のお姉さんから受ける、見下した気さくさに戸惑い、また苛立つ。温かくてバターの味がして美味しかった。途中アイスを買いつつずっと本を読んでいた。

 4限に出席。これも休んでしまおうかと思ったが、最近休みがちなので今日は出た。イセさんが来た瞬間、昨日ライブをドタキャンしてしまった事を謝った。中学生を過ぎてから、迷惑をかけた相手にこんなにすぐ謝罪したのは初めてかもしれない。笑顔で受け入れてくれ、「食べる?」とお菓子をくれた。気まずくない関係に戻れるって気持ちがいい。大学の子たちの、控えめで我慢ができて安全なところを差別しているけど、彼女は本当にいい子だと思う。

 その後レッスン。今日の授業の中で一番やる気がなかった。人生の夢を背負って人の何倍もの熱量で勉学に食いつきたいという気持ちに、夢の他にもたくさんの機微を抱えた身体と心が追いつかない。でもそうしてお金と時間を浪費している生徒を差別していたし、老後の資金を崩して学費を払っている両親への罪悪感もかなり大きく、自分に失望してしまう。機器の操作もおぼつかず、前に私がそうしていたように、プロになれないボンボンだと先輩や先生から見下されているのではないかと想像する。多分、自分が自分を見下しているのだ。そして、クリエイターとエンジニアの考え方の差をまた実感し、向いていないかもしれないという仮説を怠惰の理由に、クリエイターとしての才能の優越感に浸ろうとしている。

 帰り、とてもお腹が空いていたけれど、最寄り駅のお店で夕飯を買うのは家庭から逃げている事実と向き合うことになる。それはもう気が滅入っていたのでやめた。元気を出そうと、珈琲店でソフトクリームを買う。おそらくニッセイの市販ミックスを使っているらしく、バイト先で聞いた利益率の高さを思い出していまいち気分が上がらない。明日来るらしい台風の、前置きみたいな雨がしとしと降るなか歩くと、本当に悲しくなってきた。

 私は大学に行くたび何かをうしなっている。自信、人をまっすぐ見る目、探究心、笑いなど。ただでさえ、自分が何を持っているかわからなくなっているというのに、うしなっていく感覚だけは確実だ。失うたび、毎日得るばかりだった高校の頃を思い浮かべて、戻れないし、戻ってはいけないと思い出す。環境、時間、人、言葉、身体をうまく使えないことに焦燥する。

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