見出し画像

2月27日

早く起きようと思うほど眠れなくなるシステム、本当にやめてほしい。
そのせいでよく眠れず、結果今朝もギリギリに起きた。
急いでいるのにヒンディー語の2限目の先生から電話がかかってきた。「今日もキャンパスに来られないから、オンラインクラスにしよう」とのことだった。
私は午前中は聴講、夕方サーリーのブラウスを取りに行く予定があった。しかもキャンパスのWi-Fi環境からして、時間割通りの時間にオンラインクラスを受けることもできそうにない。
面倒くさいので「無理そうです」と言ったら、今日の2限目は自主課題で代替されることになった。
内心オンラインクラスにならなくてほっとした。家だと集中できないし、元から噛み合わない会話がもっと噛み合わなくなる。

電話していたせいで時間がなくなり、リクシャーに乗る羽目になった。
運悪く小銭がない上に UPI に対応していないリクシャーに乗ってしまい、知らないお姉さんに運賃を払ってもらってしまった。UPI で返そうとしたが、QRコードが機能せず返せなかった。また知らない人に借金してしまった…
やや遅れて到着したが、先生はまだいらしてなかった。
待っている間クラスメイトとアニメの話になり、『火垂るの墓』が好きだというから驚いた。この前は村上春樹の『ノルウェイの森』の英語版読んでいた人もいた。
大半の親日派インド人は『呪術廻戦』とか新海誠が好きなイメージだけど、たまに私よりもディープな世界を知っている子がいる。なんだかちょっと嬉しくなる。

しばらくして、先生がいらした。そしてついに、噂の日本人の先生もいらっしゃった。
今日と明日は一先ずインド人の先生の授業を見学するらしく、特に名前以外にお話を聞く機会はなかった。
待望のネイティブ先生の登場に明らかにみんなソワソワしており、いつもより音読練習の声が大きかったり、先生のボケに対するリアクションが温かかったりして、可愛かった。
授業内容としては新しい章の文型についての説明が大半を占めた。
「彼は奥さんがあります」「私は妹が2人あります」のような例文が出てきて、ん?と思わないでもなかった。「⚪︎は×があります」で兄弟や親族との関係を示すというものだったが、この場合「います」じゃないと違和感があるのは私だけだろうか?
しかし日本の大学が出版した留学生向けの教科書を使っているので、文法的には正しいのだろう。あえてツッコまないでおいたが、日本人の先生はどう思ったんだろうか。

日本語の授業が終わった後は2時間ほど暇になった。先生の会議が終わった後にもう1コマ、もあり得たが、みんな1時間も待てないと言って帰ってしまった。
私はなんだか今日も頭がぼんやりして、ヒンディー語はもう見るのもうんざりだった。
とはいえ暇なので隣の席の彼の復習に付き合ったり、英語の会話練習の相手になってもらったりした。
クラスメイトのヒンディー語の会話は全く聞き取れないけど、彼と一対一なら何を言っているかわかるようになってきた。
別のクラスメイトと話している途中で、彼がヒンディー語版『ドラえもん』のアニメ主題歌のタイトル "ज़िंदगी सवार दूँ" を引用した。気になって尋ねたら原曲を流しての歌詞の解説が始まった。
よくわかんなかったし、今辞書を引いてますますよくわからなくなった。彼は「人生をより良くしてさしあげよう!」というニュアンスだと言っていたが、辞書通りに訳すとそうはならない。
"सवार" は何かに乗っている状態だから、सवार देना で「乗りこなす」みたいな感じだろうか。だとしたら「人生うまいこと乗りこなしてやるぜ」的な意味?「あんなこといいな、できたらいいな」がそんなにイケイケな歌詞になっているのか?
迷宮入りしたが、とにかくうまいことリズムを崩さず意訳してるなぁと感心した。
そして、お互いの知る歌詞で「ドラえもんのうた」を歌いながら、こんなに違う環境なのに同じアニメを観て育ったんだと思ってなんだか感慨深かった。日本のアニメってすごい。

これじゃスペルがわからない…

そうこうしている間に2時になり、ヒンディー語の文法の授業が始まった。
2限目の先生の授業がなく、お姉さんが3限目の時間までには帰らなきゃいけない関係で、3限目を前倒しにするかオンラインにするかという議論が朝から起きていた。正直英語だし数字がたくさん出てきて面倒だったので、斜め読みしていた。
目当ての授業に行く前に3限目の先生にお会いしたので今日の授業があるか聞いたら、「まだわからないから1限目が終わったらオフィスに来なさい」とのことだった。
1限目の先生は忙しいようで、なんだかカリカリしていた。途中で15分ほどいなくなって、戻ってきたと思ったら一瞬で終わった。今日は形容詞についての説明だったけど、新しく学習したと言えるようなことはなかった。
授業が終わったのでオフィスに3限目の先生に会いに行くもおらず、お姉さんは待てないからと言って帰ってしまった。私たちも面倒くさくなって帰った。

寮に帰ったら3限目の先生から、「あなたたちどこにいるの?」「オフィスで待っているわよ」と連絡が来た。それぞれ個人的に電話やメッセージで確認したはずなのだが、電話越しだとなかなか話が噛み合わない。
正直言って、ヒンディー語の授業がうまくいかない理由は先生だけではない。
もちろん休講の連絡を30分前にしたり勝手に時間割を変えたりする先生側の方が悪いとは思っている。
しかし実際のところ、我々の個人的な都合で授業がなくなることも多い。なんせ3人しか学生がいないものだから、2人休むとマンツーマンになって先生も授業をしたがらない。
お姉さんは本職が忙しいのと通学に1時間半かかるので、自主休講がかなり多い。そして来ても宿題や予習をやってきていないことも多い。
そのうえ最近だと代わりにオンラインクラスをやってほしいとか、空きコマ待つのが嫌だから前倒しにしてほしいとか色々リクエストしているので、先生たちも苛立っている。

日本の大学をサボりまくっていた私が言うのもなんだが、それはちょっと自分勝手なんじゃないかと思わないでもない。
こと語学においてオンラインクラスの学習効果なんて高が知れていると個人的には思うし、機械トラブルとかで余計に事がややこしくなるのは目に見えている。
通学時間を無駄に思うなら、初めからお姉さんだけ全部オンラインで参加すればいいのでは?と思ってしまうのは流石に意地悪すぎるだろうか。空きコマだって授業の予習復習などしていれば無駄にはならないだろう。
お姉さんが忙しいのはわかっている。通学に時間がかかる分授業がキャンセルされた時のストレスが大きいのもわかる。ヒンディー語の学習期間のギャップが1年もあるから、我々のペースに合わせるのがどれほど大変かも想像はしてみる。
それでも毎回のように彼女の都合で先生と朝から何回もチャットが飛び交うことに若干違和感を覚え始めてしまった。あと数回の我慢なのだが、なかなかどうするのが正解なのかわからない。
結局明日先生と会えたら直接話し合いをして時間割を組み直そうということになったが、あと2回の授業は(まだ行けるかわからないが)旅行で欠席するので私には関係がない。もうこうしてモヤモヤするだけで、今更改善されたとしてもメリットを享受することはできない。

思いの外授業が早く終わったので、サーリーのブラウスはゆっくり取りに行けるなと思った。
仕立て屋のおばさんには「日曜か火曜の夕方、どっちでもいいわよ、でも来る前に電話してね」と言われていた。
しかし約束通り電話したのになかなか応答がない。30分待っても繋がらなかったので、嫌な予感はしつつもとりあえず向かうことにした。
Uberのバイクに手前の大通りで降ろしてもらい店の前まで歩いた。
今回は迷わずたどり着けたが、店が閉まっていた。
嫌な予感は確信に変わった。また適当なことを言われたのか。
店の前で走り回っているガキンチョ3人を目で追いながら何回も電話をかけたが、すぐ保留中になる。チャットにも既読がついているのに返信がない。

また30分ほど店の前で呆然としていたら、近所のおばさんたちに「扉をノックしてみなさいよ」とアドバイスされた。この間通された部屋のドアを叩いても返事はなかった。
さっきから隣のドアからヒンディー語のポップスが爆音で流れている。違う店だろうと思いつつノックしてみたら、この間見たおじさんがいた。おい!
そちらの部屋は作業部屋のようで、おじさんの他に若いお兄ちゃんがいた。しかし電話の相手のおばさんの姿はない。
サーリーのブラウスを取りに来たんだけど、とおじさんに言ったら、「まだできてないよ、明日のこの時間にまた来な、その前に電話しろよ」と切ったばかりの布切れをヒラヒラされた。
話が違う。日曜にはできているんじゃなかったのか。
あの様子じゃ明日の夕方に来てもまだできていないだろう。3月3日に着る用事があるけど、間に合いそうにない。前回来た時は信用に足ると思ったんだけどな。がっかりして1時間ほど歩いて帰った。

散々書いたけど、お姉さんがキレる理由を皮肉にも体感することになってしまった。やっぱりインド人の時間感覚?責任感の希薄さ?には慣れそうにない。
「無駄足」がここに来てから倍増した。動いた分痩せるかと思ったが、ムカついて帰り道何かしらやけ食いしてしまうのでむしろ太っている。ムカつく。
ここ数日何も上手くいかない。日頃の行いのせいだろうか。逆にここまで来ると、旅行ではこれ以上めちゃくちゃなことは起きないだろうという気になってくる。
彼はまだいつ退院できるかわからないらしい。行けないかもしれないと思うと簡単に絶望してしまうので、あまり考えないようにしている。見慣れない点滴とか病院着がビデオ通話の画面に映るたびに心配はしているけど。早く治ってくれ〜(TT)

♪ SWEET / BROCKHAMPTON



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?