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Rumours

フリートウッド・マックの1976年の名曲「Go your own way(オウン・ウェイ)」が人生のテーマ曲みたいに思っている日本人は多いと思います。

妻も私も大好きな曲の1つですし、聴くことで勇気とか力みたいなものをもらっています。

歌詞も“わが道を行け”と言っていて、曲の雰囲気も前向きで活気があって力強い…凄くかっこいい曲です。

しかし、それは英語がわからない日本人ならではの特権です。

実は内容はと言うと…、自分から離れていく女性に対しての怨み辛みの曲です。

可愛さ余って憎さ百倍…とは、まさにこんな時に使う言葉でしょうか…。

本心としては…、離れたくないけど出ていくなら好きにしろ!…という曲です。

作者のリンジー・バッキンガムさんとスティーヴィー・ニックスさんは、フリートウッド・マックに加入する前からのカップルでしたが、この頃には破局していました。

リンジー・バッキンガムさんがスティーヴィー・ニックスさんに対して、個人的な当てつけで作った曲です。

本日の“こずや”のBGMは、その「オウン・ウェイ」が収録されたフリートウッド・マックの『噂(Rumours)』です。

各曲どれをとっても、そして、アルバムトータルでも完成度が物凄く高くて、とても美しい作品です。

英語がわからない日本人にとっては、これらの音楽を聴けば誰だって、悲しみや苦しみといった気持ちが癒されて、元気づけられて前向きに前進させてくれる『噂』です。

フリートウッド・マックは60年代後半から活動するイギリスのブルースロックのバンドでしたが、なかなかヒットに恵まれずに、メンバー交代を繰り返しながら地味に活動していました。

そんな時に、リンジー・バッキンガムさんとスティーヴィー・ニックスさんの恋人関係であり、一緒にデュオとしてヒットとは程遠かったですが音楽活動をしていた 2人のアメリカ人を新メンバーに迎え入れました。

1975年に発表した『ファンタスティック・マック(Fleetwood Mac)』が発売から1年以上をかけてチャートの1位まで登り詰めました。

60年代後半にデビューしたイギリスのブルースロックバンドだったフリートウッド・マックが遂に世界的成功を掴んだ瞬間です。

1976年になって、次作『噂』の制作に取り掛かることになるのですが、ここで大きな問題が起こります。

まず、ミック・フリートウッドさんが離婚します。

そして、メンバー同士で夫婦のジョン・マクヴィーさんとクリスティン・マクヴィーさんが離婚します。

メンバー同士で恋人のリンジー・バッキンガムさんとスティーヴィー・ニックスさんが破局します。

そして、ミック・フリートウッドさんとスティーヴィー・ニックスさんが実は不倫していました。

さぁ~大変です。

普通なら解散の危機です。

しかし、何とミック・フリートウッドさんはこの同時多発のゴタゴタ劇からバンド崩壊を避けることと現実逃避をする為に『噂』のレコーディングに突入しました。

悪夢のような…修羅場です。

いや、地獄か…。

カリフォルニアの小さなスタジオで『噂』のレコーディングは行われました。

当時のメンバー間の葛藤は作品にも大きく影響しています。

それが『噂』の最大の魅力です。

作曲の中心人物のリンジー・バッキンガムさんは以下のように仰っています。

“収録されている曲を聴くと、音楽以上の何かを感じるんだ。

複雑な人間関係によってハーモニーが豊かになり、良い曲が生まれたのかもしれない。”

『噂』は18ヶ月もかけて完成しました。  

1977年2月にリリースされると、4月には全米ビルボードチャートで1位になり、その後31週に渡って首位をキープしました。

現在までに全米だけで2000万枚以上、全世界で4500万以上の売上を記録しています。

グラミー賞の最優秀アルバム賞も受賞して、これからこのメンバーでフリートウッド・マックは全盛期に突入しました。

時がすべてを解決してくれました。

最悪な環境の中で作られた最高傑作の『噂』です。

ミック・フリートウッドさんのドラムもいつになく心地良いです。

世界一気持ちいい 8ビート と言ってしまっても問題ないでしょう。

これは“聴く”というよりは、“染み込む”感じです。

心臓の鼓動に自然と絡み合ってきます。

小気味よく均等に刻まれる繊細なハイハットと、軸のしっかりした骨太なバスドラとスネアが最高です。

そして、音がない瞬間の間合いがたまりません。

ジョン・マクヴィーさんの安定したベースとの絡みが至福の時間を提供します。

修羅場の中で、こんなに清々しい演奏をしているのが凄いと思います。

1日中聴いていたい心地良いビートです。

お酒なくても陶酔できる極上の音楽…あぁ~ステキ♪

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