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テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア 10:ミニチュアが語る物語(作品にドラマを語らせる方法)

よく来たな兄弟。ずいぶん早い到着じゃないか。いいだろう。腰に下げている剣は、飾り物ではあるまい。君にも森の掃除を手伝ってもらうとしようか。ほうき? 面白い冗談を言うな、君は。俺が言っている掃除と言うのは、そう言うことじゃない。

この森は先人たちの霊力によって守られてはいる。だが、その守りはけして完全ではない。邪悪とは水のようなものでな。針の穴がごときわずかな隙間からも、必ず侵み入ってくるものよ。今年の焚き火は、昨年よりも大きくなる。多くの冒険者たちがこの森を訪ねてくるだろう。その中には、新たな友たちの姿もある。そして何より、焚き火の夜は、戦うべき日ではない。安らぎと憩いの夜だ。ゆえに、この森をより安全にしておくことは、俺が持つ務めの一つ。君にも手伝ってもらえて嬉しい。

さあ、この水筒を渡しておこう。中身? 酒ではない。森の内奥にある霊泉で汲んだ水だ。冷たくてうまいだろう? 夜になれば少しは落ち着くが、昼の暑さは応えるからな。喉が乾くよりも早く、だが少しずつ飲め。さあ、行こう。道すがら、じっくり話でもしようか......。


テイルズ・アット・ザ・ベイルファイア
〜焚き火を眺めながら語ろう〜

ようこそ。このシリーズ記事では、ペイントコンテスト『ベイルファイア』に関連したホビーアドバイスを届けている。今回の『テイルズ』では、作品にどうやってドラマを込めるかについて、いくつかのアドバイスを君に贈ろう

ベイルファイアでは、ペイントスキルに加え、作品に宿るドラマ性もジャッジは観る。ペイントスキルについては、ミニチュアペイント大全でのノウハウ紹介をしているが、一方、作品にどう物語を宿らせるかについては、ペイント大全の文中でしばしば言及こそすれ、体系立てて説明する機会がなかった。今回、『テイルズ』の再開に合わせ、うってつけのテーマだと思ったんだ。

それじゃあ、始めようか!


そもそも物語性とは?

ベイルファイアでスキルと共に重視される「作品の持つドラマ性」とは、そもそも何なのだろう? それは、作品の状況をあれこれと書き加え、読み物を仕立てることでも、映画や本などの1シーンをミニチュア仕立てにすることでもない。ベイルファイアにおいて、作品に添えられた文章は審査に影響せず、ハーミットイン商店に並ぶオールドスクールファンタジーミニチュアには、“原作”が(デス・ディーラーのような一部を除いて)存在しないからである。

ここで言う「ドラマ性」とは、君がペイントしたミニチュアに込められた臨場感、説得力、迫力、表現の一貫性などがもたらす“作品が放つ雰囲気”のことだ。そして、作品の表す状況や背景について、見る者の想像力をかき立てずにおかない“静かなる雄弁さ”のことだ。

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