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🔰ペイント大全ベーシック:レイヤリング伝説

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よくぞ来た。ベースコート(基本色の塗装)、シェイディング(陰影の塗装)ときて、いよいよグラデーション(色の移り変わり)を表現する。前回はドライブラシを紹介した。今回は、ミニチュアペイントにおいて最もポピュラーで、かつ汎用性の高いハイライト法、レイヤリングを紹介しよう。


レイヤリングのおこりと現在

レイヤリング(重ね塗り)は、ドライブラシ同様「より明るい色をペイントすることでミニチュアに立体感を出す」ハイライトの手法だ。レイヤリングは、80年代後期、シタデルカラー(当時のシタデルカラーは現在のコートデアームズである)の台頭により編み出され、その後世界中に広まった手法だ。もともとは油絵具によるブレンディング(ミニチュア上に載せた明暗2色のカラーの境目を、溶剤をつけた筆で溶かしてぼかす事によりグラデーションを表現する技法)を代替するものとして考案された。油絵具と違い、水溶性カラーは「速乾」で、「一度乾くと溶けない」といった特性がある。そのため、伝統的なブレンディングがやりにくい事から編み出されたってわけさ。

でも実は、水溶性カラーでもブレンディングは不可能ではないし、フェザリング(伸ばし塗り)という、ブレンディングの親戚テクも存在する。また近年ではウェット・ブレンディングなる新技法も編み出されているんだけど、この辺はまた別の機会に話そう。

少し話が広がりすぎた。今はこれだけを覚えておいてくれ。君がドライブラシとレイヤリングを身につけたら、ありとあらゆる題材にハイライトをかけられるようになる。レイヤリングとドライブラシは、今日のミニチュアペイントにおける「二つの基礎」といっても過言ではなかろう。


レイヤリングの特徴と仕上がりの例

ドライブラシは毛皮やチェインメイルなど、凹凸の激しい場所のハイライトで活躍するし、レイヤリングは、それ以外のあらゆる場所でのハイライトに使える。レイヤリングは、「前にペイントした色を意図的に塗り残しつつ陰影を表現し、より明るいカラーを何度も重ね塗りしてグラデーションをかける」テクだ。

レイヤリングでは、「少し下地が透けるぐらいに薄めた」カラーを何回も重ね塗りすることで、自然なグラデーションをかけていく。つまり、カラーの透明度を活かしつつ、より明るい色を筆で「描き足す」ことで、まるでブレンディングしたかのような「ぼかし」を表現すると言うことだ。コートデアームズのような透過力の高い水溶性カラーの独壇場である。

レイヤリングは、マスターすればほぼ万能のハイライト・テクといっていい。実際、ハーミットイン商店にある作例のほとんどが、レイヤリングを主体として製作されている。いくつか実例を紹介しよう。

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