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オールドスクールファンタジーの歩み -前編

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🔰はじめに

そもそも「オールドスクールファンタジー」って何だろう? 「オールドスクールファンタジー」とは、剣と魔法ソード&ソーサリーの世界を舞台とするわけだが、特定の作品や作品発表年代、あるいは媒体(小説や映画やゲームなど)を限定するものじゃないんだ。

ハーミットインにおいて「オールドスクールファンタジー世界」とはすなわち「人それぞれの心のうちに広がる、血湧き肉躍る冒険ファンタジーの世界」と俺は定義してきた。

そして、ハーミットインがテーマとしている「現在進行形のオールドスクールファンタジーミニチュア」というのは、昔のファンタジー作品や昔のミニチュアを愛するムーブメントではない。連綿と紡がれてきたファンタジーの文脈と様式を現在に伝える現行品のミニチュアということだ。

君の心の中にあるファンタジー世界…子供の頃、ノートのすみに描いた幻想世界の地図が、君の分身であった伝説の勇者が、君の心のどこかで、君の呼び声を待っている…! 手のひらにあるミニチュアたちが、君を血湧き肉躍る冒険世界へと君を誘うのだ!

という説明で、わかる人はわかるし合点もいくだろう。

だが近年、この説明は人を選ぶことがわかってもきた。国内でもオールドスクールファンタジーが広く顕現した80年代-90年代当時を、キッズやティーンとして過ごした人は現在40代〜50代である。つまり、特定世代でなおかつ当時ファンタジーに接点があった人でないと、上の文言は共感を得にくい。

これは当たり前のことだ。誰かに「高度経済成長期のあれな、やっぱ俺たちの下地みたいなとこあるよ。憶えてるだろ?」とか言われても、俺は当時まだ産まれていないので、思い出しようがない。もちろん当時のことを知識として知ることはできるし憧れもする。けど、体感してないから、自分の経験じゃない。

現在、ハーミットイン・メンバーシップには30代や20代の読者も数多くいるし、40代や50代でも、80年代-90年代当時ファンタジーに没頭していなかった読者が数多くいる。そしてこれは本当にいいことだ。受け継がれつつあるということだからである。

それと同時に、オールドスクールファンタジーの説明をより明確に言語化・具現化する必要を感じ始めてもいた。時代を共有していない人たち…もっと広い層にこの魅力をどう伝えてゆけばいいのか…。

俺は、このホビー…オールドスクールファンタジーミニチュアは、世代を超えて受け継がれ、愛されるに足るものと信じている。特定の世代だけではなく、今を生きるすべての人(そしてこれから生まれてくるすべての人)の魂に火をつけうると信じているんだ。

このシーンの行き着く先は過去ではなく未来にある。だから今日本にはハーミットインがあり、こうして現在進行形でやっているんだ!

このホビーを楽しむ上で、ファンタジーの歴史であるとか、過去の作品に親しむことは必須じゃない。追加の楽しみ方と言っていいだろう。だがそれでも、ここでは歴史について語ろう。なぜなら興味のある人にとって、歴史を訪ねることはすなわち温故知新につながる。つまり、君自身が自分のファンタジー世界を想像し創造する上でも、いい参考になるからだ。俺自身そうだ。様々な作品からものすごい影響を受けているし、作者や関係者をリスペクトしている。

同時に、その上でなお、なぜ俺がちゃぶ台をひっくり返して「このホビーは自由だ! 歴史なんかどうでもいい。君の好きにしろ」というかのキモ部分について、そして俺が今後ハーミットインでどんなスタンスを取るかについても、後編でしっかり書くとしよう。

それじゃあ、始めようぜ!



歴史はおもしろいが、知らなくても楽しめる

「はじめに」でも言及したけど、大事なので繰り返す。

俺は、時系列順に何かを整理するとか、一次資料をあたって客観性を担保するみたいな考古学的研究や知識の会得がこのホビーを楽しむ上で必須だとはまったく思わない。とはいえこれは、歴史を軽んじろとか、先人たちの作品群を無視して足蹴にしろ、と言っているのでもない

だが、ミニチュアでもRPGでもプラモでも漫画でも何でも、歴史のあるコンテンツを楽しもうとする時、なんか訳知り顔の偉そうな古参だか重鎮だかがどこからともなく現れ、「これは義務教育レベルですよ」「これは必修ですね」と、頼まれもしないのにウザがらみしてくるものだ。ありゃなんだ?詐欺教材の営業か何かか? 人にマウントしているヒマがあれば手を動かせという話だ。

俺はああいう外道連中が大嫌いである。若い世代を弾き、初心の友をいびり、勝手に履修過程とかほざき、たまたま自分が知っているからと言って上に立ったようなつもりでいる外道はFUCK OFFだ。なぜなら、こういう鼻持ちならない外道は、やがてそのシーンを丸ごと潰す連中だからである。

だから俺はあえて「ファンタジーの歩みに通じることは必須じゃない」と言う。ものすごく面白くてオススメしたいものは俺もたくさんあるし、聞かれたらジャンジャン共有する。でも、その中に「必須」なものはなく、「義務」も存在せず、「知ってて当然」なものもない。興味が湧いたら掘ればいいのだ。興味があることに好きなだけ手間暇を突っ込むのがホビーだろう?


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