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なかよしキノコ 前編(ペイント大全ステップアップガイド)

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ステップアップガイド

このシリーズは、ペイントスキルのさらなるステップアップを狙う君のためのガイドだ。とはいえ、『ショウケース』でやるような、じっくり塗り込みのテクや手順を紹介するものとは違う。

このシリーズで注力すること。それはミニチュアを最小限の手数で効果的にカッチョよく塗り上げ、テンポよく完成させることだ。いかに手を抜くかという単なるスピードペイントではなく、だからといってじっくり塗り込むコンテスト向きペイントでもない。その真ん中だ。

今回取り上げるのは、ハーミットインミニチュア製『なかよしキノコ』セットを前後編の2回シリーズで製作する。

前編の今回は:

●組み立て
●グリーンスタッフでの追加造形(オプション)
●ベースデコレート
●アンダーコート
●軸と傘裏のペイント

以上を進めていくよ。それじゃあ、さっそく始めようか!


なかよしキノコとは?

人間ほどの背丈を持つ巨大なキノコ。その幹にはゴブリンめいた顔があり、群生地でやかましく話したり、笑ったり、歌ったりする。オールドスクールファンタジーミニチュアにおける様式美の一つであるこの「顔つき巨大キノコ」たち。80年代にこれを考案したレジェンドデザイナー…ケビン・アダムズその人が今年あらためて手がけた「なかよしキノコ(4体)」を製作していこう!

なかよしキノコは23年12月に初期抜き限定セットが評議会メンバー限定で販売(レビュー記事はここね)され、一般販売開始は2024年の予定になっている。今回の記事は、君がもう彼らを所有しているならすぐにでも使える内容だ。一般販売待ちの人は製作時の参考にしてくれ。

顔つきキノコはね、きょうぼうで、めいわくで、うるせい連中!
だから、わしらとは、別になかよくねいよ!

キノコに分類される生き物は数えきれないほど多いが、特段風変わりなのが、まるでゴブリンのような顔を持つ巨大キノコのたぐいであろう。その生活圏はゴブリンとほぼ合致している。それはつまり、凍てつく北方や灼熱の砂漠を除いたあらゆる土地、ということだ。

彼らが「なかよしキノコ」と呼ばれるのは、やかましくおしゃべりをしたり、昼夜の区別なく合唱をすること、そして大声で笑い合うことからきている。その言語はゴブリンのものと似ているが、彼らがいかにして言語を習得し、なぜこんなに迷惑な形で用いるようになったかはわからない。

ひときわ大きい個体は頭取と呼ばれており、群生する同類たちのまとめ役を担っているようだ。群生地の個体は地下茎で互いに繋がっており、必要に応じて地下に隠れたり、地下茎を伝って別の場所へ移動することさえできるという。それぞれの個体は独立した別個の生命体ではなく、群生地のキノコ全体で一個体と考えるべきかもしれない。

ハルクウーベンにおけるなかよしキノコ


組み立て

なかよしキノコは4体セットで、頭取のミニチュアだけ、傘と軸が別パーツだ。プラベースは付属しないが、いずれのミニチュアも自立する。小さい方のキノコはだいたい20mm径の地面造形つき薄型メタルベース、頭取は本体のみの造形でベースはない。

ジオラマや情景モデルに組み込む場合は、このままクリーニングしてベースに固定すればいいけど、俺は今回、プラベースに載せる。いずれにせよ、まずはそれぞれのクリーニングを進めていこう。


クリーニング

ベースに固定したりパーツを接着したりする前に、ミニチュアのクリーニングが必要だ。それぞれの工程の詳細やコツについては、下のエントリーで確認してね。

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ベーシック:ミニチュア組み立て伝説

それぞれのキノコごとに、エアピンをニッパーで除去し、パーティングラインをナイフのカンナがけでこそぎ取る。奥まってナイフの刃先が入らないところは、針やすりを使うといい。


頭取の傘をドジャーン! と横に突っ切るパーティングラインは、円ヤスリでならし、傘のスジ凹部だけ針ヤスリでならした。それと、ヤスリは押す時(矢印の方向)に力を入れること。引く時に力を入れてもヤスれないし、目詰まりのもとになるよ。

ラインを取り切ったら、ミニチュア全体を真鍮ブラシで優しく磨き、表面の離型剤(タルク)とクリーニングでついた傷をならしてやる

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