彩雲

飛ぶなら今だと思った。気持ちが下がったのに飛ぶなんておかしいと思うかもしれないが、下がったら上がるのだ。こんなに気持ちが深い所まで降りてきた今なら、次への上昇のパワーは高くなるはずだ。それを利用して飛ぶのだ。

まず自分に集中するためにスマホをなるべく見ないようにした。ネットからの情報は刺激的なのですぐに気が散ってしまう。今回は笑ってごまかすのはやめようと思った。とことん底を味わうのだ。悲しみに浸ることが必要だった。その代わり音楽はたくさん聴いた。

作り始めていたメロディが出来上がりつつあった。私は音から作る。歌詞は後から考えてはめていくのだが、まだ何を書くか真っ白だった。そして気づいた。今のこの気持ちに向き合ってそれを歌詞にすべきではないかと。自分が言わずにきたこの気持ちを。

トラウマと向き合うのは難しい。もう終わったことなのに無意識のうちに人生に影を落とす。しかし自分を表現することが芸術ならこれを表現するべきなのだ。

この曲を「彩雲」と名付けた。

次から次へと浮かぶアイデアを一つずつこなす。私は直感で作るので思いつけば早い。しかし問題はまとまった時間が取れないことだ。はやる気持ちを抑えながら体力気力時間があるときに一気に進めるのがなかなかつらい。一人で静かに戦っている。さ、さみしくなんかない。いや、正直さみしい。でもこれは自分との戦いなのだ。ただの妄想で終わらせるわけにはいかない。

週末、計画通りに進める。無事できるか不安だったが、やってみるとすんなり思い通りにできた。いや、思っていた以上だった。神様がいるなら応援されてると思った。

今までは曲を録音して終わりだったが新しいことをした。MVを作ること、歌詞を英訳すること。

朝公園に行く。今日は晴れなのだ。まぶしい太陽が撮れるはずだ。まさかのランニングする人に遭遇。しかしなぜかもう恥ずかしくはない。iMovieに感謝。簡単に作れる時代に生きる幸運。こんな日がくるとは。自分で撮った彩雲の写真も入れるのだ。

そして英語の得意なステキな方に思い切って添削をお願いした。英語は勉強してるけど文法がよく分かってないからいろいろ間違っていたが心よく教えてくれた。うれしかった。私は英語が好きだ。うまくなりたいのだ。

ピアノ伴奏を録音。キーボードで音を足す。音楽の世界で遊ぶってなんて幸せなんだ。自由になれる。思わぬサウンドが出来上がった。

そして歌。

自分が作ったんですけど、難しかった！しかしもうやるしかない。なんとか録り終え書き出し。そして思ってたんと違う現象。なんで書き出すと音変わって聴こえる？ちょっと耳に痛い音質になってしまった。しかしもう絶望してる暇はない。

MVを仕上げる。自分を改めて見るという拷問。いや自分を表現するために自分を入れたんだ。ここは我慢だ。

いよいよ公開するのだー！

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やり遂げたよ先生！みんな！

私できたよ！