ドローボール

ドローボールは魔球である。少なくとも私においては。

真剣に始めて数年した頃、めでたくスコア100切りを達成した。通常であれば、次は90切りをとなるところだろうが、私においての次なる目標は90切りではなく、ドローを打つ事に向かっていた。

この頃、まだスイングがなんたるか、そもそもゴルフは好きだが、その構造など理解をしていないころで、アマチュアが良くやってる、悪い所をみたいなものを見つけては、少しづつ直すのような繰り返しだった。 

その後、レッスンをお願いして受ける事になるのだが、それはまだまだ先の話だった。 何せ目標の100切りは達成されたし、なんとんく打ち方が身についてはいたので、今更、こうして打ってとか言われてもなというのが正直なところだった。

ドローがどうして打ちたいかと言えば、それはカッコ良かったからである。既にもうひとつの自分的カッコいい、ロブショットはある程度打てるようになっていたし、次なる目標はドロー、それだけである。その当時、パワーフェードなる球がPGAで流行りだしていたが、そんな事よりドローが打ちたいとずっと思っていた。 

その後どれだけ苦しむかもわからずに。

打ってはみたいとは思ってたみたものの、実際にはドローをどうやって打って良いのかわからず、知り合いと打ちっぱなしにでかけたところ、思いっきってきいてみた。彼の腕前は確かだったし、センセイと呼ぶほど、ゴルフに関しては詳しかったし信頼もしていた。

ここで習ったドローは、一昔前の理論に基づいたもので、右足を後ろに引いて、インサイドアウトで打てば打てるんじゃない? その程度のものだった。今となってはレッスンなり、本を読んでそれが一昔前の理論で正しいものではないと証明された事やら知ってはいるが、これで打てるならガンガン練習してやるぜとしか考えていなかった。 

その後どれだけ苦しむかもわからずに。

練習だけは、むちゃくちゃまじめにやる人だったし、当時からゴルフの事しか考えていなかったので、ある程度練習すると、打ちたかったドローのボールがでてくるようになった。 今思うとドローというよりフックに近いボールに既になっていた気がする。アイアンがとにかく曲がる曲がる。それまでスライスなんぞ出ていた、ドライバーのスイングもドローになって面白いように曲がるようになった。そのうち曲線があれ?曲がり過ぎするぞ、、それってフック?いや、OBやんってなんてしまった。

スイングとは不思議なもので、いちど身につけるとなかなか変える事ができない、しかたなく、OBにならないように、右を向いて振るようになってしまった。

あるとき、仕事の付き合いで行った2日間のラウンドで衝撃的な一言を言われる。 お前それ、もうフックどころか、ブーメランだなと。 

そのあと、知人らの計らいもあって強制的に治すのに取り掛かるが、2日目のラウンドがずたぼろだったのは明らかだった。

その後ブーメランに泣きながら、夏が過ぎ、気が付けばまた100を超えるスコアが続く、何故なら毎Tee shotがブーメランで右に打ち出して、左にOBをするから。 ショートホールでも必ず左にこぼれるを繰り返すから。 毎tee shotがOBになるとそれはもう地獄でしかない。

こちらのシーズンは短い。だいたい4月にゴルフコースがオープンし、早ければ11月の中頃 からThanks Giving Dayあたりにはシーズンが終わる。

そしてこの冬に自分のゴルフを諦めて、レッスンの門を叩く事を決める。

ドローボールは魔球である。

Instagram  12/31/2016 投稿より。

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