Ping

ゴルフを始めたかりの頃は、当時の世界チャンピオンであるLuke Donaldに憧れ、少しづつではあるが彼の使うクラブをそのまま集めていた。

初心者にはにそぐわないそのセッティングは、まずボールが当たらない。ボールに当たらないのでゴルフが嫌いになりそうになる。特にアイアンに至ってはツアーモデルだったので、今の腕前でも、当てる事ができるかどうかのものだった。ラウンドに行ってもアイアンって当たらないものなんだと思いこまないとやってられない日々だった。そんな訳で100切りなんてものは夢の夢だとあの頃は考えていた。 この時のクラブ選びの基準は、カッコいいかカッコ良くないかだった。

あるとき、一緒にラウンドを回った人から、そのクラブは難しいだろうと言われた。彼は長年ゴルフをやっている人で、だんだんと歳を重ねて飛距離を諦め、正確さを求めるタイプのゴルフをする人だった。 彼の仕様するクラブがPingだった、Pingのクラブは優しいよとのアドバイスをもらう。

ほどなくして、クラブマニアである友達から、使っていないPing のクラブがあると言われ、試めさせてもらった。いろいろ打ってみるとクラブが違うだけで、こんなにも違うのかと実感できた。それに加え、4番アイアンなど長いクラブをそれまで所持していただけで、一生当たらないであろうと思っていたのがきれいに当たった。 そのクラブはその頃からも10年以上も前に出たもので、名器とも呼ばれたPing Eye2というクラブだった。今思えば、古いクラブだったので、現在のクラブのSpecに比べると2番手程下がる感じだった。今のクラブでいう6番のスペックが4番のクラブにあたるので、飛距離こそ落ちるが面白い程打てた。 

しばらくの間、クラブを借り受け、すっかりPingのクラブの虜になった私はそれまでのクラブを下取りにだし、手にしたのがG25アイアンだった。今思うと私のクラブ購入時には付き物であるがSpecを間違えるというあやまちをこの時もおこしていたが、 あぁアイアンって当たるんだって思わされたクラブだった。

ある時、出張で日本に行く事になり、そのタイミングで実家に帰った。ちょうど誕生日に近かった事もあって、父親にねだったのがG30というドライバー。その時の最新モデルだった。ただ、日本で購入したそれは、だいぶたってシャフトの振動数を測った時、私の買ったStiffの数値ではなく、Regularの固さだという事が分かった。

後にして知った事だったが、日本とアメリカで同じモデルでもシャフトの固さが違うとの事、身体の作りが違うからだとの思うが、例えば、服でも同じMのシャツがアメリカではMであっても、日本のものではLになるという事を聞いたことはないだろうか?

そもそも1Wの振り方がなっていないこともあり、ドライバーがいまいちだった私だったが、この時にInstagramに投稿した通り、なんと、レンジにて練習中に、上にあったヒーターのパイプにヘッドが当たり、まさかのドライバーを折るという事件が起こってしまった。たまたま狭いブースだったのかもしれないが、自分のスイングの問題だと嘆いた。

Pingに関しては修理が無料と前から聞いていたが、私のPingはいかんせん日本製、Warrantyの対象外だろうなと思っていた。ただそこはアメリカ。持ち込んだゴルフショップでは別に気にしないと思うよ、取りあえず、送ってみるわとの事、そういって後でいろいろ払うの嫌だなと思っていた数日後、修理できたから取り来ての連絡。有償でも送料位だったらラッキーだなと思っていたが、特段支払を要求される事はなかった。 大げさでなく、なんて太っ腹なんだPing。神か何かの類かと思った。そしてこの時は一生Pingと共に生きていこうと思った。

修理後、シャフトはUS仕様のStiffになったの。これには思わぬ副作用があった。受け取った次の日がちょうどコンペだったのだが、1W不在で練習があまりできておらず、不安の中でプレーを続けた事もあり、それまで問題の無かったアイアンが思いの他絶不調で、スコアは散々なものだった。

しかし、この日のラウンドが忘れられないものになったのは、ドライバーがもの凄い飛んだからだった。後半のホール、300yちょいくらいのPar4。1球目は左に大きく曲げ、OBだったが、打ち直した2球目、グリーンを少しオーバーした。 その時は何も考えていなかったが、あれ?ここって300y超えじゃなかったか?まさかだとは思ったが、まさかだった。

ボールを確認するとやはりグリーンを超えていた。OBを打った事や、今まで悪かった事を忘れ満足しかなかった。シャフトの固さが変わった事で、飛距離が大幅に伸びたのだった。

現在は、特別なフィティングを受け、リシャフトして更に固いシャフトを刺している、もちろん現役だ。ただ、優しい優しいPingからちょっとハード目なクラブに変えてみたいという欲が出てきている。なにせ、5年もたてばクラブの進化は目まぐるしい。Pingでいっても、既に私のGドライバーは世代でいえば5世代も前のものだ。

修理後の受け取りの際に、一生Pingについていくと宣言したが、Pingという優しいクラブに出会い、1Wの苦手意識を拭う事ができたからこそ、他のクラブを試してみたいと思わされたと加えておこう。

Instagram 05/24/17 投稿より

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