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複雑な課題を解決するための自律的なチームを支える - ヘンリー組織のアプローチ

ヘンリー CEOの逆瀬川(@gyaku)です。
弊社は、社会課題解決を目標とした企業であり、電子カルテ・会計システムをコアとするクラウド型業務PF「Henry」の開発をしております。

(事業や目指す世界については、ぜひ資金調達時のインタビューをご一読ください!)

医療業界のDXの核心に正面から挑みチーム一丸となって事業に集中していましたが、思うようにスループットが出ないなと感じることが多くなり、特に昨年は自身の経営者としての実力不足を感じる1年でした。ドメインの深さや複雑性が、チームのアウトプットに与える影響をきちんと理解してなかったのです。

組織は、扱うドメインの複雑さやビジネスモデルに応じて適切な組織を構成する必要があります。加えて、ビジョンや事業の成長速度、メンバーのドメインへの理解の深度・スキル、各チームの練度なども構成する時に検討するパラメータとなります。このパラメータをイメージしつつ、常にベストな組織設計を模索し、実際に運用し続けていきます。

この半年間、組織に向き合い試行錯誤しながら改善を続けてきました。まだまだ改善の途中ですが、組織デザインのアプローチとその前提にある思想や制約条件をご紹介したいと思います!

前提 1 - 解くべき深い課題を扱う

ヘンリーでは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」をMissionに掲げています。より大きい課題を解決し続けるためには、CEOだけではなくメンバー一人一人が業界にDeep-Diveし、より大きな問いを見つけ自律的に解決していくことがキーになります。
そのために、個人や活動の最小単位であるチームがポテンシャルを最大限に発揮して、スループットを最大化するための環境整備をしていきます。

前提 2 - 複雑で情報量の多いプロダクトを扱う

現在、1st プロジェクトとして医療の会計システム(通称 “レセコン” )と病院向け電子カルテを開発・販売しています。
システムの責務として、国民皆保険制度、診療報酬制度という公的制度や、3省2ガイドラインといったルールを遵守し、各診療科や病床の種類に最適していくことが求められます。レセコンと電子カルテは全医療従事者が使う基幹システムであり、当然求められる機能の数が多いです。
また、システムを販売して終わりというわけではなく、職種ごとにシステムを活用した業務フローを提案していきます。
上記の様に、公的制度な制限に加えMVPとして求められる機能もビジネス要求も多いため、通常の組織より扱う情報量と情報深度が深い前提で、組織設計しています。

人は認知量の限界を超えると、適切な意思決定ができなくなります。実際、病院版の開発が進むにつれて、個人の役割と取り扱う情報量が膨らみ、本来のみんなのパフォーマンスが発揮できているとは言い難い状態でした。

※意思決定と情報処理の関係性については、CULTIBASEの記事がとてもわかり易くまとまっています。

アプローチ - 「認知負荷の考慮」、「コミュニケーションの構造化」、「情報の透明性」

個人やチームが活躍できる環境を提供するために、まず取り組んだことがこの3つです。

認知負荷の考慮

1人・1チームが扱える情報量の限界を認め、取り扱う情報を限定して構造的に処理する方針にしています。
とはいえ、スタートアップなのである程度領域を超えたり、マルチな役割を担うことは日常茶飯事です。
大事なのは情報量の限界を理解し、理想的な状況へ向けて現状を改善していくことだと思っているので、日々チューニングしています。

コミュニケーションの構造化

「情報のデザインを行い、組織内の意思決定のシステムが働くこと」の重要性を意識して、コミュニケーションを設計しています。
昨年1年間は、組織の至るところに例外処理が発生しており、意思決定がスムーズに行われていませんでした。そこで、役割としてコミュニケーションの伝達をする役割を明確に決め、コミュニケーションラインを明確にしました。
一方で、構造的に処理できない重要なプロジェクトなどは、組織横断的(マトリクス構造)にプロジェクトを発足したり、接点となる人を配置したりしています。
例えば、Henryの場合はプロダクトを売って終了ということはなく、業務のワークフローを医療機関さんと一緒に構築していく必要があります。特にリリース前のプロダクトを導入していくためには、カスタマーサクセス(CS)とプロダクトチームの密な連携が必要となり、一部のCSメンバーはプロダクトチームのDaily Stand Upにも参加しプロダクト開発に関わっています。

情報の透明性

人事情報やNDA情報など特定の情報を除き全ての情報Notion上でオープンにし、自律的な意思決定がしやすい環境を整えることを心がけています。
コミュニケーションの構造化で普段触れる情報は限定しつつ、自分が取得したいタイミングでは情報を取得できるようにするバランスを日々メンテナンスしています。(難しい。。。)

組織デザインはまだ1合目

ヘンリーが扱うテーマの複雑性や広さを理解し、やっと組織実装し始めた1年でした。
まだまだ出来てないことが圧倒的に多く、失敗を重ねながら日々改善している状態です。
「このテーマ大好きだよ!」という方がいたら、是非一緒にディスカッションしましょう!