前編【ネタバレしかない超長文レビュー①】大谷翔平のドキュメンタリー映画「Shohei Ohtani - Beyond the Dream」
大谷翔平のドキュメンタリー映画「Shohei Ohtani - Beyond the Dream」、皆さんご覧になっただろうか。
まだご覧になっていない方は、こんなネタバレしかない薄っぺらいブログを読んでいる場合ではない。速やかに視聴開始することを強くオススメする。
これ以上大谷翔平のことを好きになるのは苦しい、辛い、こんなに夢中にさせてもう大谷翔平何がしたいの!と悶え苦しんでいる重症者は、病状が悪化するから見ない方がいい。
いいか、見るなよ?絶!対!に!見るなよ。(振り)
もう見てしまって、誰かと感想語り合わないと気が狂ってしまいそうで、ついにはこんな辺境のブログにまで辿り着いてしまったというあなたはもう手遅れ。この薄っぺら長文でも読んで一緒に大谷翔平を愛で倒しまSHOHEI!
秀逸な構成により実現する「?年(ねん)越し」の答え合わせ
豪華メンバーの出演、映画クオリティの高画質、胸アツsongセレクション…素晴らしい要素は色々あった作品だけど、私が一番印象的だったのは構成の妙。
インタビュー映像を時系列、人ごとに順番に流していくのではなく、テーマやストーリーに沿って試合の映像を織り交ぜながら、細かく散りばめていく構成。これが秀逸だな、と思った。
時間も場所も離れたところで、目の前にいない相手の事を頭に浮かべながら「想いのキャッチボール」をする。昔の「文通」を想起させるようなやりとり。
対面だと言いづらいことが言えたり、特にシャイで野暮なことが苦手な(と、私が勝手に思っている)大谷翔平には、この作りがかえって良かったんじゃないかと思う。
X(twitter)でも何度も書いているけれど、私は元々、栗山英樹氏と大谷翔平の不器用なやりとりが好き。
お互い強固な信頼関係で結ばれているんだけど、いや、結ばれているからこそ、核心には触れない。余計な言葉を交わさない。
一緒に大きな夢を叶えたWBCの後、大谷翔平がサクッと写真だけ撮りに来て消えていったエピソードも大好き。
そんな二人の、動画を通じた対話。何年越しかの答え合わせ。
という、少しはにかみ混じりの笑顔の問いかけに、「もうキミたち、直接話そうよ〜〜!!」」と心の中でツッコミを入れながら、こんな貴重なやり取りを覗いてしまって良いものか…と、ドキドキした。
そして、その質問を投げかけられた時の栗山さんの表情!
ビデオの向こう側の大谷翔平を抱きしめるような優しい目と「そんなことを考えていたのか、俺のかわいい翔平」と言わんばかりのお顔いっぱいの笑顔。
そこから「僕は本当にできると思ってました」とパッと表情が切り替わる瞬間が特に良かった。
いつもいつも思うけれど、栗山さんは言葉以上のものを、表情や話し方を通して伝える非言語コミュニケーションが素晴らしい。
ペドロ・マルティネズ氏も表情豊かで引き込まれたし、マドン監督の「Sho」と語りかける口調も良かった。(字幕だと省略されていたけど)
これらのやり取りを介して見えてくるのが、普段人前では見せることのない大谷翔平の二刀流への不安や迷い。
いつも迷いのない様子で真っ直ぐ突き進む姿だけを見せてくれる大谷翔平だから、ついつい忘れてしまいがちだけど、前人未到の挑戦をする人にしかわからない不安、恐れ。
そうだよなぁ、あって当然だよなぁ。
自分一人の想いだけで周りを巻き込んでしまっていないか、という謙虚な彼らしい想いもあったのかもしれない。
印象的だったのが、「散々だった」と自身が振り返る2019、20年の不調について語った後の発言。
そうか。ご本人の中では「なんとか、なんとか」なのかぁ…と(泣)
打席やマウンドでの威風堂々王者の佇まいや、常人離れしたご活躍に、「本当に人間じゃないのでは?」「またヒット感覚で軽くHR打っちゃって!」なんていうアホみたいな錯覚に陥ってしまうけれど。彼の陰での努力や苦労って、周囲の人々の発言やこういう言葉の端々からしか感じ取れないんだよなぁ…
ちなみにこの映画、私にとっても「答え合わせ」になりました。
まるで9月の私の「お気持ち表明」で書いたことに対するアンサームービーのようで、もうこの映画の脚本は私が一枚噛んだと言っても過言ではないですよね?(いいえ、過言でしかないです)
大谷翔平はなるべくして「大谷翔平」になった
「今の大谷翔平があの「大谷翔平」になったのは必然だった。全てに理由がある」
これが、この映画を見終えて真っ先に抱いた感想。
「ラッキーだった」「運が良かった」「いい人たちばかりだった」
大谷翔平は繰り返しそう述べている。
そうだろうか?謙虚さ故の発言なのだろうけれど。
私は「運」も「縁」も「タイミング」も、自分で引き寄せるものなんじゃないかと常日頃思っている。
そして、本作を見てその考えをより一層強めた。
奇跡のような「野球ヒーロー大谷翔平」が生まれたのは偶然でもなんでもない。
持って生まれた素質が素晴らしくてラッキーだったというだけの話じゃない。
もちろん、恵まれた体格、運動能力、センス、性格…etc持っている素質も人並み外れてはいるのだけれど。
そのポテンシャルを120%活かしたのは彼自身の不断の努力の賜物。
そして、彼のこれまでの道のりを切り拓いたのは「彼自身の思考力の高さ(賢さ)」と「周囲からの大きな愛と圧倒的な信頼」なんだなぁ、と。
特に本作はこの2つを証明するような内容だった。
野球バカのようでまったく野球“バカ”ではない
「思考力が高い(賢い)」と一言で言ってしまうと簡単だけど、いったいどういうことか。
人並外れた天才的な活躍をしてる人って、往々にしてものの考え方がぶっ飛んでるイメージがあるんだけど、大谷翔平の場合はちょっと違う。
努力の質や量は頭おかしいレベルでぶっ飛んでいるのかもしれないけれど、ベースにあるものの考え方や思考回路は極めて常識的で地に足がついている。
人生のすべてを野球に捧げているのではないかというくらいアンバランスな生き方をしているはずなのに、彼は同時にものすごくバランス感覚が優れているように思う。
勝ちに対する執念はすごいのに、性格は穏やかで平和主義。
どっしりマイペースに構えているようで、同時にものすごく空気も読んでいる。
自信はオーラとなって漲っているのに、とんでもなく謙虚。
で、謙虚なのに、驚くほどプラス思考。
自分にとって大事なものは絶対に手放さない意思の強さ、頑固さがありながら、人の意見を受け入れたり、固執し過ぎない柔軟性もある。
一人の人間の中に共存しづらい性質が、思考力の高さ故、絶妙なバランスで同居しているのが大谷翔平の魅力であり、スゴさだと思う。
この絶妙なバランス感覚は意思決定時の思考プロセスにも見られる。
これまでの彼の数々の言動を見て、ノリや感覚だけで物事を判断する人ではないのは重々わかっていたからこそ、エンゼルスを選んだ理由を「フィーリング」と表現することが私は前から好きだった。何かを決める時、「客観」だけでなく「主観」も同じくらい大事だと思うから。
めちゃくちゃ論理的にじっくりと検討を重ねた上で、最後はフィーリングもちゃんと大切にする、彼の“バランス感覚”が好き。
周囲の雑音や期待、プレッシャーも多い中で、自分のフィーリングを大切にできる彼の”強さ”が好き。
もうこれだから、今回のFAも楽しみしかない!
ダルビッシュ投手の言葉も良かった。
こんな風に、映画を通じて改めてヒシヒシと伝わってきた大谷翔平の思考力の高さが、結果的により良い選択をすることに繋がっているし、その選択の数々が彼の運命を切り拓いてきたのだろうな、と感じた。
先日、大谷翔平が2度目の満票MVPを受賞した際に花巻東高校の佐々木監督が寄せた言葉の通り。
脳科学の権威か誰か!早く大谷翔平の脳を研究してくれないかな。
「前頭葉のサイズが規格外でした!あんな頭小さいのに何でや!」
「脳波を測定したら前頭前野が常人離れした仕事をしていて測定器が壊れました!!!」
「肩幅の秘密がわかりました!脳が肩にありました!!!」
みたいな結果でるよ、きっと。
野球ヒーローという生きざま
もう誰から見たってわかることだと思うんだけど、こういう方って何やったってうまくいく。間違いない。
だからこそすみませんだけど、マドン監督の老婆(爺?)心ながら…の「野球に限定せず、多面的な人間を目指すべきだと思うよ」というご助言はこう思ってしまった。
あ、すみません。私のようなものが偉そうに…ホントおこがましい!けど、
例えばですね、大谷翔平が寝ても覚めても野球!野球!野球のことしか考えられなくて、お風呂すら入ってなさそう…人とまともに会話が成立しなさそう…とかなら心配もわかるんですよ。
でも、見てごらんなさいよあの清潔感、清涼感!(いや、髭剃りはわりとサボりがちだけどw)
そこらへんの営業マン顔負けのコミュニケーション力の高さ!
大谷翔平がもしこの瞬間「野球ばっかりやり過ぎてさすがに飽きたので、明日からサラリーマンやります」と言おうもんなら、世界中のビズリーチというビズリーチが人差し指掲げて殺到しますよ。
歴史的スーパードゥーパーハイクラス転職です。
入社初日に営業成績トップ確定だし、先輩後輩会長社長老若男女全社員から愛されます。私には見えます。
「彼女募集します」と言おうもんなら、「彼女ぼsh…」まで言いかけたあたりで世界中の女性が立候補して、地球規模の「バチェラー・ワールドワイド」始まりますよ。断言します。
何を心配することがあるんでしょう?
そもそも彼のように前向きに物事を楽しむ力を持ってる人なら、現役を引退した次の日から、どんな状況だって前向きに楽しむし、豊かな人生送りますって。
だって19、20年のスランプを「望んでたというか、ワクワクの方が強かったですね」なんて高貴なスマイルを浮かべながら言っちゃう人ですよ?
前向き界の王者かな?これで何冠かな?と、ドン引くレベルです。
映画の中でダルビッシュ投手は、「契約の年なのに、一般的にリスクがあると言われているWBCで優勝したい」と、本気で挑む大谷翔平の姿勢に驚いたと発言している。
これほどバランス感覚に長けた方なら、色々なものを少しずつ楽しんで、バランスの取れた人生を歩むことだってできるはず。
だけど彼は、「契約の年だから」とかそんなの度外視で、勝つために、前だけを向いてアンバランスな挑戦をすることをあえて“選択”している。
日頃から5年〜10年先を見据えて練習に取り組んでいるような人が、試合になると、今この瞬間にすべてをかけているようなプレイを見せる。そういう姿に我々は胸を打たれる。
既に規格外のポテンシャルを持った選手が、なりふり構わず野球にすべてを捧げたら、いったいどんな世界を見せてくれるのか、その挑戦に私たちはたまらなくワクワクしているし、きっとご本人もそうなんじゃないかな。
ガハハと豪快に笑うサバシア氏の言葉に私も笑いながら泣いちゃった!
さて、ここまで根気良くお付き合いいただけた方が何人いらっしゃるかわかりませんが。(皆無説あり)
仰りたいことよくわかりますよ。
そうですよね。
長い!!!!!
いいですか?落ち着いて聞いてください。まだ続きます。
もはや拷問レベルの長さなので、また時間が経ってから「後編」として投稿しますね。
もう9割くらい書いてあるけど、仕上げるのが面倒なので、このブログが誰にも読まれなかったらそっとお蔵入りするかもw
※お断り:本ブログでもX(twitter)でも愛とリスペクトを込めて「大谷翔平」と敬称略で呼ばせていただいています。いわばブランド名の感覚です。マツモトキヨシを「マツモトさん」「キヨシさん」と呼ばないのと同じ理由です。(意味がわかりません)
不快に思う方がいたらすみません。
後編はこちら↓