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今日酷評した作品はもしかすると美品良品かもしれない(映画『哀愁のメモワール』)

 はじめましての人も、
 前から知ってた方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 2024年3月16日の夜明け6時頃まで、
 記憶の奥底にすっかり埋もれていたんだが、

 思い出したら書き残さずにおられん。

(文字数:約1600文字)


  『哀愁のメモワール』
    1993  アメリカ・イギリス
    ジョン・マッデン監督
    リーアム・ニーソン、
    パトリシア・アークエット


そもそも文芸作品系俳優

  1999年の米版『レ・ミゼラブル』で、
  ジャン・ヴァルジャン役を演じる姿を観て以来、
  リーアム・ニーソンにどハマりして、

  歴史大作だろうがB級ホラーコメディーだろうが、
  出演作はどんな端役だろうと、
  出演シーンを食い入るように、
  見詰め倒してきたんだが、

  『哀愁のメモワール』だけはおいおいwwと、
  当時の私は大学生で、
  恋愛した事もないどころか、

  自分には恋愛も結婚も、
  セックスの機会すら訪れまいと、
  親の価値観と美意識が、
  骨身にまで染み込んでいた頃だったので、

  クッソしょうもねぇ話にしか見えなかった。


  なんでこんな映画が作られたのか、

  わざわざ2時間近くもかけて、
  私も含む観客相手に、
  一体何を伝えたかったのかこの話は、

  とまで理解に苦しんだ。

  しかし20年以上も過ぎた今朝、
  頭に湧き上がってきたいくつかの、
  鮮烈なシーンと共に頷ける。

  何たる悲劇!

  この悲劇は真に痛切!


20年越しでうろ覚えだがあらすじ

  ※細部の情報は間違っている可能性があります。

  冬場は雪に閉ざされてしまう小さな村の、
  教会に赴任してきた神父が、

  腰から大きく歪んだ独特の歩き方で、
  遠くからでも彼だと気付かれてしまう男、
  イーサン・フロームを目にする。

  村の女性が彼の身に起きた、
  ある不幸について語るのだが、

  その不幸とやらが、

  病弱の妻と、
  妻の介護にきた若い娘との、

  実に分かりやすい三角関係。

  大学生当時の私は、
  その時点で大きくため息をついた。
  AメロからBメロときてサビまでの流れが、
  全部お見通しじゃないか。

  そんで所詮、
  (どハマりしたリーアムなんだが)
  この男の自業自得だろ?

  くらいにけちょんけちょんに思っていた。


違和感は大事

  それでも当時の私偉かったなって思うのは、
  あんまりにも分からなさすぎて、
  原作本を手に入れたんだよ。

  それも当時は何でか日本語訳が見つからなくて、
  英語抄訳でお馴染みペンギンブックス版を。

  原作のタイトルは主人公の名前で、
  『イーサン・フローム』

  作者はイーディス・ウォートンだったんだよ……!

降り頻る雪の中、小さな一軒家の内側で、
この男が過ごしてきた歳月を思うと、
胸が重苦しく塞がれる気持ちになった。

ラスト一行のうろ覚え英文イメージを偏光訳

  って語り手の神父の気持ちが確かに、
  映像表現主体だから、
  モノローグとしても入れられていなかったけど、
  今思い返すとじわじわ伝わってくるなぁ!

  序盤から印象的なイーサンの歩き方といい、

  その後の不幸に繋がる、
  雪の中のイチャつきじゃれ合いシーンといい、

  決定的なワンカットといい、

  最後の底冷えし尽くす不幸の描写といい、

  タイトルからロマンチックな恋愛映画と思って、
  観に行ったカップルが黙り込み尽くした率は、
  相当に高いと思われる。

  しかしそういった覚悟も頭の片隅に入れて、
  そこを乗り越えてこそだろう。
  人生で一度は観ておいて損はない。


  当時友達もいなければ、
  奨学金で通うような大学生個人で使える、
  ネット環境も無かったので、

  酷評を撒き散らさずに済んだ事は、
  実に幸いだった。

  若いうちから思うさま、
  何でも書き残せてしまう環境が存在しているのも、
  相当に過酷だな。

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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