見出し画像

まず目が大き過ぎて怖い

 『劇場版シティーハンター
    天使の涙(エンジェルダスト)』の、

 感想と言うよりは、
 苦言です。

(文字数:約1600文字)


 少年漫画雑誌など買わせてくれない母親でしたが、
 『少年ジャンプ』は読み終えの週遅れや月遅れ分を、
 姉が友人たちから譲り受けてくれたもので、

 毎週毎週開く度に、
 「カッコイイ」を表現するに当たって、
 これほど説得力のある絵柄があるだろうかと、
 心底惚れ込んで単行本も、
 姉と協力して最終巻まで購入し熟読した。

 それが北条司先生の『シティーハンター』です。

 存在を知った時点でアニメは『3』の最終話でしたが、
 後追いで1、2、3、91を全話視聴し、
 TMネットワークにもどハマりし、

 OAV『愛と復讐のマグナム』の、
 OP曲『週末のソルジャー』に、
 ED曲『十六夜』はもちろん、
 劇中挿入曲のインストゥルメンタル『NINA』まで、
 いまだに時折口ずさむ私だからこそ、

 もちろんパンフレットも購入し、
 北条司先生に神谷明さんへのインタビュー、
 監督にスタッフさんたちの本作に対する意気込みも、
 熟読した上で、

 正直な感想を述べさせてもらいたい。

 何も『シティーハンター』に限らないことだが、
 ある程度実績を築き上げた作品は、
 殿堂入り、という事にして、
 拍手と笑顔で送り出しつつ、
 そっと別れを告げた方が良いのではないだろうか。

 申し訳ない。以下わりと荒っぽい表現も混ぜる。

 おっさんたちが自分らの大好きな世界に、
 しがみついた結果がこのザマだ。
 いいかげんで目を覚まして、
 若者たちにイチから新しい作品を創らせてくれ。

 あるいは開き直って堂々と、
 80年代テイストを押し通すべきだった。
 随所に織り交ぜられる令和的なブラッシュアップが、
 ことごとく癪に障る。

 まず目のサイズが大き過ぎて、
 昭和からのファンには違和感が強い。
 しかしながら令和の現在には、
 このレベルの大きさが必要であろう事は理解する。

 今や両者の世界観など並存し得ない事が、
 明らかに見て取れるでしょうが……!

 もちろん、
 全くのゼロから新しいものなど創れはしない。
 全ての創造は模倣から生み出される。それは事実だ。

 しかしながら一方で、
 どれほど愛着があったとしても、
 既存のキャラクターに設定に世界観を、
 一度すっぱり手放してからでなければ、

 新しいキャラクターに設定に世界観を、
 生み出し切れないのもまた事実なんだ。

 もはや新しい作品など必要ない。
 既存の名作を享受すればそれで良し、
 と考える方であれば構わない。

 もしかして物足りなさを覚えるのであれば、
 ぜひ一考してほしい。

 私が原作の『シティーハンター』を、
 愛してやまなかったのは、
 当時の漫画作品には極めて珍しく、

 1985年の連載開始からずっと、
 登場人物が毎年一歳ずつ年を取り続けていたからだ。

 つまりあの作品は、
 まさしくあの時代を生きていた。
 令和に甦らせ切れたとて、
 それは私にとってAIの美空ひばり。

 技術力の高さには感嘆するが、
 心から嬉しいかと考えれば疑問だ。

 「金を返せ」などという無礼は口にしない。
 つまらなかったわけでは決してない。

 しかし私にはもう要らない。
 今後公開されるだろう続編も観ない事に決めた。

 あくまでも私の情念が濃過ぎるだけだ。
 他人様の好みに、
 世間一般の評判は尊重する。 


以下は余談だが、

 小学生女子だった当時、
 『シティーハンター』を面白いと言ってくれる
 友達など一人もおらず、
 むしろ変態呼ばわりされ気持ち悪がられていた。
 (3歳年上の姉はドンピシャ世代なので無事。)

 当時友達と盛り上がれていたなら、
 劇場版も何はともあれ楽しめていた事は、
 想像に難くないが、

 だからこそあえてこの記事を書いた。
 こうした流れで違和感は圧殺され、
 少数意見は淘汰されていくわけだ。

 おかげで今少数意見を述べている者も、
 軽んじ切れないという前提で私は接する。

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!