建設の頓珍漢郷【毎週ショートショートnote裏お題】
信じ難い話というものは結構各地に転がっているもので。
先祖から受け継いだ土地と母屋を、叔父さんが全面的にリフォームしたというので、改築祝いがてら中を見せて頂いたのだが、
玄関に置き並べられていた、巨大な木造布袋像と恵比寿像の、頭と口の端から血のように赤いシミが浮き出しているという。
叔父の話では徐々に垂れ落ちるように広がっているという。
叔父には婿養子に入った兄がいて、彼の承諾を得ていなかったらしいリフォームは、改築済だというのに揉めに揉めた。婿養子になり姓も変わったはずなのだが、一族で最も出世したものだから権力が強い。
ちょっと知人に口を聞いただけで、車に近所の土地が安く手に入ったりする。
なので当たり前のように二人の息子夫婦それぞれの家を、庭先に建ててくれたりもする。
次男夫婦は有り難く住み続けているが、子に恵まれなかった長男夫婦は他所に移ったとのことで、一族は首を傾げているが、さもありなんだ。気付け。
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良くはないのよ決して。
あと次男夫婦だって心から有難くはあるまい。
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