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奉納の精神

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 鳥肌実さんのネタ中のフレーズ
 「セックスとは、
  奉り納めると書いて、
  奉納の精神!」
 だけは、

 全国民が男女問わず爆笑した後に、
 心に刻んでおいて損は無いと信じています。

(文字数:約3000文字)



前提情報として私の脳内には今人格が3人いるんだが

  10歳女子が海馬の奥へと引きこもって以降、
  私は髪を相当短く切るようになり、
  服も寒色系にモノトーン、
  アイテムも無骨っぽい物ばかりを選ぶようになりました。

  母が選んでくる服に、
  ほんのちょっとでもリボンやらフリルやら、
  クマのアップリケでもついていようものなら、
  不快感は示しましたけど、
  母の機嫌が悪くなるので着ざるを得なかったものの、

  もちろんショートヘアに日頃のイメージがあるので、
  学校では笑われまくるのです。

  更にもっと厄介な難儀が、
  表人格には自覚が無い水面下で進行しており、

  10歳女子が引きこもる以前の、
  地獄の二年間で放棄した感情の固まり、
  名付けてクロコちゃんは、
  爆裂怒涛に女子だったんですね。


♪私の中でお眠りなさい

  リボンにレースにフリル、大好きー。
  ピンク色のお洋服とかっ、
  キラキラのアクセサリーとかっ、
  お母さんの化粧台とかどんだけ眺めても飽きないっ♪

  ふわふわもこもこの犬さん猫さんも大好きだしっ、
  「しょうらいのゆめ」はお嫁さんだもん♪
  大好きなダンナ様に尽くしまくって、
  かわいい赤ちゃんいっしょに育てるんだもんだもん♪


  ……とまぁ真っ正面からの、
  ド定番女子だったんだ。実は。

  しかもこれは決して一般的に言われているような、
  「親や故郷から教えられた女としての幸せを、
   盲目的に信じていた状態」ではない。

  ナチュラルボーンにキラキラ好き可愛い物ずき、
  好きになったら命懸けで、
  大海原のごとく深くて重い愛と真心を捧げます!

  って正直分離後の表人格からは、
  「愛情の化け物」にしか思えねぇ要素も、
  私の本来には充分に備わっていたという事だ。

  そこを「男に生まれるべきだったのに」と、
  見た目を身体つきを酷評され、
  可愛い服にアクセサリーを身につければ、
  両親からも容赦なく「似合わない」と嘲笑われ、

  挙句には誰からも愛されないどころか、
  セックスすらしてもらえないと、
  実の父親から言われるなんてそれ、
  クロコちゃんには死刑宣告!

  悲しみ怒り泣きじゃくりながら、
  この世に生まれた意味も無ければ、
  いまだに生きている価値も無い。
  とっとと死んでこの人生終わらせろ、
  ってか今すぐアタシが殺してやる!

 
  と毎日バンバカ頭殴られぇの首絞められぇの、
  運が良かっただけで3回は死んだりもした、
  その原因が要するには性欲かよ、
  なんて馬鹿にも出来ねぇんだ。これが。


女子の性欲の恐ろしき

  いやらしいだの汚らしいだので、
  制御可能な代物だとでも思ってんのか?
  女子の性欲って奴ぁはっきり言っちまえば、
  
    全身全霊で選び抜いた、
    生涯掛けて愛し抜けると誓い切れる、
    殿方の愛し子を孕みたい!

    (あぁそのお方お一人以外はノーセンキュー。
     指先一本であっても吐き気がするので、
     おしなべて引き下がれ下郎ども!

     みたいな究極的排他性も、
     個人差あるけど人によっては強固に併存♪)

  ……なんだよ。怖ぇだろ。

  事実、
  私として生まれる予定の卵細胞は、
  母の胎内に宿った時どころか、
  祖母の胎内に母が宿った時点ですでに、
  形作られていたんだ。

  生物集団としての遺伝子的かつ、
  数世代にも渡る根源的な本能からの大欲求なんだよ。
  理性ごときに太刀打ちできるわけねぇだろう。


しかし男性の気持ちも察してやれ

  とは言え10歳女子が引きこもった結果、
  中学・高校・大学生活の間は、
  男子どころか女子からも眼中に入れてもらえず、

  プログラマー時代も男ばかりの職場の中で、
  女性として見られない
  (女性として見られたならばそれは
   プロとしてなめられている状態)、

  ……と長く思い込んでいたんだが、

  過去の私に対して、
  また現在「女性と思われてないし」
  なんて思い込んでいる全ての女性に対して、
  警告しておこう。

  純粋に男性しかいない集団の野放図具合は、
  ただ一人でも、
  見た目が女性らしくなくともそれでも、
  女性がいる場合の集団のそれとは、
  比べ物にならない。

  男性側のしんどさもそう甘く見ない方がいい。


珍しい現象だが存在する

  しかし大阪に出てからは有難いことに、
  面白好きな男性もある程度はいてくれて、
  明らかに女性と見て声を掛けてくれる人も、
  まぁ現われ出てくれはしたんだが、

  ここで人格分裂の難儀が結集する。

  長らく表人格は、
  自らを女性だなんて考えていなかったので、
  セックスが出来ねぇ。

  まず事に及ぼうとすると、
  クロコが錯乱の後に大号泣して大抵の野郎はひく。

  そこを乗り越えたとしても、
  下腹部の筋肉全体が、
  配偶者が「岩盤」と評したほどに、
  物理的な障害となって立ち塞がる。

  表人格的には別に構わねぇし、
  特に演技でもないつもりなんだが、
  脳の奥深くの主人格は、
  「自分が好かれるはずがない」と信じ込んで、
  行為に及ぶ意味をさっぱり理解できない様子だ。

  じゃあ配偶者と今どうしてんのかって?

  配偶者ただ一人だけは、
  半年近い試行錯誤を経て、
  乗り越えてくれたんだよ。

  すごい。良い旦那さん。
  じゃねぇんだ。
  一般的なオス感覚で考えたら、
  そんなもんに半年近くも付き合っていられねぇ。

  不幸中の幸いにして、
  錯乱中のクロコに出会わせ切れて、
  怯みはしたものの配偶者は去らず、
  クロコも配偶者を気に入ったもんだから、

  可能な限りのあらゆる事柄は、
  クロコちゃん全力でご奉仕したにゃん♪

  良い食材揃えてハンバーグ作るにゃん♪
  膝枕で耳掻きしてあげるにゃん♪

  ここには書けない事柄だって侮れない大事大事。
  どこまでは大丈夫どこからはごめん吐くといった、
  価値観と可能不可能の見極めに擦り合わせは超重要。


  そこまでの難儀なんか無かったから、
  相手も何のかの言って満足してたんだろう、
  みたいな思い出がある奴は座して並べ。

  そのためになら何度だって繰り返してやるが、
  私は運が良かっただけですでに3回は死んでいるほど、
  人格を破壊されていたんだよ。

  鳥肌実が大好きで、
  冒頭のフレーズを心に大事に刻んでおり、
  「いただきます」に「ごちそうさま」を、
  きちんと言える配偶者だったから、
  今現在何のかの言って暮らし続け切れているわけだ。

  致した直後から相手が冷たくなった、
  なんてのは、
  残念ながらその程度の礼儀すら、
  持ち合わせていなかった可能性が高い。
  首を洗ってお待ち。

以上
ここまでを読んで下さり有難うございます。


何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!