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あまりにもおバカさんシャマラン(映画『ミスター・ガラス』)

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 イライジャ・プライスの場合は、
 あまりにも哀しい。

(文字数:約2000文字)


   『ミスター・ガラス』(原題:Glass)
      2019年 アメリカ
     ジェームズ・マカヴォイ
     ブルース・ウィルス
     サミュエル・L・ジャクソン


かつて酷評した自分が申し訳ない

  かく言う私は、

  『シックス・センス』で度肝を抜かれ、
  その次のM・ナイト・シャマラン監督作品、

    『アンブレイカブル』 2000年
    ブルース・ウィルス
    サミュエル・L・ジャクソン

  を、ほくほく笑顔で観に行って、
  観終わるなり酷評しまくったクチです。

  当時は限界集落育ちの大学生で、
  理解力に乏しかったもので御容赦下さい。

  当時はネットなど、
  私が使える環境にいなくて助かった。

  だから見識がそれほど育っていないうちから、
  無闇野放図に表現の場を与えるのは、
  如何なものかと私は思っているんだが。

  ただし私が本当に嫌う作品は、
  「私の心を一切動かさないもの」であり、

  改めて振り返ると『アンブレイカブル』ほど、
  私の心に鮮明に残り続けた映画は無いんだ。

  サミュエル・L・ジャクソン演じる、
  イライジャ・プライスがラストに言い放つ、
  あのちっともカッコ良くない決め台詞。

  「私はミスター・ガラスと呼ばれたんだ」

  カッコ良くはないが説得力はある!
  確かにそう呼ばれたのだろうと思わせる!
  さすがサミュエル・L!


アホの三つ巴祭り

  それでっ、
  『アンブレイカブル』から19年も経って、
  作られた本作ではっ、

  アンブレイカブルと、
  『スプリット』の「ホード」と、
  ミスター・ガラスが、

  精神病院に集結するって言うじゃないっ。
  彼らの「妄想」を「治療」しようとする、
  精神科医と対峙するって言うじゃないっ。

  やだもうあらすじだけで超面白いっ。
  アホとアホとアホが競合する、
  アホの三つ巴祭り開催じゃないっ!

  一体どんなお話になるのー?

  ってかどんなお話でも作れる一方で、
  そこはシャマラン監督ですもの、
  こんなお話になるに決まってるよな。

  (酷評しているように読めるかもしれませんが、
   大阪は特に河内の人間にとって、
   「アホ」は真剣に誉め言葉、
   「変わっている」は聞かされた当人も、
   喜んでいいほどの賛辞です。本当です。

   だからこそ故郷では酷評された私が、
   配偶者からは気に入られて、
   今のびのびと過ごせていると、
   自信を持って言える。)


アメコミは、アートだ!

  とは言えあれだよ。

  「アメコミは、アートだ!」

  という魂からの名言を放った、
  イライジャ・プライスが、
  本作の主人公なわけだよ。

  それはアメコミ好きによる、
  アメコミ好きのための、
  アメコミの理想を詰め込んだ、
  宝石箱だよ。

  もうストーリーなんかそれでいいよ。

  オーサカ・タワー(作中の名前)を舞台に、
  全世界へと生放送されるカメラの前で、

  善のヒーロー、アンブレイカブルと、
  悪の権化、ザ・ホードが、
  世紀の大決戦だよ?
  見逃せないよね?

  そんで彼らを引き合わせたのが俺、
  大黒幕のミスター・ガラス。

  正直「何じゃそりゃ」なんだが、
  イライジャ・プライスは大真面目だ!
  観ていて泣き笑えるくらいに真剣だ!

  そして何事であっても実際に、
  大真面目にやってる奴は面白い!

  ごめん。
  全部言い切っちゃった。
  後は観て。


2024年現在のロマンの無さ

  正味な話この作品は、
  ギリ2019年くらいに公開されて、
  正解だったと思います。

  2024年の今ではそんなの、
  通用しないよとか思われたところで、

  映画の設定も2019年だからな、で、
  とりあえず納得させ切れる。

  マーヴェル・コミック、
  今じゃ次々映画化されてんだから、
  もうそれでいいじゃん、

  じゃないんだよ。

  現実世界に現れ出てくれる事を、
  夢見て憧れ思い描いてこその、
  真のアメコミマニアなんだよ!

  とか言って私自身は、
  アメコミマニアではないんだが、

  種類が異なるだけでつまりは、
  苦しすぎる現実を、
  乗り越えるための処方箋の一つとして、
  アメコミが取り上げられた事は理解する。

  なんで「ガラス」と呼ばれてたかって、
  ちょっとした事で現実に、
  比喩じゃなく骨が折れるからさ。

  常人には全く理解してもらえない、
  苦痛と孤独だよ。
  この世にヒーローでもいてくれなきゃ、
  やってらんねぇんだよ。

  何かと言うとサムライやニンジャを、
  持ち出すだけならまだしも、

  「昔の人たちは偉かったんだぞ」と、
  若手に講釈を垂れるだけの我々に、

  イライジャ・プライス、
  と言うよりは、

  現実に苦しんできた人たちを、
  笑えるほどの道理など、

  あると思うか?

以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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