今や手に入らない
金銭感覚や価値観にもよるのでオススメなどしないのだが、
「今や手に入らない品々」を手に入れる事にかけては、
異様に長けた夫婦だと自負している。
婚約指輪よりも記念になるし毎日使えるから、
腕時計を買ってあげようと言われ、
時計店を訪ねまくりパンフレットも見比べた末に、
「これだ！」と選び抜いた一本は、
現在生産を終了している。
余談だが腕時計好きみたいな成金趣味の気が知れないと、
フリートークバラエティー等でネタにされているが、
私に言わせれば、
どうして買わずにいられるのかね。
細部に至るまで、
秒針の動きに色合いまで自分の好みに適合した芸術品を、
毎日ネジを回すだけで、
あと10年に一度はオーバーホールが必要だが、
ほぼ確実に一生涯己が身に付けられると言うのに！
無論自分の好みを30そこそこで、
熟知していなければならないがな。
更に言えば新婚旅行として、
トワイライトエクスプレスに乗った。
鉄道マニアにはさぞ羨ましかろう。
今や運行終了だ逆立ちしたとて乗れやしねぇ。
初の大阪出向は寝台特急「さくら」だった私が。
しかしこちらも運行終了である事を思えば感慨深い。
大学時代の学割が効いて格安で行けた、
ヨーロッパ旅行なんかちょうどミレニアムだったからな。
小学生から貯め続けていた金と、
行くと決めてからのバイト代を全て注ぎ込んだが、
1000年に一度しか開かないとされている、
バチカン市国はサンピエトロ大聖堂の、
天国の門を通り抜けたんだぜあたしゃ。
すまん自慢しまくって感じ悪い上に、
価値観の異なる方にはポカンだろう。
配偶者の車もバイクも自転車も、
なぜか買った直後にモデルチェンジする。
機能面で改善されたのかも分からないし、
若い女の子にも買える感じに可愛くなったと宣伝されたが、
配偶者はモデルチェンジ前のデザインこそ、
微妙な曲線の違いだが気に入っていたという事で、
全く問題が無いむしろ買っといて良かったらしい。
総じて「いつか買う」「いつかやる」は存在しない。
欲しい時、やりたい時が最適だ。
その時買える状況にいなければ、
あるいは確実に買えるための行動を何かしら取れなければ、
それは今の自分に必要な品ではないのだと、
潔く諦める。
無理な場合を弁える能力はすごくあるんだ。
本気で欲しい物だけは確実に掴むためにな。
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