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映画『50年目の真実』

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivで公開してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。
 Pixiv初出:2020年3月22日

(文字数:約1300文字)


  『三島由紀夫 vs 東大全共闘
   ー 50年目の真実 ー』
   TBS 108分

  面白いか面白くないかを言えば、
  間違い無く面白いんだが、
  今の私にいるかいらないかを言えば、
  絶対にいらない。

あらすじ:
  「政治の季節」と称された、
  1968年に翌69年。

  東大全共闘は、
  安田講堂を占拠したものの鎮圧された。
  同じ頃三島由紀夫は「楯の会」を創立。
  警察機構が学生暴動を鎮圧し得なかった際に、
  天皇陛下の警護にあたる私軍であると銘打った。

  70年の春、
  三島由紀夫は全共闘からの依頼を受け、
  駒場キャンパスの900番教室で開催された、
  討論会に赴く。

  当時の映像を元に再構成されたドキュメンタリー。
  (正直平野啓一郎氏や内田樹氏へのインタビューが
   適宜挟まれてくれなければ討論内容がほぼ分からん)

ショーです。
プロレス的なエンターテインメントです。

と言うより人によってはお気を悪くされるかもしれないが、
「何いちゃついてんねんコイツら」
とまず思った。

「私は今何を見せ付けられてんねん」
ってくらいに、
女性目線が入る余地などいささかも無い。

あるいは群がってくる学生たちに対して、
「あ~よしよし。よしよし。
 良い子たちだねぇ。可愛いねぇ」と、
満面の笑みであやしてあげている三島由紀夫。

「三島由紀夫 vs 東大全共闘」
と言うのは、
当時の討論会に付けられた、
全共闘側のタイトルであって、

実質対等に闘えていたかと言われたら、
いやだからこれはプロレスなんだよ。うん。
勝ち負けはあったとしても、
問う性質のものじゃない。

当時の空気や意義について、
当時生まれてもいない私はそもそもが懐疑的だ。

都会のカメラが向けられる場所にいた人達は、
自分達の闘いを偉そうに語り、

田舎から眺めていた人達は、
同じ歴史を冷笑気味に語り、

当時を知らないだけの我々世代に対しては、
「気の毒」だの「無気力」だの、
「失われた20年」だの勝手に決めつけてくれていたが、
いや貴方がたが育てた結果でございましょう。
悪いが羨ましくもない。

あと何だ。
目的に応じた言語セットを使わなくてはならないと、
強く感じたな。

知識は得ただけでは偉くない。
知らない人にも分かるように話せてようやく、
少しは役に立つかも知れないものだ。
もっと気楽に考えたい。

「50年目の真実」とやらは、
映画全体のまとめとしてではなく、
討論会の司会者であった木村修氏の発言の中に、
期せずして示されたように思う。

ではどうしていきましょうか、
ってところは、
もはや今の世代でどうにかして行くしかないの。

後進に対してはせめて、
「申し訳ないね」
くらい心の片隅にでも思っといてくれないかな。

それだけでもだいぶ世の中は、
やわらかく見えてくれるはずだが。

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