このお店は、空想の場所かもしれないし、どこかに実在するかもしれない。

お店の名前は、かっぱ食堂。
かっぱの店長がお昼に定食を提供している。定食のメインは日替わり。ごはんは 白米 と 味付き から選べる。小鉢が2つと汁物が付いてくる。
定食屋さんだけど、たまにカレーが出る。カレーはみんな大好きだから、月に2回は入れないと「今月カレーは?!」とお客さんに怒られてしまう。店長は、沖縄そばも出したいと、ひそかに企んでいる。

ティータイムには、季節の果物などを使った気まぐれデザートが存在するらしい。かっぱの店長はコーヒーが好きで、メニューには店長一押しのコーヒーが載っている。

夜になると、のれんが掛け代わり、名前が遊暮堂(ゆうぐれどう)になる。どうやら居酒屋らしい。かっぱの店長は眠りについて、今度はペンギンのマスターがカウンターに立っている。ペンギンのマスターは造り酒屋の生まれで、実家でできた日本酒を薦める。

遊暮堂には、遊んで暮らしたい人が集まってくる。酒の肴に「こんなことがしたいなあ」と話せば、たちまち 「それ、やりましょう」ということになって、それが形になる。かっぱ食堂の営業時間に、製作物として完成したものをみんなに披露したり、イベントが催される。
いろんなことをやりたい人がいて、フォトギャラリーをやったり、作った歌を流したり、お菓子の家を作ったり、沖縄の楽器である三線(さんしん)を弾きながら踊ったり、いろんな楽しいことがある。今日はどんな楽しいことがあるのだろうと、わくわくしながらお客さんがやってくる。

かっぱの店長が住んでいる かっぱのおうち には、広い畑と田んぼがある。店長は時間があれば畑を駆け回り、野菜と戯れている。ひとしきり野菜を愛でたら収穫して、かっぱ食堂でおひるごはんになる。
たまにお客さんや友達を呼んで「遠足」をする。一緒に畑で遊び、採れた野菜をおうちの庭で焼いたり煮たりして食べる。お米の世話をする時期には、田植えや稲刈りを一緒にやることもある。夏になれば流しそうめんをしたり、和服でお祭りをしたりする。冬になれば、かまどで炊いた あったかい豚汁を食べたりする。ピザを石窯で、魚や肉を囲炉裏で焼けば、みんな大喜び。

かっぱのおうちには屋根裏があり、そこでは友達と一緒にひそかに「さくせんかいぎ」がおこなわれる。次はどんな楽しいことをしようかと、企てられているのだ。
「さくせんかいぎ」で話したことは、盛り上がったり盛り上がらなかったりするが、盛り上がればそのまま何かが完成することもある。完成した何かは、時折 かっぱ食堂でお披露目されている。何が完成したのかは、見に来た人にしかわからない。

かっぱ食堂・遊暮堂・かっぱのおうち、すべてをまとめて、かっぱの店長は「ひみつきち」と言い張っているが、ひみつになっていない。むしろたくさんの友達に知れて、遊びに来てくれたらいいなと思っている。

次はどんなことができるのだろう。みんなが楽しいことをいっぱい持ってきてくれるから、かっぱの店長にも何が起きるかわからないし、わくわくしながら明日を待っている。

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