見出し画像

「雨男」amazarashi

昔から歌詞解説みたいなものが好きだった。
でも本人のどういう意思が歌詞になっているかは本人にしかわからないので、あくまで歌詞を見て感じた事を述べていこうと思う。

そして記念すべき1回目は、我が800曲を超えるダウンロード楽曲の中から、生涯1位に君臨するだろうという好きな曲、amazarashiさんの「雨男」だ。
amazarashiさんは、あまり希望を口したような軽い歌詞は書かない。
日本語の羅列なのだが、「今」や「現実」など辛いような内容の歌詞が多く、それが多くの人間の心を射抜いている。
よく、amazarashiさんの歌は人におすすめされて聴くのではなく、自分が絶望している時に出会うものだと多くのコメント欄に載っている。
僕と出身地の近いヴォーカルで作詞作曲を務める秋田ひろむさんの歌詞が酷く胸に刺さり続ける。紹介はこれくらいにして、本題へ行こう。

【優しくされたら胸が震えた それだけの為に死んでもいいや 本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれよ】

本当に絶望した時って、自分がなんの為に生きてるかってわからなくなるんですね。なんの為に今目の前の事を頑張って、どうすれば報われるのか必死にもがくんですよ。虚無で心が満たされて、ただただ毎日寝て起きるだけの日々。そんな時に、ふと優しくされるとこの為に生きているのかもって実感するんですよ。
実際、僕もめちゃくちゃ仕事で失敗を重ねていた時に、毎朝通ってた個人経営の商店があって、タバコと昼食を買ってたんですけど、そこのおばあちゃんがよく賞味期限切れのパンを1個おまけしてくれてたんです。本当に、今僕はこの瞬間のために生きてるんだって実感してました。おばあちゃん、今も元気なのかな。

【上手くいかねえもんなんだな 今日も土砂降り】

amazarashiさんのアーティスト名、人生とは不幸や困難が降り注ぐがそれを雨ざらし状態になってでも前に進んでいかなくてはならない。
これが、この歌詞にもビタっと表れています。
この曲はamazarashiさんの楽曲のランキングの中でも堂々の1位を獲得しています。それはファンが選ぶランキングで、代表曲とはまた違います。アーティストを表す曲として、ファンから根強い人気を誇っているのです。

【久しぶりに電話をかけて来た聡はひどく酔っ払っていた 何も変わらない地元訛り 泣きそうになる会話の端々 馬鹿な世間話をした後に 約束したんだ「行こうぜ飲みに」】

【友達の約束を守らなきゃ それだけが僕の死ねない理由 本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれよ】

すごく自分が追い詰められている時に、ふと友達からの電話で話すと泣きそうに僕もなります。馬鹿な世間話をする所もまたポイントですね。そして飲みに行く事を約束する。こうしてまたひとつ死ねない理由が出来るんです。また希望がひとつ生まれるんです。本当に絶望してる人には、希望なんて早々に出来るものじゃないんです。靴紐解けただけでも死にたくなるし、過去を思い返しただけでも死にたくなる。でも明日も起きなきゃならないんです。聡にそんな気は無くても、生きる理由をひとつ貰えているんです。

【「止まない雨は無い」「明けない夜はない」とか言って明日に希望を託すのはやめた 土砂降りの雨の中 ずぶ濡れで走って行けるか 今日も土砂降り】

明日に希望を託すアーティストは多いと思います、そういった歌詞も。いつか経験になるからね、いつか報われるからね。それは、いつ?
運の総量が一緒って言う人いますよね、今不幸な事があってもいつか良いことがその分あるよって言う人。あれ違うと思うんです。運悪い人はずっと悪いし、良い人はずっと良い。なんでかって、心が晴れてないんだから、そう思うに決まってます。要は捉え方です。だから聞き手を否定しない為にもあれは違うと言い続けます。絶望してる人はいつでも思うんです、抜け出したいって、報われたいって、生きたいって。でも上手くいかないんです。そういう人達っていっぱいいるんです。僕は今はそうは思いませんが、こういう時期を多く経験した来たのであえて言います。待つしかないと。貴方の心が晴れる瞬間を待つしかないと。もう既に、僕もこの歌詞とは真逆の事を言っていますね。でもとても深く理解しているつもりです。あなた達の事も。この歌詞も。不幸は降り注ぐが、ずぶ濡れで走っていくんです。

【そういやいつかもこんな雨だった
そういやいつかもこんな雨だった
そういやいつかもこんな雨だった】

結局、繰り返してるんです。幼い頃にいじめられた事も、大会に敗れた事も、恵まれない家庭環境に産まれたことも。全て、雨に晒されたから、今の自分がいるんです。経験なんて華やかな言葉で片付けはしません。あなた方ずぶ濡れになった分だけ、傘もささずに雨に晒された分だけ、繰り返して今の自分に至るんです。その雨の日に、道路に身を投げ出していたら今の自分にはなれていなんです。これからも、雨の日は続きます。聡や、優しくしてくれる人に出会えるかも分かりません。手探りで今を、生きていくんです。希望なんて早々に見つかるものではありません。生きる理由なんて求めてはいけません。ただ、生きて良いんです。もしかしたら希望に出会えるかも知れません、出会えないかも知れません。でも生きて良いんです。少なくとも、道路に身を投げ出していたら、希望に出会う確率はゼロになります。絶対に希望と出会える保証は無いにせよ、1%以上でもあれば最高です。いてくれるだけで、誰かの希望に既になっているかもしれません。聡のように。あなたが思っていなくても。そんな永遠に梅雨が明けるかわからないこの世界で、もう少し雨に濡れて二本足で立ってみませんか。四つん這いでも大丈夫です。傘なんていりません。あなたは強いから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?