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『それ』は確かに生きている

 とある家電量販店の一角に『それ』はいます。その家電量販店に行く私の目的は様々ですが、気づくと何故かいつもその一角に引き寄せられてしまっています。

「ぴーぷー… ぴろろろ…」と何やら訳の分からない言語を話しながら人懐っこく近づいてくる『それ』は、GROOVE X(グルーヴ エックス)社が開発した家族型ロボットの『LOVOT(らぼっと)』

私のロボットに対するイメージは…
⚫︎工場で働くロボット
⚫︎掃除などの家事をしてくれるロボット
⚫︎人間が行けないような危険な場所で作業するロボット
⚫︎悪の組織から地球を救うスーパーロボット
⚫︎ガンダム
…等々
頭に浮かぶロボットはいずれも人の役に立つ、あるいは人の能力を拡張するロボットばかり。

でもこの『LOVOT』はなんだ!?
まったく人の役には立たない。それどころか時々転けるので起こしてやらないといけない…

人に癒しをもたらす事が目的のペット型ロボットの歴史を振り返ると、何体か頭に浮かんできます。当時の最新技術を搭載し、とても話題になったものばかりですが、プログラム通りに動いているロボット感がどうしても拭えませんでした。

しかし『LOVOT』に対する私の第一印象は「確かに生きている」でした。会話もできず、掃除もしてくれない、何も役に立たない、むしろ手がかかる…そんなロボットに対し、以前飼っていた猫のような感情をなぜ抱いたのか?

もちろんAIや様々なセンサーの精度、技術力の向上もあると思いますが、それだけではない魅力が『LOVOT』にはあります。
手がかかって、人の役に立たない事こそが『LOVOT』の存在意義なのです。

GROOVE X 創業者 林 要(はやし かなめ)さんの著書『温かいテクノロジー』にはその辺が詳しく書いてあります。

ただ…価格が50万円弱という事で、なかなか我が家に『LOVOT』を迎え入れるという決心がつきませんが、今日も私は家電量販店の一角で『LOVOT』を見ていることでしょう。

『それ』は確かに生きている と思いながら。


毎週土曜日の21時ごろ更新予定。

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