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第203国会 衆議院厚生労働委員会  議事録抜粋(ADE関連1)参考人質疑   令和2年11月17日を接種判断材料に

国会会議録検索システムを使った議事録のテキストデータです。今さらながらですが、ADE(ワクチンの抗体依存性疾患増強)に関する議論を読んでみて、ワクチン法案の政策決定のプロセスが何となく判りました。抜粋ですので、さらに興味のある方は上記のリンクで検索して全文をお読みください。参考人水口弁護士のお話等、ワクチンに関する情報満載です。ワクチン接種の判断にお役立ていただければ幸いです。途中太字は筆者によるものです。

令和二年十一月十七日(火曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 とかしきなおみ君
   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君
   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君
   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君
   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君
      青山 周平君    安藤 高夫君
      上杉謙太郎君    上野 宏史君
      大串 正樹君    大隈 和英君
      木村 次郎君    木村 哲也君
      木村 弥生君    小島 敏文君
      後藤田正純君    高村 正大君
      佐藤 明男君    塩崎 恭久君
      繁本  護君    白須賀貴樹君
      田畑 裕明君    百武 公親君
      村井 英樹君    山田 美樹君
      渡辺 孝一君    阿部 知子君
      稲富 修二君    尾辻かな子君
      大島  敦君    川内 博史君
      白石 洋一君    西村智奈美君
      長谷川嘉一君    山川百合子君
      山井 和則君    高木美智代君
      桝屋 敬悟君    宮本  徹君
      青山 雅幸君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君
   参考人
   (川崎市健康安全研究所所長)           岡部 信彦君
   参考人
   (大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)           宮坂 昌之君
   参考人
   (公益社団法人日本医師会常任理事)        釜萢  敏君
   参考人
   (薬害オンブズパースン会議事務局長)
   (弁護士)        水口真寿美君
   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十七日
 辞任         補欠選任
  国光あやの君     上杉謙太郎君
  山川百合子君     長谷川嘉一君
同日
 辞任         補欠選任
  上杉謙太郎君     国光あやの君
  長谷川嘉一君     山川百合子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
     ――――◇―――――
○とかしき委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、川崎市健康安全研究所所長岡部信彦君、大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授宮坂昌之君、公益社団法人日本医師会常任理事釜萢敏君、薬害オンブズパースン会議事務局長・弁護士水口真寿美さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ二十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 それでは、岡部参考人にお願いいたします。s

最初の部分 割愛しました。(筆者)

○とかしき委員長 ありがとうございました。
 次に、水口参考人にお願いいたします。
○水口参考人 薬害オンブズパースン会議の事務局長をしております弁護士の水口と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、薬害オンブズパースン会議というのは、一九九七年、その前年に薬害エイズの和解が成立したわけですけれども、その教訓をもとに発足した、薬害防止を目的とする民間の医薬品の監視組織です。弁護士、薬剤師、それから研究者、薬害被害者の皆さんなど、多様な立場の方が集まって、薬害防止のための活動を行っております。
 新型コロナウイルスのワクチンの問題につきましては、本年の十月六日に今お手元の資料の三ページ以下にございます意見書を公表しております。本日は、この意見書を踏まえ、改正法案についての意見を述べさせていただきたいと思っております。
 まず、結論的なことを申し上げますと、今回の改正法案についてなんですが、検疫法の期間延長の点については適切だと思っております。一方、予防接種法の改正については、接種勧奨と努力義務の設定、それから損失補償契約に関する規定に問題があるのではないかと考えております。また、法の適用との関係では、承認審査や情報の提供のあり方について課題があると考えております。
 以下、少し詳しく述べさせていただきます。
 まず指摘させていただきたいのは、医薬品の安全性確保の重要性です。医薬品は、言うまでもなく人類の健康を守る上で大きな役割を果たしてきましたけれども、その一方で、時に重篤な副作用も生じさせております。
 ワクチンに関して社会問題化した例もありまして、その中には、予防接種禍訴訟、これは先ほど来から出ている予防接種法の改正の契機となったわけですけれども、こうした訴訟やMMR訴訟など、大規模な訴訟に発展して国の責任が認められた例もあります。
 私は職業柄これまで医薬品の副作用の被害者に多く接してまいりましたけれども、医薬品の副作用被害というのは、疾病で苦しむ方々の苦しみとはまた異なった側面があると思います。それは、もちろん御本人の身体的な苦痛というのもあるんですけれども、やはりそこには、治療薬やワクチンを勧めた御家族とか、そういう関係もあるわけですね。ですので、そういった方々の苦しみも生まれるということです。
 また、中には副反応や副作用との因果関係が明らかになるまで時間がかかって、そのために適切な治療が受けられないという事態が起きることもあるわけです。
 一方、医薬品の副作用については事後の救済の制度がありますけれども、事後的に救済を受けたとて失われた人生や時間が戻るものではなく、また救済申請に医師の協力が思うように得られないケースや、あるいは判定不能、情報不足などによって不支給ということになるケースも少なくありません。
 新型コロナウイルス感染症の感染の広がりに伴いましてワクチンへの期待が非常に高まっておりますけれども、国民が求めるのはあくまでも有効で安全なワクチンであるということは疑いがないと思います。したがって、やはり、国が承認審査においてその有効性と安全性を十分に審査した後に市場に出すという、このことがまずもって重要なことであるということを指摘させていただきたいと思います。
 そこで、新型コロナウイルスワクチンの承認審査と安全確保のあり方なんですけれども、まず、ワクチンというのは、先ほど来から御指摘がありましたように、健康な方が接種するものですから、一般の治療薬に比べて、より一層高い安全性と有効性が必要であると考えられます。
 この点、新型コロナウイルスのワクチンについてはまだわからないことがたくさんあるわけですけれども、しかし、このウイルス自体がRNAウイルスで非常に変異しやすいと指摘されていることや、再感染の報告があるということなどから、ワクチンができてもその効果の持続期間が限定的になる可能性があるのではないかという指摘がなされています。もし有効性に限界のあるワクチンによって深刻な健康被害を引き起こすようなことになった場合、それはワクチン全体の信頼を揺るがす結果となりかねません。そういう事態はぜひとも避けたいと考えております。
 特に、ワクチンの副作用との関係で注意を喚起したいと思っておりますのは、自己免疫性の副作用なんですね。ワクチンがギラン・バレー症候群とかADEM、急性散在性脳脊髄炎と言われるんですが、こういった自己免疫性の疾患を発症させるということはよく知られたところで、厚生労働省の重篤副作用マニュアルにも記載されています。二〇〇五年には、この急性散在性脳脊髄炎の発症を理由に、当時の日本脳炎ワクチンの積極的な勧奨が差し控えられたという経過もありました。
 この自己免疫性の副作用というのは、要するに、ワクチンの接種によって人体の免疫機能に異常が生じて、ワクチンによって生じた本来は体を守るべき抗体などがいわば自分を攻撃してしまうような事態になるということで、症状も非常に複雑ですし、治療も困難な例が少なくありません。また、症状が接種してすぐにあらわれるとは限らない。こういったことも起きる可能性があるということは十分に配慮する必要があると思います。
 政府が供給の合意をしたと報じられていますアストラゼネカ社のワクチンですけれども、ことしの九月、開発中に重大な有害事象が生じたということで臨床試験を一時中止しておりますが、これは横断性の脊髄炎であるというふうに報じられておりまして、これも今申し上げた自己免疫性の疾患の一つであります。この点も十分に考慮に入れて審査をしてほしいと考えております。
 また、政府が供給合意したワクチンは、いずれも、ウイルスの遺伝情報を接種するという、これまでにない新しいタイプのワクチンであります。承認前の情報は大変そのため限られております。新しい機序のワクチンから新しいタイプの副作用が生じるという可能性も否定できないわけですね。
 そして、申し上げたいのは、仮に新しいタイプの副作用が生じたときに、市販後のワクチンの安全監視のシステムというのは必ずしも十分に機能しないことがあるということです。
 現在のワクチンの安全性の監視システムは、データベースを用いて統計的な手法で行われていますが、その仕組みから、副作用症状の定義について臨床上の一定のコンセンサスが形成されるに至っていないに等しい、そういう副作用に対しては十分に機能しない可能性があります。このことは、ワクチンの安全性のモニタリングをしている、ウプサラにそういうWHOの部署があるんですが、そこの専門家からも指摘されているところなんですね。
 また、厚生労働省では、ワクチンの安全性について、副反応部会や安全対策調査会という審議会を設けまして、ここで協議をして、PMDAがまず監視をして、それを協議するわけですけれども、基本的には自発報告をもとにしたものなんですね。したがって限界があります。
 自発報告というのは、その因果関係が否定できないというふうに判断された場合に、企業を経由し、あるいは直接に医師がPMDAに報告を上げるというものなんですけれども、一般にこの報告は氷山の一角であるというふうに指摘されています。特に新しいタイプの副作用が起きた場合には、患者も医師もそれがワクチンによるものだということについて十分に認識できないということが起こり得るわけで、そしてまた現在は報告された有害事象について追跡する十分なシステムもできておりません。

 このように、ワクチンの副反応というものに対して私たちは非常に謙虚にならなければいけない。いろいろなことが起こり得る、解明されていないことはあるし、現在の安全監視のシステムの限界もあるんだということを考慮に入れる必要があります。だからこそ、承認審査において十分に吟味してほしいと考える次第です。
 なお、海外で薬事承認を得た医薬品について、日本での承認審査を経ずに承認を与える特例承認という制度がございます。これは、ワクチンには適用するべきではないと考えております。それは、やはり、免疫に作用するワクチンというのは、免疫自体人種差が大きいというふうに言われておりますけれども、そういったものについてこれを適用するというのは、安全性確保や有効性の確認の点において非常に問題があるというふうに考えております。
 この特例承認については、新型コロナウイルス感染症の治療薬のレムデシビルについて最近一度適用されていることは御存じだと思いますが、このレムデシビルは、特例承認を適用した段階では、EUAという、アメリカの未承認の薬で緊急的な使用を認める、そういうもとでの認可だったわけですね。正式な薬事承認ではなかったわけです。それを日本は正式に特例承認制度のもとで薬事承認をした結果、私の認識に間違いがなければ、結局、日本はレムデシビルを世界で一番最初に正式承認した国になったということです。
 その後、レムデシビルは米国でも薬事承認されるに至っていますけれども、この特例承認制度というのは、いろいろな緊急の場合に、海外でしっかり有効性と安全性を確認されて承認されているということを前提にした制度です。
 ですので、先ほど申し上げましたように、正式に承認されたものであっても、ワクチンについて、人種差のことを考えたら特例承認を適用することは適切でないと思いますし、ましてやそれが海外での正式の薬事承認でないということであれば、なおさら適用するべきではないということを申し上げておきたいと思います。
 さて、以上、ちょっと審査に関して申し上げてまいりましたけれども、この審査をきちっと通って、有効性と安全性がしっかり確認されて市場に出るという場合に、それでは、接種を勧奨し努力義務を課すというのがこの新型コロナウイルスのワクチンについて適切なのか、そういう論点に移りたいと思います。まさにこれが今回の法案の問題点です。
 先ほど来から御紹介がありましたように、予防接種禍訴訟の教訓を踏まえて、一九九四年から、予防接種法のもとでは、それまでの接種の強制、接種義務というのはなくなりまして、現在可能であるのは、接種の勧奨と、そして国民に接種の努力義務を課すということです。
 しかし、やはりそれは、いかに努力義務といっても、政府が勧めて、そして国民に努力の義務を課すわけです。それをすれば、やはり国民は、ああ、国が勧めているんだということで信頼してそれを接種するわけですね。日本の定期接種の接種率は非常に高い状況にあります、全般に。
 ですので、国は勧める以上は、それは勧奨だ、努力義務だといっても、やはり十分に責任を持った対応が必要で、国が勧めるためには、私は、公衆衛生上の必要性と、それから先ほどワクチンは治療薬よりも高い有効性と安全性が必要だと申し上げましたけれども、更に接種勧奨するにはより高い有効性と安全性が求められると考えております。
 では、新型コロナウイルスワクチンが、このより高い有効性、より一層高い有効性と安全性、国が打ってくださいとお勧めするだけの要件を満たすのかどうか。この点は、現段階ではやはり明らかにはなっていない、それを満たすとは言える状況ではないのではないかと思います。
 今後いろいろ研究が進んだとしましても、この新型ウイルスの感染症自体が、先ほど来から御指摘がありますように、まだその対象の感染症自体が歴史が浅くて、わかっていることは非常に少ないわけです。そういう意味では、免疫に作用するワクチンについて、どんなに努力をしても未知の部分が残るということは避けがたいのではないかと思います。また、技術が進歩したといっても、本来は十年とかそのぐらいかかってきたものが非常に速いスピードで開発され、審査される。そういうことがワクチンの安全性と有効性に影響を与える可能性がないのかということであります。
 ことしの十一月の十日、厚生科学審議会予防接種基本方針部会で、国立病院機構本部総合研究センター長である伊藤委員が、医療関係の人ほど本当に大丈夫なのかという不安があり、積極的に打ちたい人はそれほど多くないと発言したということが報じられています。
 実は、私の周りにもそういう医療従事者は少なくないわけです。わかっている人ほど大丈夫なのかと思う、そういう状態にあるワクチンについて、接種を勧奨したり、接種義務、努力義務を設定するということが適切なのか。私は適切ではないのではないかと思います。
 改正法では、臨時の予防接種の特例という位置づけで今回提案されています。臨時の予防接種というのは、要件が感染症の蔓延の予防の必要があると認めるときということになっておりまして、これはやはり、制度の成り立ちとしては集団予防に重点を置いた制度なんですね。それを前提に、臨時の接種というのは接種勧奨と努力義務を規定しているわけです。
 ところが、新型コロナウイルスのワクチンというのは、現時点で、集団予防の効果がどのぐらいあるのか、それすらよくわかっていないということになります。そうすると、先ほど申し上げた、より高い有効性と安全性がはっきりしていないじゃないかということと、この集団予防、法のたてつけとの関係からいって、やはり、国が接種を勧奨し、接種義務を課すのは適当ではないということにならざるを得ないわけです。
 では、無償とか厚い救済というのはどうなるのか。国が勧奨して努力義務を課すから、無償としたり救済を厚くすることが説明しやすいのだというのは確かにあるかもしれません。しかし、ワクチンは公衆衛生と深くかかわる医薬品ですので、感染症の拡大を前に、接種や努力義務を設定しない、だけれども、無償にする、そして救済も厚くする。そこを切り離して考えて、そういう設定にすることだってできるのではないかと思います。
 現在提案されている改正法案は、臨時接種の特例と位置づけて、まず国民全体に接種義務をかけてしまう、その後対象を指定して解除していく、そういうたてつけになっているんですが、やはり、まず全体、国民に接種の努力義務の網をかけるということがいいのかどうか。それはやはり非常にリスクが高いし、科学的な根拠との関係で避けるべきことではないかというふうに思います。
 先ほど来から臨床試験でわかることは限られているというお話がありましたけれども、ワクチンは、やはり、まず任意で接種して、それから様子を見て定期接種にするというのが王道だったわけです。ですので、新しいタイプでよくわからないことがたくさんあるワクチンを、承認してすぐに全国民に接種を勧めるというやり方というのは危険なのではないかと考えております。
 方法としては、附則の四項において、予防接種法の八条と九条は適用しないと明記するなどして義務を外すということを考えるべきだと思います。
 それから、情報提供の関係ですけれども、これはやはり、自己決定を十分に保障するための十分な情報提供、これが必要だと思います。ワクチンへの期待がバイアスを生むんだということも十分に考慮を入れる必要があると思います。
 特に、接種をしないという選択をした方に不利益が及ばないようにする。これは非常に大変なことで、仮に努力義務が設定されるとすると、それは非常に難しいことになるのではないかというふうに思います。
 高い順位を与えられている人が接種をしなければ、医療や福祉の現場で働く人が接種をしなければ業務に従事できないような立場に置かれる、そういう風潮が起きることを大変危惧いたします。
 審議会で、先ほど、医師はそれほど打ちたいと思ってはいないんじゃないかという御指摘がありましたけれども、ある意味、医師は自分が打たない理由を説明できる人たちです。でも、そういう人たちばかりではないんですね。
 例えば、中小の企業などで、小さなコミュニティーの中で、会社がみんな打ちましょうという方向性を出したときに本当にそれを拒否することができるのか、それは非常に難しい問題なのではないかと思います。ということで、この点も十分な配慮が、小さいコミュニティーの中で弱い立場にいる方たちの自己決定権をどう守るのか、これは本当に真剣に考える必要があると思います。
 それから、損失補償契約、最後に申し上げますと、これは既にこの厚生労働委員会でも議論されていると思いますけれども、公共政策としての正当性にかかわる問題なので、やはり十分な説明が必要だと思います。
 国会の承認が要らない理由、時限立法でない理由、そこのところは私にはよくわかりません。この点については、やはり、更に十分な吟味をして、情報開示と説明責任が可能な限り果たされるような仕組みをつくっていくということが必要なのではないかと思います。

 以上で、私が述べたいことは一通り終わりました。ありがとうございました。(拍手)
○とかしき委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○とかしき委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊佐進一君。
○伊佐委員 公明党の伊佐進一です。
 本日、参考人の皆様には、お忙しい中でこうして委員会に足を運んでいただきまして、それぞれのお立場から有益なお話をいただきまして、本当にありがとうございます。
 総じて、私、伺っておりまして、皆さんがやはり強調されるのは、どの参考人もおっしゃっていたのは、ワクチンというのは信頼が大事だ、信頼性が大事だという話だったと思います。
 そこで、私の方から、きょう、まず安全性について、有効性について、そして接種体制についてという観点でそれぞれ質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず安全性ですが、宮坂参考人から非常に極めて論理的でわかりやすいお話をいただきました。この観点で、少しちょっと岡部参考人にもぜひ意見を聞きたいと思います。
 というのは、この第三相試験というのは日本でやっていない。日本で第一相、第二相はやりました、ところが第三相はなかなか日本でやるのは難しいというお話だったと思います。その理由は、宮坂参考人がおっしゃっていただいたとおり、感染の規模というものがそもそも千人に数人、こういう少なさだからなかなか難しいんだというお話だったと思います。
 そこで、宮坂参考人がおっしゃっていたのは、時間がかかっても、亀の速度でも安全なワクチンというのがあるのではないかということですが、少しちょっと、私、もし日本がこの感染者数のまま推移をして、つまり、どこかで今以上に爆発的にふえるのではなくて、ずっとこの千人に数人というのが続くのであれば、いつまでたっても、実は、この根本的に日本では第三相ができない原因というのは変わらないわけです。だから、亀ですら最後ゴールできないという状況なんじゃないかと思っておりまして、そういう意味では、どこかの段階、今の与えられた条件の中で、状況の中で最善の決断をするしかないんじゃないかというふうにも思っておりますが、まずその点について岡部参考人に伺いたいと思います。
○岡部参考人 御質問ありがとうございます。
 やはりその判断は難しいところだと思うんですけれども、基本的には、私は、三相試験は必要だというふうには思っています。
 ただし、その三相試験を飛ばさなくちゃいけない条件というのは、感染者数だけではなく、重症度も十分に勘案しなくてはいけなくて、例えば、一万人の患者さんが出たとしても、その致死率が一%もいかないというような状態でしたならば、これは慎重にやる必要もあると思うんですけれども、その場合に、例えば致死率が一〇%ぐらいになるんだというふうにすれば、海外のデータを参考にして緊急にやる必要はあるというふうにも思います。
 ただし、海外における承認も、やはりちゃんと公開になっていて、先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、それが十分に議論されて、あるいは十分なデータに基づいてやっている承認であるということであれば緊急性の方が優先すると思うので、一律には言えないと思うんですけれども、基本線からいえば、ルールどおりの三相試験は必要だと思います。
 ただし、人数を例えば少し制限をするとか、このぐらい時間がかかるものをもっと短く、議論するんだというようなことも含めて、総合的に議論が必要だというふうに思います。
 以上です。
○伊佐委員 今の話も含めて、今度はまた宮坂参考人にお伺いしたいと思います。というのは、その点と、あとちょっと、今回委員会でも議論になったのは、例えば第三相試験をしているのがアストラゼネカであれば十八歳以上、ファイザーであれば十二歳以上、モデルナであれば十八歳以上。当然妊婦は除外されている中で、今第三相試験をやっている。
 そうすると、このワクチンを、例えば十八歳以下、十二歳以下が全く打ったことがない中で、打って大丈夫なのかという安全性の議論もあって、それは、さっきの今までの議論の、日本人は第三相をしていないけれども大丈夫なのかというところともしかすると相通じるところがあるのかもしれませんが、ただ一方で、子供は重症化していないというような、極めてまれだというこのリスクの比較という点も含めて、宮坂参考人に御意見を伺いたいと思います。
○宮坂参考人 まず最初に、第三相試験に関しましては、岡部先生と私は意見を同じくいたします。
 すなわち、日本でもそれはやった方がいい。ただし、十分な数がそろわない可能性というのは十分にあります。したがって、時期、時間を決めて、できるだけ目標の人数を決めて、やることはやはりきちんとやらないといけないと思います。今後、例えばどこかで感染のアウトブレークが起こらないとも限りません。ですから、これはやることをやはり原則とした方がよいと思います。
 問題は、年齢の低い層、これまで行われている臨床試験も年齢の低い層は対象に入っていないわけですけれども、それは、これまでの第三相試験というのが、健康な若い人たちに対して健康被害がどれだけ出るかということを知ることを目標としていたために、若い世代は入っていなかったわけですけれども、じゃ、今先生がおっしゃったように、そもそも重症化率が低くて死亡の率が低い若い層にワクチンをどうするのか、ここはもう非常に大事な問題だろうと思います。
 先ほど私が申し上げたように、日本における感染リスクを考えますと、ワクチンを打たなければいけない方々は恐らく高齢者が先であって、若年層はもっとずっと下になるであろう。そういうことから考えますと、私は、若年層に関しては、一定の期間を置いてから考えるということでいいのではないかと思っております。
 以上です。
○とかしき委員長 次に、青山雅幸君。
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
 きょうは大変参考になる知見を御教示いただきまして、大変ありがとうございました。
 時間がございませんので、早速質問させてください。
 まず、先ほど宮坂先生がおっしゃっていた悪玉抗体、ADE、抗体依存性増強にかかわる話だと思いますけれども、そこをちょっといろいろ調べますと、SARS、MERSでは、やはりワクチンが開発されましたけれども、この抗体依存性増強の問題点があって実用化されなかったというふうにも聞いております。
 今治験が進んでおりますけれども、気になるのは、やはりそこの部分、いろいろな学説はありますけれども、例えば欧米で、先ほども少しおっしゃったような気もしますけれども、抗体依存性増強のせいで重症化率が高いんじゃないかというようなお話もございます。
 現在の第三相の規模の人数でこのADEが起きるか起きないか、これは十分とお考えかどうか、日本における心配等について、宮坂先生と岡部先生にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○宮坂参考人 ADEという現象、すなわち、ウイルス感染によって起きた抗体が感染自体を悪化させてしまうという状態。これは、コロナウイルスでは、新型コロナ以外の例えば先生がおっしゃったSARS、MERSでも、そういう事例がワクチンの開発段階で動物で見られたということもありますし、猫のコロナウイルスでもADEが見られたという報告があります。
 したがって、人間でもそういうことが起きたら困るなというのも我々は心配なんですけれども、残念ながら、それがどのぐらいの頻度で起こるかということに関しては全くわかっていません。もしもこれが例えば一万回に一回ぐらいだとすると、数千人単位で行う第三相試験では結果が出てこないということになりますし、それから、大事なことは、このADEというのは、感染したときに初めて、ワクチン接種者が感染を受けたときに悪くなるかということですから、もしもこれが数千分の一だったら、感染者が数万人出ないとわからないということになるわけです。ですから、それはもう、普通の第三相試験の中では答えは出てこないと思います。
 もう一つの心配は、ワクチン接種者が悪くなるだけじゃなくて、既に抗体を持っている人、実は前に知らない間に感染していた、こういう人が、万が一、ワクチン接種を受けたときにどうなるのか。これは今わかっていないんです。なぜかといいますと、現在、治験に入る、臨床試験に入る人は全部陰性、ウイルス陰性の人がワクチンを受けますので、抗体陽性、すなわち既に感染をした人がワクチン接種を受けたときにどういう状態になるのかというのは全くデータがありません。
それは、だから、臨床試験を幾らやっても、今の段階では、感染者は除外していますから、わからないということになります。
 以上です。
○岡部参考人 御質問ありがとうございます。
 残念ながら、医学の世界では本当に不測の事態というようなこともあり得るので、それに対する、逆に言えば備え、そうなったときにいかに早く見つけるか、あるいはその患者さんをリリーフ、救うことができるかどうかということを考えていかなくちゃいけないんですけれども、不測の事態を全て考えてストップをしてしまうと、今度は逆に病気の方を救うことができない、予防することができない。常にそのジレンマを考えながらやるわけですけれども、どっちが必要かという、そこの議論が必要なことだと思うんです。
 ただ、ADEでいえば、明らかに、自然感染の場合に、ADE、免疫がある人が感染をすると悪くなるというのはデング熱という病気で、これは熱帯地方ではもう日常、それこそインフルエンザのようにたくさんある病気なので、そういう現象が理解されているわけです。しかし、それがワクチンで本当に起きるかどうか。これについては、ちょっとメカニズムは違うんですけれども、子供さんの病気でRSウイルス感染症というのがあって、このワクチンの開発の歴史は、最初にいいワクチンだと思ってつくられたワクチンを接種すると、これは生ワクチンだったんですけれども、逆に接種した子が重症になる、ワクチンのあること自体が問題になるということが後からわかって、開発の方針を変えたといったようなこともあります。
 SARS、MERSでいえば、特にSARSは、病原体が消えうせてしまって、病気もないので、自然界でどういうことが起こるかというのはわからないので、先ほどの動物モデルで判断するしかないわけです。
 私は説明のところでも申し上げましたけれども、ワクチンというのは、やはり、免疫機構をいじくって人間が有利なように働かせるツールではあるんですけれども、免疫機構がわかっていないものについて使うときは、そういう不測の事態も起こり得るんだということを頭の中に入れながら、これは安全だ、安全だ、大丈夫だということではないということは非常に重要じゃないかと思います。ですから、何か一例、不測の事態が起きたときに、物すごい勢いでこれは大変だということじゃなくて、そういうものをきちんと冷静に捉えて判断をしていくという方向性も必要だというふうに思います。
 以上です。
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 そうしますと、お二方の御意見をお伺いする限り、やはりADEに対する懸念、心配というのはこれは当然あると。そして、現在の臨床試験、第三相試験の人数などによると、まだそれが起こるかどうかもわからないし、当然大規模に接種すれば起きてくる可能性はある、そういうことだと思うんです。
 私は、このワクチン、今、岡部先生もおっしゃったように、ベネフィットがあれば、もちろんそういった不測の事態もあるけれども、チャレンジしていくというのはそれはいいと思うんですけれども、このコロナの特徴というのは、世代によってそのリスクの度合いが全く違うというのが非常に大きな特徴だと思っています。
 厚労省がなかなかきちんとデータをわかりやすく出してくれていないものですから、うちの方で聞いて調べたんですけれども、まず、これは皆さん御承知のとおりで、二十代未満の死亡者は日本においてはゼロですね、これは春先から。重症者も数がわからなかったものですから、お聞きして調べたところ、六月の三日からのデータしかないようですけれども、十代未満で一人だけ、十代では一人もいないと。つまり、二十代未満では重症化のリスクも極めてゼロに近い。
 そう考えると、私、これはベネフィットとして考えて、二十代未満にこのワクチンを打つベネフィットはあるのかどうか。そうすると、当然ながら、やはり二十代未満は少し控えておいて、十分に検討されてからの方がいいと思うんですけれども、これについても宮坂先生、岡部先生の御意見をお伺いしたいと思います。
○宮坂参考人 既に申し上げましたけれども、私は、二十代以下、若年者に対するワクチン接種というのは、今すぐ急ぐ必要はないというふうに考えております。
○岡部参考人 私も途中で申し上げましたように、対象をはっきり、明確にしておくということはそういう意味であって、特に小児あるいは二十歳未満ということでいえば、感染者はいないわけではないんですけれども重症化は非常に少ないということであれば、仮に副反応が少し出てきた場合のことを考えれば、今すぐ対象にはならないと思います。
 ただ、疫学的に本当に小児に少ないかどうかというのはこれからの流行の度合いによっても違ってくるので、そこは、大丈夫だ、大丈夫だといって何もしないのではなくて、きちんと疫学状況を見ていく必要はあるというふうに思います。
 それから、治験の段階でも、小児について、妊婦という話もありましたけれども、小児、妊婦というのは治験の対象になっていませんので。それがなっていないのに、これを接種対象にすぐ入れるということは、これは必要ないのではなくてやらない方がいいと思います。
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 今、岡部先生、お話ありました妊婦の話です。
 先日の厚労委員会で、十八歳未満の第三相試験、海外で行われている状況をお聞きしまして、きょうもお話で出ましたけれども、アストラゼネカとモデルナはたしか十八歳未満はやっていないので、もうそもそも承認の対象となり得ないのではないかというお話がございました。ファイザーは十二歳以上があるものですから、そこの部分、私、危惧はしておりますけれども、十二歳から十八歳が入ってくる可能性がある。そして妊婦。今、岡部先生がおっしゃったとおり、やっていないんだけれども、これは注意書きという形で一応対象にはなるというふうに大臣の方で補足して答弁されたんですね。
 今、岡部先生の方は、打つべきではないというような御意見を御開示いただきました。宮坂先生、そこの辺、どういうふうにお考えでしょうか。今、妊婦について御意見をお聞かせください。
○宮坂参考人 今まで申し上げたとおりで、特にそこに足すことはございません。岡部先生がおっしゃったとおりで、私も同じ意見であります。
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 そうしますと、両参考人とも、妊婦それから未成年者については非常に慎重にあるべきだという御意見だというふうに伺っていますが。
○岡部参考人 私が申し上げたのは、禁忌という意味ではないんですね。やはり、妊婦さんは、年齢にかかわらず、幅が広い年齢層ですから、そこでもしリスクであるということが考えられるならば、逆にこれは、希望があればできる余地は残しておいていいと思いますけれども、一斉にこれがオーケーだというような形には持っていくべきではないというのが私の申し上げたかったことです。
○青山(雅)委員 ありがとうございます。
 それで、更にもう少し妊婦についてお伺いしたいんですけれども、気になるのは、やはり妊婦さんですと催奇形性とかの問題があると思います。これはしばらくたたないとわからないと思うんですね。そういうものがあったのかどうなのかというのはすぐに結論が出る問題だとは思わないんですけれども、その辺についてどういうふうにお考えなのか、やはり岡部先生、宮坂先生、御意見を教えてください。

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