沼の中から…

現代の『推しの結婚ロス現象』を、初めて沼の中で体験したら、自分本位の理不尽だらけだったというお話。
前にも書いたように、私はこういう時にロスになるという概念が無い。
なので、直後から夫が呆れるほど嬉しくて祝福気分で、テレビを見ながら幸せのお裾分けをいただいてた。
何なら、ずっとこの時を待っていた。

最初のうちはそうでもなかったが、少しずつロス派が目立ってきた。
時間が経つと、あらぬ方向に刃物を突き付けるような言葉まで見かけるようになった。
そういうのは見ていて祝福気分が萎える。
なので相当数のミュートをした。
それでも追い付かなかった。
挙句の果てに、本人や事務所に向けた厳しい言葉も。

推し活は基本的に受け身だ。
推しが発する作品や言動を愛でる行為だ。
こちら側から推しに対し何かをして欲しいと要求することはまず無い。
それがこの時はTLが一変していた。
「本人からコメントが無い!」「事務所は何で何も言わない!」という声で埋め尽くされていた。
ようするに自分たちが納得できるようにしろと言うのである。

そこだけ見ると、圧倒的多数がそう訴えているように見えてしまう。
だが私は、これはほんの一部の人たちだと思っている。
それは、祝福している人たちは一度喜びの投稿をしてしまえば、他に言う事がなくなるから。
不満がある人たちだけが何度も訴えるからである。
そしてそれに賛同できない人たちは、一歩引いて見ているだけになる。
不満を持つ者たちは、周囲に賛同者しかいなくなり、それが総意だと勘違いしやすい状況が出来上がるのである。

もう一度冷静に考えて欲しい。
これは、結婚を公表したばかりの二人に向けて投げていい言葉なのか。
これが自分だったらどう思う?
自分の不満が解消されれば何を言ってもいいと思っているのか。
全くもって自分本位の要求である。

そしてあのタイミングでのボルラジ。
ボルラジは会員限定のコンテンツなので詳細は避けるが、いつになく緊張したトーンで、慎重に言葉を選んでいたように思う。
不満を持った者たちが、手のひらを返したように「おめでとう」を言い出した。
満足したんだろうか。
やはり推しの力は偉大だ。
私はそんな沼に軽く引いていた。

ボルラジは全くお相手の存在を感じさせない内容になっていた。
名前さえ出すことのないメッセージ。
まるで暴れる沼女を諭すような内容だと思った。
本人の真意は図り知れないが、本当はもっと幸せな報告したかったんじゃなかろうか。
ふだんエゴサはしないと言っていたが、ここまで様子を見ていたんだと思う。
ここで状況を見ず、おめでたいモードでメッセージが投下されれば炎上ものだ。
守らなければならない人がいれば当然のことだ。
沼女の一人として何だか申し訳ない気分になった。
申し訳なくて泣いた。

今朝起きて、流石に落ち着いただろうと思ってTLを覗いた。
確かに静かにはなっていた。
が、まだ不満があるようで「メッセージが遅い!」「悩んだ時間を返せ!」と。
いったい何なんだ?
全く自分しか見えていないし、たぶん見られているという自覚もないんだろう。

今後についても、アレはやだ!コレはやだ!といろいろ見かけた。
残念ながら、プロデュースするのは沼の仕事ではない。
推しに対する自分の立ち位置・距離感を間違えないようにしなければならない。

これが、初めて沼の中で見た推しの結婚である。

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